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13 迷惑な王族たち
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エルン様から詳しい話を聞いたところ、テナミ様はまだ、私とアクス様との仲を疑っている。
ハリー様はアクス様が今のところ、私に選ばれそうだから、このままではいけないと思っているらしい。
テナミ様とハリー様とアクス様の中なら間違いなく、アクス様をわたしは選ぶ。
だから、ハリー様の考えはあながち間違ってはいない。
でも、他にも世の中には男性がいるのだから、決めつけるのはどうかと思うし、アクス様だって迷惑でしょう。
大した話もしてないし、お互いを知らないしね。
「そういえば、ムーニャはなんと言っているのでしょうか?」
「バケット伯爵令嬢はリアンナ様を諦めて、自分に決めなさいと兄に言い寄っています」
「自分に婚約者がいるのにですか?」
「はい。テナミ殿下も何もおっしゃらないんです」
エルン様はしゅんと肩を落とした。
人には浮気をしているとかいって責めてきたくせに、どうして、ムーニャの浮気を責めないのかしら?
腹を立てていると、エルン様が口を開く。
「両親もお兄様も相手が王族ですから、あまり強く言えないようです。それに、テナミ殿下たちに何を言っても無駄と言いますか……」
「わかりました。ムーニャのことはまだしも、テナミ様とハリー様については、陛下にご報告いたします」
「あの、告げ口したと逆恨みされないでしょうか」
エルン様が不安そうに尋ねてきた。
そのことを考えたから、陛下に言えずにいたのね。
アクス様やご両親は馬鹿は放っておこうと言った感じかしら。
納得したわたしはエルン様に優しく尋ねる。
「今日もテナミ様たちは来ているのでしょうか?」
「はい。用事がない日以外はいらしているみたいです」
「迷惑な話ですわね」
大きく息を吐いてから、エルン様にお願いする。
「わたしが追い払いますわ。そして、わたしが確認したものとして陛下にご報告します。それでしたら、テイル公爵家に対して、テナミ様とハリー様は何も言えないはずです」
「でも、私の家に来ていただく理由は何にしましょう?」
「エルン様のお友達として呼んでいただいたということでは駄目でしょうか?」
「まあ!」
エルン様は驚いた顔をしたあと、すぐに笑顔になって頷く。
「嬉しいですわ!」
「無理やりな理由になってしまい、申し訳ございません」
「無理やりだなんて、そんなことはありませんわ! お友達だなんて嬉しいですわ!」
エルン様は無邪気に喜んでくれた。
「では、ご迷惑でなければ、早速伺わせていただいてもよろしいでしょうか?」
「もちろんですわ」
わたしは公爵家の馬車に乗せてもらい、テイル公爵邸へと出発した。
帰りの馬車はあとで手配してもらうか、テナミ様たちの馬車が少なくとも2台はあるはずだ。
1台は私が乗り、三人には残りの馬車で仲良く帰ってもらうことにする。
テイル公爵邸は王城からそう離れていないので、二人で話をしていると、あっという間にたどり着いた。
そして、エルン様が執事に三人がどうしているか確認すると、アクス様の執務室の前で騒いでいると教えてくれた。
アクス様の執務室はエルン様の部屋まで行く通り道だというので、偶然を装うことにして、そちらへ向かう。
「おい! 開けるんだ! リアンナとは結婚しないと、この書類にサインしろ!」
「そうだ! リアンナを僕に渡すんだ!」
「何を言ってるんだ、リアンナは俺のものだ!」
「兄上にはムーニャがいるでしょう!」
「ムーニャはお前にあげるよ!」
テナミ様とハリー様がくだらない兄弟喧嘩をしていた。
もうこの二人は、陛下にお願いして部屋に閉じ込めてもらわなくちゃ。
「アクス様ぁ! リアンナよりも私のほうが良い女ですから開けてください!」
「ちょっと!」
ムーニャの猫なで声に苛立って、わたしは三人に話しかける。
「あなたたち、一体何をしているの?」
「「「ひいっ!」」」
わたしのほうを振り返った三人は、わたしの顔を見て、なぜか腰を抜かしてしまった。
ハリー様はアクス様が今のところ、私に選ばれそうだから、このままではいけないと思っているらしい。
テナミ様とハリー様とアクス様の中なら間違いなく、アクス様をわたしは選ぶ。
だから、ハリー様の考えはあながち間違ってはいない。
でも、他にも世の中には男性がいるのだから、決めつけるのはどうかと思うし、アクス様だって迷惑でしょう。
大した話もしてないし、お互いを知らないしね。
「そういえば、ムーニャはなんと言っているのでしょうか?」
「バケット伯爵令嬢はリアンナ様を諦めて、自分に決めなさいと兄に言い寄っています」
「自分に婚約者がいるのにですか?」
「はい。テナミ殿下も何もおっしゃらないんです」
エルン様はしゅんと肩を落とした。
人には浮気をしているとかいって責めてきたくせに、どうして、ムーニャの浮気を責めないのかしら?
腹を立てていると、エルン様が口を開く。
「両親もお兄様も相手が王族ですから、あまり強く言えないようです。それに、テナミ殿下たちに何を言っても無駄と言いますか……」
「わかりました。ムーニャのことはまだしも、テナミ様とハリー様については、陛下にご報告いたします」
「あの、告げ口したと逆恨みされないでしょうか」
エルン様が不安そうに尋ねてきた。
そのことを考えたから、陛下に言えずにいたのね。
アクス様やご両親は馬鹿は放っておこうと言った感じかしら。
納得したわたしはエルン様に優しく尋ねる。
「今日もテナミ様たちは来ているのでしょうか?」
「はい。用事がない日以外はいらしているみたいです」
「迷惑な話ですわね」
大きく息を吐いてから、エルン様にお願いする。
「わたしが追い払いますわ。そして、わたしが確認したものとして陛下にご報告します。それでしたら、テイル公爵家に対して、テナミ様とハリー様は何も言えないはずです」
「でも、私の家に来ていただく理由は何にしましょう?」
「エルン様のお友達として呼んでいただいたということでは駄目でしょうか?」
「まあ!」
エルン様は驚いた顔をしたあと、すぐに笑顔になって頷く。
「嬉しいですわ!」
「無理やりな理由になってしまい、申し訳ございません」
「無理やりだなんて、そんなことはありませんわ! お友達だなんて嬉しいですわ!」
エルン様は無邪気に喜んでくれた。
「では、ご迷惑でなければ、早速伺わせていただいてもよろしいでしょうか?」
「もちろんですわ」
わたしは公爵家の馬車に乗せてもらい、テイル公爵邸へと出発した。
帰りの馬車はあとで手配してもらうか、テナミ様たちの馬車が少なくとも2台はあるはずだ。
1台は私が乗り、三人には残りの馬車で仲良く帰ってもらうことにする。
テイル公爵邸は王城からそう離れていないので、二人で話をしていると、あっという間にたどり着いた。
そして、エルン様が執事に三人がどうしているか確認すると、アクス様の執務室の前で騒いでいると教えてくれた。
アクス様の執務室はエルン様の部屋まで行く通り道だというので、偶然を装うことにして、そちらへ向かう。
「おい! 開けるんだ! リアンナとは結婚しないと、この書類にサインしろ!」
「そうだ! リアンナを僕に渡すんだ!」
「何を言ってるんだ、リアンナは俺のものだ!」
「兄上にはムーニャがいるでしょう!」
「ムーニャはお前にあげるよ!」
テナミ様とハリー様がくだらない兄弟喧嘩をしていた。
もうこの二人は、陛下にお願いして部屋に閉じ込めてもらわなくちゃ。
「アクス様ぁ! リアンナよりも私のほうが良い女ですから開けてください!」
「ちょっと!」
ムーニャの猫なで声に苛立って、わたしは三人に話しかける。
「あなたたち、一体何をしているの?」
「「「ひいっ!」」」
わたしのほうを振り返った三人は、わたしの顔を見て、なぜか腰を抜かしてしまった。
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