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10 焦る人たち ③
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あまりにも爽やかな笑顔で言うものだから、すぐには彼の言葉の意味が理解できなかったらしい。メイド長はしばらくの間、ぽかんと口を開けた状態で動きを止めていた。
そんな彼女の代わりに私が尋ねる。
「いきなり言われてもよくわからないから確認するけれど、あなたはメイド長に責任を取らせると言っているの?」
「そういうこと」
トータムが頷いてやっと、メイド長は我に返った。
「そ、そんな旦那様! 私には彼女たちに注意をする権限はないのです!」
「そんなわけないだろう。君、メイド長を何年やってるんだよ。そんな言い訳が通用するなんて思わないでくれ」
「で、ですが!」
「じゃあ、君は雇い主の妹を罰しろと行っているのか? 酷い人だな」
酷い人はどっちよ。
可愛いフララさんを罰するわけにはいかないから、全ての責任をメイド長に押し付けてるだけじゃないの。本当にわかりやすい人だわ。
呆れていると、メイド長がトータムに涙目で訴える。
「旦那様が多少の無礼は許すとおっしゃったので黙っておったのです! それなのにこの仕打ちは酷くありませんか!」
「多少の無礼は、だろう? 公爵令息への無礼は無礼すぎるんだ」
「多少と言う言い方ではなく、若干と言わなければならなかったんじゃないの? 多少だと多かれ少なかれという意味にも聞こえるわ」
メイド長を助けてあげるつもりはないが、トータムの味方をするつもりもないので割って入ると、彼はムッとした顔になった。
「フララに嫉妬しているからって彼女のせいにしようとするのはやめろ!」
「嫉妬しているつもりはないけれど、嫉妬しているように見える?」
「ああ。浮気だなんだとうるさいじゃないか」
「妻にそんなことを思わせるのは、夫として失格だとは思わない?」
「……どういう意味だよ」
トータムは眉間のシワを深くした。
「妻に嫉妬させるくらいのことをあなたがフララさんにしているということでしょう? それってあなたが悪いんじゃないかと言ってるの」
「だから彼女は妹だ。浮気じゃない! 嫉妬するミアリナが間違ってる!」
「はいはい。そうでしたね」
残念でした。
あなたとフララさんは血の繋がりだけでなく、戸籍も兄妹ではないのよ。
彼の中で、家族を好きだという気持ちは浮気じゃないのでしょう。それは納得できる。だけど、トータムたちの場合はまた違ってくる。
一般的にどんなに好きであっても、血の繋がりのある妹と肉体関係にまでは発展しないはずだ。それなのに、彼らは隠れて関係を持っている。私や周りにばれていないと思っているのだからお笑いだ。
私は満面の笑みを浮かべてお願いする。
「清い関係のままでいてね? 仲が良いのは結構だし、周りはあなたとフララさんが健全な兄と妹だと思っているから何も言わないんだから。もし、そうじゃなかったりしたら……」
「そうじゃなかったら……、どうなるんだ?」
「あなたと私は離婚。あなたとフララさんは私に慰謝料を払う。そして、あなたは社会的地位を失い、そのせいでビレディ侯爵家は没落する。そんな感じかしら」
微笑んで答えると、トータムの顔はみるみるうちに土気色になった。
そんな彼女の代わりに私が尋ねる。
「いきなり言われてもよくわからないから確認するけれど、あなたはメイド長に責任を取らせると言っているの?」
「そういうこと」
トータムが頷いてやっと、メイド長は我に返った。
「そ、そんな旦那様! 私には彼女たちに注意をする権限はないのです!」
「そんなわけないだろう。君、メイド長を何年やってるんだよ。そんな言い訳が通用するなんて思わないでくれ」
「で、ですが!」
「じゃあ、君は雇い主の妹を罰しろと行っているのか? 酷い人だな」
酷い人はどっちよ。
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呆れていると、メイド長がトータムに涙目で訴える。
「旦那様が多少の無礼は許すとおっしゃったので黙っておったのです! それなのにこの仕打ちは酷くありませんか!」
「多少の無礼は、だろう? 公爵令息への無礼は無礼すぎるんだ」
「多少と言う言い方ではなく、若干と言わなければならなかったんじゃないの? 多少だと多かれ少なかれという意味にも聞こえるわ」
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「ああ。浮気だなんだとうるさいじゃないか」
「妻にそんなことを思わせるのは、夫として失格だとは思わない?」
「……どういう意味だよ」
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「妻に嫉妬させるくらいのことをあなたがフララさんにしているということでしょう? それってあなたが悪いんじゃないかと言ってるの」
「だから彼女は妹だ。浮気じゃない! 嫉妬するミアリナが間違ってる!」
「はいはい。そうでしたね」
残念でした。
あなたとフララさんは血の繋がりだけでなく、戸籍も兄妹ではないのよ。
彼の中で、家族を好きだという気持ちは浮気じゃないのでしょう。それは納得できる。だけど、トータムたちの場合はまた違ってくる。
一般的にどんなに好きであっても、血の繋がりのある妹と肉体関係にまでは発展しないはずだ。それなのに、彼らは隠れて関係を持っている。私や周りにばれていないと思っているのだからお笑いだ。
私は満面の笑みを浮かべてお願いする。
「清い関係のままでいてね? 仲が良いのは結構だし、周りはあなたとフララさんが健全な兄と妹だと思っているから何も言わないんだから。もし、そうじゃなかったりしたら……」
「そうじゃなかったら……、どうなるんだ?」
「あなたと私は離婚。あなたとフララさんは私に慰謝料を払う。そして、あなたは社会的地位を失い、そのせいでビレディ侯爵家は没落する。そんな感じかしら」
微笑んで答えると、トータムの顔はみるみるうちに土気色になった。
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