人の顔色ばかり気にしていた私はもういません

風見ゆうみ

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23.5 急変した態度③(デイリ視点)

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 新しい学園に転入してから、僕は学園寮に入れられた。

 一人部屋だから、一人で何かを考える時間も多くなり、あの時のことを考えるようにもなっていた。

 あれは遊びだった。
 それに今までのことが本当に嫌だったのなら、嫌だと言えば良かったんじゃないか?

 今まではずっと、そんなことばかり思っていた。
 だけど、今回の学園に来て思った。
 嫌なことをしてくる奴はいないけど、皆、僕の噂を聞いているのか近寄ろうとしない。

 面倒な奴には関わりたくない。
 そんな感じだった。
 クラス委員の男女だけが話しかけてくれるけれど、普段は教室では一人ぼっちだ。

 正直、言って辛い。
 周りは楽しそうに話をしているのに、僕だけ仲間に入れてもらえない。

 考えてみれば、リネもこんな状況だった。

 何も言わなかったから別に気にしていないのだと思っていた。

 だけど、違ったんだ。
 言いたくても言えなかったんだよな。
 そう簡単に一人で集団に立ち向かえるもんじゃない。

 リネにした仕打ちよりも酷いことはされていないのに、僕は今の状況が辛い。
 自分が人に冷たくされて、やっとリネの気持ちが理解できた。

 転入して数日しか経っていないのに逃げ出したくなりそうだった。

 でも、僕にはトワナがいる。
 この学園にいなければ、トワナとは結婚できない。
 だから、頑張ろう。
 そう思っていた。

 休みの日、僕は学園の許可を得て外出し、トワナの家へと向かった。
 彼女の両親は快く迎えてくれたけど、トワナは僕のことを歓迎する様子もなく、ただ、不機嫌そうな顔をして出迎えた。

 いつもならば部屋に通してくれたのに、今日は応接室での応対だ。

「トワナ、答えてくれ。君は僕のことを嫌いになったんじゃないよな?」
「嫌いではないわ。でも、好きでもないの。こんな態度をする私が嫌なら婚約破棄してちょうだい」
「い、嫌だ、僕は君を」

 テーブルに身を乗り出してトワナに触れようとすると、彼女が僕の手を叩く。

「触らないでよ!」
「トワナ、どうしてそんなに変わってしまったんだ?」
「別に? これが普通だけど?」

 トワナはふんと鼻を鳴らし、僕から顔を背ける。

「こんな私が嫌なら婚約破棄してちょうだいって言ったでしょ? あなたみたいな男にはリネがお似合いよ!」
「リネと別れることになったのは君のせいだろ!」

 声を荒らげると、トワナは僕を睨んでくる。

「私のせいにしないで。それに、あなた、リネのことをいじめたんでしょう?」
「君がいじめろと言ったからだ! リネは嫌な女だから大丈夫だって! 君の言うとおりにすれば良いと言っただろう!」
「は? そんなことを言った覚えはないわ。いくら侯爵令息だからって嘘はつかないで。それに、人に言われたから人をいじめるだなんて、あなたには意思はないの?」

 トワナは蔑むような視線を僕に送ってから立ち上がる。

「話は終わりよね? あなたからの婚約破棄で慰謝料をもらおうと思っていたけど、私からの婚約破棄に変えるわ」
「君の家にそんな大金はないだろ!?」
「リネは私の妹よ? 妹をいじめた男性と結婚なんてできないって言えばいいだけよ。婚約破棄を嫌がるなら、社交場で全てをバラしてやるわ! 慰謝料はもらえないかもしれないけれど、あなたとの婚約は絶対に無しにさせてもらうから!」

 言いたいことだけ言って、トワナは部屋を出ていった。

「なんなんだよ、あの態度は」

 こうなった以上、僕だってトワナと結婚なんてしたくない。
 でも、父上は婚約破棄を許してくれないだろう。

 それなら、僕は今までのトワナのリネへの発言を、学園内で暴露することに決めた。




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