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4 怒る公爵令息
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その後は教室内が騒がしくなってしまい、話がしづらくなってしまった。
「行こうか」
エディ様に促されて教室を出ると、デイリ様たちが焦った顔をして追いかけてきた。
けれど、エディ様に指示されたキノン伯爵令嬢が追い払ってくれた。
その後もエディ様に促されるまま、ニーソン公爵家の馬車に乗せてもらい、馬車の中で詳しい話をしてもらえることになった。
外は相変わらずの大雨で、まだ朝だと言うのに窓の外は薄暗い。
ランタンの明かりのおかげで、馬車の中のほうが明るく感じた。
向かい側に座るエディ様が足を組み、難しい顔をされているので、後悔していらっしゃるのかと思って心配になる。
すると、私の隣に座っているキノン伯爵令嬢が話し掛けてくれた。
「お気になさらないでくださいね。今、自己嫌悪中なんだと思います」
「自己嫌悪中……ですか?」
「ええ。リネ様が婚約破棄されたということに浮かれてしまっていて、あんなに酷いことをされていたことに気が付かなかった自分に怒っているのだと思われます」
キノン伯爵令嬢は笑顔で答えてくれたあと、今度はエディ様に話しかける。
「エディ様、せっかくリネ様とお話できるのですから、お話されてはどうです?」
「……わかってる」
エディ様はキノン伯爵令嬢にそう応えたあと、眉尻を下げて私に話しかけてくる。
「嫌な気分にさせてしまったならごめん」
「そんなことはありません。助けていただきありがとうございます。ただ、さっき言っておられた私との婚約の話なんですが……」
「……嫌かな?」
エディ様がしゅんと肩を落として聞いてくる。
そんな捨てられた子犬みたいな顔をされたら断れづらいわ。
でも、言わなければならないことは言わなくちゃ。
この話については私たちの気持ちだけで決めても良い話ではないもの。
「お気持ちは嬉しいのですが、私みたいな女性と婚約だなんて、ご両親は反対されているのではないですか?」
「そんなことないよ。両親には数年前に君以外の女性を愛するつもりはないと伝えたんだ。その時は諦めると思って了承してくれたんだ。だけど、今になっても僕の気持ちが変わらないから、両親は頭を抱えてたんだよね」
「え? そんな、でも、どうして私なんかを?」
幼い頃の私がエディ様に何かしたのかもしれないけれど、そこまで思ってもらえるようなことをしたとは思えなかった。
「教えても良いんだけど笑わない?」
「笑いません。エディ様を笑うだなんて」
「本当に? そこにいるエレインは笑いはしなかったけれど、ニヤニヤしたんだ」
「馬鹿にしたのではありません。エディ様の初恋は可愛らしいなと思いまして幸せな気持ちになっていたんです」
キノン伯爵令嬢が首を横に振ると、エディ様は不機嫌そうな顔をされた。
でも、私と目が合うと、優しい笑顔に変えて先程の話を続けてくれる。
「君が婚約破棄されたと聞いた時は、これで跡継ぎの件で頭を悩ませないで済むって喜んでたくらいだから、君が家を追い出されても僕の家に住んだら良いと言ってくれると思うよ」
「婚約破棄の話を聞いた時は、私もテッドもエディ様、もしくはニーソン公爵閣下が無理矢理、婚約破棄に持っていったのかと思ってしまいました」
「……そうなんですね」
キノン伯爵令嬢の言葉に頷いたあと、エディ様が私を好きだと思ってくださる理由を聞いてみると、恥ずかしそうにしながらも教えてくれた。
私とエディ様は幼い頃に会っていた。
それは私たちが5歳の時の話で、たまたま、私とエディ様の旅行先が一緒で、そこで流行病にかかってしまった。
お互いの両親は無事だったけれど、感染症だったため、私やエディ様は小児病棟で隔離され、家族と会うことが出来なかった。
あの頃の私は両親に可愛がってもらえていて、とても明るい子供だった。
そして、一緒に隔離されていた同じ病室の男の子に一生懸命話し掛けていた覚えがある。
なぜなら、その男の子がお母さんに会えないと言ってずっと泣いていたから。
隔離されている間、泣いているその子に「泣かないで。一緒に遊ぼう」などと私は声を掛け続けた。
最初は相手にしてくれなかったけれど、少しずつ心を開いていってくれた男の子がいた。
それがエディ様だったのだ。
「その時に僕はリネ嬢と結婚するって決めたんだ」
エディ様は笑顔でそう話してくれた。
気持ちは嬉しいけれど、子供の頃のことならまだしも、大きくなった今になってまで私と結婚すると決めてしまっているのは、公爵家の嫡男としてはどうかと思うわ。
と言いたいけれど、目の前で嬉しそうにしている人に、そんなことが言えるはずもない。
正直な気持ちを口にしてしまって、嫌われたりするのは嫌だもの。
でも、遠慮する必要もある。
「あの、ニーソン公爵令息、お気持ちは嬉しいのですが、本当に私なんか」
「リネ嬢」
エディ様は言いかけた私の言葉を止めて、真剣な目で見つめてくる。
「自分の価値を自分自らが下げちゃいけない。少なくとも、僕は君に救われた一人だ。君にとってはなんてことないことだったろうけど、僕にとっては十年以上大好きな人なんだよ」
「……はい。申し訳ございません」
私に価値がない人間だと思っていたとしても、エディ様の気持ちを否定することは違う。
それに、私が私を愛してあげないから、私の場合は今の状況に陥っているのかもしれない。
人の顔色を見るのは悪いことではないわ。
だけど、あんなことをしてくる人の顔色を気にする必要はない。
「少し時間を潰そうか。今、テッドがリネ嬢の家に、父上が向かうという連絡を入れに行ってくれているだろうから」
「はい」
馬車の窓の外を見ると、雨はまだ降り続いている。
この雨の中、動いてくれているベアル侯爵令息には本当に申し訳ないわ。
もしかしたら、それが嫌で不機嫌そうにされていたのかも……。
この後、ニーソン公爵家が出資しているカフェに行って、三人でお茶をしていると、お父様がニーソン公爵閣下の訪問をお待ちしているという返事をしたという連絡が入ったので、家に帰ることになった。
屋敷に着いて家の中に入ると、お父様が血相を変えて私に近付いてきた。
「一体、どういうことなんだ! 学問をサボるなと言っただろう! これからニーソン公爵が来られるというのに、お前がいたら不思議に思われるだろう!」
お父様はニーソン公爵閣下が来られる理由は知らないみたいで、私がただ学園を早退して勝手に帰ってきたと思っているみたいだった。
それは間違っていないのだけれど、私の後ろにはエディ様がいるのだから気付いてほしいものだわ。
「おい! 聞いているのか! くそっ! この忙しい時に! もういい! 学問をサボるような娘はいらん!」
そう言って、お父様が私の胸ぐらを掴んだ時だった。
「それなら僕はリネ嬢に乱暴するような義理の父親はいらないかな」
エディ様が口元にだけ笑みを浮かべてお父様の手首を掴んだ。
エディ様の笑みは口元だけであり、目は一切笑っていなかった。
「行こうか」
エディ様に促されて教室を出ると、デイリ様たちが焦った顔をして追いかけてきた。
けれど、エディ様に指示されたキノン伯爵令嬢が追い払ってくれた。
その後もエディ様に促されるまま、ニーソン公爵家の馬車に乗せてもらい、馬車の中で詳しい話をしてもらえることになった。
外は相変わらずの大雨で、まだ朝だと言うのに窓の外は薄暗い。
ランタンの明かりのおかげで、馬車の中のほうが明るく感じた。
向かい側に座るエディ様が足を組み、難しい顔をされているので、後悔していらっしゃるのかと思って心配になる。
すると、私の隣に座っているキノン伯爵令嬢が話し掛けてくれた。
「お気になさらないでくださいね。今、自己嫌悪中なんだと思います」
「自己嫌悪中……ですか?」
「ええ。リネ様が婚約破棄されたということに浮かれてしまっていて、あんなに酷いことをされていたことに気が付かなかった自分に怒っているのだと思われます」
キノン伯爵令嬢は笑顔で答えてくれたあと、今度はエディ様に話しかける。
「エディ様、せっかくリネ様とお話できるのですから、お話されてはどうです?」
「……わかってる」
エディ様はキノン伯爵令嬢にそう応えたあと、眉尻を下げて私に話しかけてくる。
「嫌な気分にさせてしまったならごめん」
「そんなことはありません。助けていただきありがとうございます。ただ、さっき言っておられた私との婚約の話なんですが……」
「……嫌かな?」
エディ様がしゅんと肩を落として聞いてくる。
そんな捨てられた子犬みたいな顔をされたら断れづらいわ。
でも、言わなければならないことは言わなくちゃ。
この話については私たちの気持ちだけで決めても良い話ではないもの。
「お気持ちは嬉しいのですが、私みたいな女性と婚約だなんて、ご両親は反対されているのではないですか?」
「そんなことないよ。両親には数年前に君以外の女性を愛するつもりはないと伝えたんだ。その時は諦めると思って了承してくれたんだ。だけど、今になっても僕の気持ちが変わらないから、両親は頭を抱えてたんだよね」
「え? そんな、でも、どうして私なんかを?」
幼い頃の私がエディ様に何かしたのかもしれないけれど、そこまで思ってもらえるようなことをしたとは思えなかった。
「教えても良いんだけど笑わない?」
「笑いません。エディ様を笑うだなんて」
「本当に? そこにいるエレインは笑いはしなかったけれど、ニヤニヤしたんだ」
「馬鹿にしたのではありません。エディ様の初恋は可愛らしいなと思いまして幸せな気持ちになっていたんです」
キノン伯爵令嬢が首を横に振ると、エディ様は不機嫌そうな顔をされた。
でも、私と目が合うと、優しい笑顔に変えて先程の話を続けてくれる。
「君が婚約破棄されたと聞いた時は、これで跡継ぎの件で頭を悩ませないで済むって喜んでたくらいだから、君が家を追い出されても僕の家に住んだら良いと言ってくれると思うよ」
「婚約破棄の話を聞いた時は、私もテッドもエディ様、もしくはニーソン公爵閣下が無理矢理、婚約破棄に持っていったのかと思ってしまいました」
「……そうなんですね」
キノン伯爵令嬢の言葉に頷いたあと、エディ様が私を好きだと思ってくださる理由を聞いてみると、恥ずかしそうにしながらも教えてくれた。
私とエディ様は幼い頃に会っていた。
それは私たちが5歳の時の話で、たまたま、私とエディ様の旅行先が一緒で、そこで流行病にかかってしまった。
お互いの両親は無事だったけれど、感染症だったため、私やエディ様は小児病棟で隔離され、家族と会うことが出来なかった。
あの頃の私は両親に可愛がってもらえていて、とても明るい子供だった。
そして、一緒に隔離されていた同じ病室の男の子に一生懸命話し掛けていた覚えがある。
なぜなら、その男の子がお母さんに会えないと言ってずっと泣いていたから。
隔離されている間、泣いているその子に「泣かないで。一緒に遊ぼう」などと私は声を掛け続けた。
最初は相手にしてくれなかったけれど、少しずつ心を開いていってくれた男の子がいた。
それがエディ様だったのだ。
「その時に僕はリネ嬢と結婚するって決めたんだ」
エディ様は笑顔でそう話してくれた。
気持ちは嬉しいけれど、子供の頃のことならまだしも、大きくなった今になってまで私と結婚すると決めてしまっているのは、公爵家の嫡男としてはどうかと思うわ。
と言いたいけれど、目の前で嬉しそうにしている人に、そんなことが言えるはずもない。
正直な気持ちを口にしてしまって、嫌われたりするのは嫌だもの。
でも、遠慮する必要もある。
「あの、ニーソン公爵令息、お気持ちは嬉しいのですが、本当に私なんか」
「リネ嬢」
エディ様は言いかけた私の言葉を止めて、真剣な目で見つめてくる。
「自分の価値を自分自らが下げちゃいけない。少なくとも、僕は君に救われた一人だ。君にとってはなんてことないことだったろうけど、僕にとっては十年以上大好きな人なんだよ」
「……はい。申し訳ございません」
私に価値がない人間だと思っていたとしても、エディ様の気持ちを否定することは違う。
それに、私が私を愛してあげないから、私の場合は今の状況に陥っているのかもしれない。
人の顔色を見るのは悪いことではないわ。
だけど、あんなことをしてくる人の顔色を気にする必要はない。
「少し時間を潰そうか。今、テッドがリネ嬢の家に、父上が向かうという連絡を入れに行ってくれているだろうから」
「はい」
馬車の窓の外を見ると、雨はまだ降り続いている。
この雨の中、動いてくれているベアル侯爵令息には本当に申し訳ないわ。
もしかしたら、それが嫌で不機嫌そうにされていたのかも……。
この後、ニーソン公爵家が出資しているカフェに行って、三人でお茶をしていると、お父様がニーソン公爵閣下の訪問をお待ちしているという返事をしたという連絡が入ったので、家に帰ることになった。
屋敷に着いて家の中に入ると、お父様が血相を変えて私に近付いてきた。
「一体、どういうことなんだ! 学問をサボるなと言っただろう! これからニーソン公爵が来られるというのに、お前がいたら不思議に思われるだろう!」
お父様はニーソン公爵閣下が来られる理由は知らないみたいで、私がただ学園を早退して勝手に帰ってきたと思っているみたいだった。
それは間違っていないのだけれど、私の後ろにはエディ様がいるのだから気付いてほしいものだわ。
「おい! 聞いているのか! くそっ! この忙しい時に! もういい! 学問をサボるような娘はいらん!」
そう言って、お父様が私の胸ぐらを掴んだ時だった。
「それなら僕はリネ嬢に乱暴するような義理の父親はいらないかな」
エディ様が口元にだけ笑みを浮かべてお父様の手首を掴んだ。
エディ様の笑みは口元だけであり、目は一切笑っていなかった。
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