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9 焦る人たち ②
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「ミアリナ様にお話があるのですけど」
次の日の朝、ジゼル公爵家に出かける準備をしていた私のもとにやって来たのはメイド長だった。
昨日のうちに公爵家から連絡が来ていたらしく、今日の午前中の間に処分内容を決定し、午後一番に使者を寄越すので私から処分内容を説明させるようにと書かれていたそうだ。
となると使者の人が来るまでは私は出発できない。使者は、公爵家まで私を連れて行ってくれるつもりなのかしら。
その可能性が高いので、いつでも出られるようにしておこう。
その場合、午後からの出発だと、ジゼル公爵家の近くで宿を取らなければならないわ。使者の人におすすめの宿がないか確認しなくちゃ。
「あの、ミアリナ様、どうかなさいましたか?」
背が低くぽっちゃり体型のメイド長は無言になってしまった私を見上げて首を傾げた。
最近は横柄な態度をとっていたのに、今はしおらしいだなんて、自分を守るために私に媚を売ろうとしている魂胆が見え見えだわ。
「ごめんなさい。考え事をしていたわ。で、話って何かしら」
部屋の中には招き入れず、彼女には廊下で話をさせる。
「昨日のメイドたちの件です。あの子たちには私は何度も注意をしていたんです! それなのに聞き入れてもらえず……」
「私にそんな話をしても意味がないと思うんだけど?」
「……はい?」
「だって、あなたに罰を与えるかどうか判断するのはウララ様でしょう? 私に言い訳しても意味がないわよね」
普通の貴族の家なら夫人に権限が与えられているかもしれないが、私にはメイド長を罰する権限なんてない。
あるとすれば、トータムか義母だけ。
「それはそうかもしれませんが、その、奥様からはジゼル公爵家に許してくれるように、ミアリナ様から頼んでほしいと……」
「それで言い訳をしようとしたわけね」
「言い訳ではございません!」
メイド長は勢いよく首を横に振って続ける。
「事実をお伝えしようとしているのです。問題のメイドたちは私の管轄ではなく、フララ様にお任せしております」
「なら、フララさんを罰すれば良いんじゃないの?」
「そうなのかもしれませんが、私にはそのような権限はなく……」
「それなら私にではなく、トータムに相談すれば良いでしょう」
他人からすれば私の言い方は冷たい対応と言われるかもしれないが、彼女は昨日までは私を舐めきった態度をとっていた。
本人にはこれくらいされても文句は言わないでほしいわね。
「旦那様はフララ様は何も悪くないとおっしゃいまして……」
「よくわからないわね。任命責任はフララさんにあるわけでしょう?」
「ですから、奥様のほうから旦那様にそう言っていただきたいのです」
嫌だと言いたいところだけれど、言うくらいなら別に良いわ。
これで嫌な態度を取られても、もう傷つくことはない。
「言えばいいのね? わかったわ」
頷くと、メイド長は安堵の表情を見せた。ちょうどその時、良いタイミングでトータムが私の所にやって来た。
「ミアリナ、おはよう」
「おはようトータム」
「おはようございます、旦那様」
私とメイド長が挨拶を返すと、トータムは笑顔で話しかけてくる。
「ミアリナ、メイドの件だけどフララは何も悪くない。もし、責任を取るとするなら彼女だから」
そう言って、トータムはメイド長を指差した。
次の日の朝、ジゼル公爵家に出かける準備をしていた私のもとにやって来たのはメイド長だった。
昨日のうちに公爵家から連絡が来ていたらしく、今日の午前中の間に処分内容を決定し、午後一番に使者を寄越すので私から処分内容を説明させるようにと書かれていたそうだ。
となると使者の人が来るまでは私は出発できない。使者は、公爵家まで私を連れて行ってくれるつもりなのかしら。
その可能性が高いので、いつでも出られるようにしておこう。
その場合、午後からの出発だと、ジゼル公爵家の近くで宿を取らなければならないわ。使者の人におすすめの宿がないか確認しなくちゃ。
「あの、ミアリナ様、どうかなさいましたか?」
背が低くぽっちゃり体型のメイド長は無言になってしまった私を見上げて首を傾げた。
最近は横柄な態度をとっていたのに、今はしおらしいだなんて、自分を守るために私に媚を売ろうとしている魂胆が見え見えだわ。
「ごめんなさい。考え事をしていたわ。で、話って何かしら」
部屋の中には招き入れず、彼女には廊下で話をさせる。
「昨日のメイドたちの件です。あの子たちには私は何度も注意をしていたんです! それなのに聞き入れてもらえず……」
「私にそんな話をしても意味がないと思うんだけど?」
「……はい?」
「だって、あなたに罰を与えるかどうか判断するのはウララ様でしょう? 私に言い訳しても意味がないわよね」
普通の貴族の家なら夫人に権限が与えられているかもしれないが、私にはメイド長を罰する権限なんてない。
あるとすれば、トータムか義母だけ。
「それはそうかもしれませんが、その、奥様からはジゼル公爵家に許してくれるように、ミアリナ様から頼んでほしいと……」
「それで言い訳をしようとしたわけね」
「言い訳ではございません!」
メイド長は勢いよく首を横に振って続ける。
「事実をお伝えしようとしているのです。問題のメイドたちは私の管轄ではなく、フララ様にお任せしております」
「なら、フララさんを罰すれば良いんじゃないの?」
「そうなのかもしれませんが、私にはそのような権限はなく……」
「それなら私にではなく、トータムに相談すれば良いでしょう」
他人からすれば私の言い方は冷たい対応と言われるかもしれないが、彼女は昨日までは私を舐めきった態度をとっていた。
本人にはこれくらいされても文句は言わないでほしいわね。
「旦那様はフララ様は何も悪くないとおっしゃいまして……」
「よくわからないわね。任命責任はフララさんにあるわけでしょう?」
「ですから、奥様のほうから旦那様にそう言っていただきたいのです」
嫌だと言いたいところだけれど、言うくらいなら別に良いわ。
これで嫌な態度を取られても、もう傷つくことはない。
「言えばいいのね? わかったわ」
頷くと、メイド長は安堵の表情を見せた。ちょうどその時、良いタイミングでトータムが私の所にやって来た。
「ミアリナ、おはよう」
「おはようトータム」
「おはようございます、旦那様」
私とメイド長が挨拶を返すと、トータムは笑顔で話しかけてくる。
「ミアリナ、メイドの件だけどフララは何も悪くない。もし、責任を取るとするなら彼女だから」
そう言って、トータムはメイド長を指差した。
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