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18 にやける
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「お前を連れて行かねぇと金がもらえねぇんだよ!」
近付いていきながら、男が私の知り合いに話しかけている間に、ルーに話しかける。
「やってみたい事があるんですが…」
「ん?」
「やってみてもいいですか?」
「え? 何をする気だ?」
「あんまりグズグズしていられませんので、腰を折り曲げて、頭を下げてもらえますか?」
「え? 何するつもりだ!?」
驚きながらもルーは、私の言う様に腰を折り曲げてくれた。
私は助走をつけるために後ろにさがると、さすがに土足というわけにはいかないので、靴を脱ぎ捨てて走り、ルーの背中を踏み台にして飛ぶと、くるりと宙返りしてから、そのまま、知り合いに話しかけている男の左肩に向けて左足のかかとを振り下ろす。
けれど、男は直前に振り返り、腕で蹴りはふせがれた。
一瞬、攻撃してきた人物が女だという事に驚いたようだったけど、男がにやりと笑う。
「残念だったな」
「あなたがね」
答えると、そのまま、私はもう一本の右足のかかとを男の頭に叩きつけた。
「ぐあっ!!」
やったー!!
やってみたかったのよね、これ!
男が声にならない声を上げて沈み込むと同時、私の身体も地面に落下する。
やばい。
足を両方とも使ったせいで、お尻から落ちそう。
着地のことを考えてなかった。
「何してんだ!」
腕の骨が折れるのを覚悟で地面に向かって手を伸ばそうとした時、私の落下地点にルーが叫びながら滑り込んできた。
ルーは私の身体を受け止めると、足で踏ん張り、滑っていた自分の身体を止めた。
そして、私を抱きかかえたまま、怒りの形相で叫ぶ。
「あっぶねぇな! 何考えてんだ!」
や、やばい…。
好き。
「聞いてんのか!?」
「…! ごめんなさい!」
「どうしてもやりたかったのかもしれねぇけど、ちゃんと着地の事を考えてからやれ! 怪我するだろ!!」
「本当にごめんなさい」
駄目、やばい。
怒られてるのに、好き。
「顔がにやけてる。俺は怒ってるのに、何でにやけるんだ!」
「えっ! 顔に出てましたか!」
「すごく、ゆるんだ顔してる。…そんなに怒られるのが好きなのか?」
「そういう訳ではないです」
手で顔を覆って、にやけた顔を隠そうとすると、ルーは私が泣き出したと勘違いしてしまう。
「お、おい! そんな、泣かなくてもいいだろ!? 意地悪とかじゃなくて君の為を思って怒ってるんだぞ!?」
また、君だ。
これを機に、どうして名前を呼んでくれないのか聞いてみよう。
と思ったけれど、私の蹴りでは効果が弱かったらしく、男が起き上がった。
「いってぇなぁ。お前ら、2人の世界に入ってんじゃねぇよ! まだ、話は終わって」
「うるさい!」
私とルーは同時に叫んで立ち上がると、ルーは男の顔面にパンチを、私は男の腹に肘鉄を入れた。
男はうめき声をあげて、そのまま後ろにぶっ倒れる。
そんな男は放っておいて、私とルーは会話を続ける。
「ウソ泣きだったのか!?」
「元々、泣いてませんよ? 顔をおおっただけです!」
「……次にあんな事をする時は俺に話をしてからにしてくれ。そうすれば受け止めるから」
「今回も受け止めて下さいましたよね? ありがとうございました」
嬉しくてニコニコしてしまうと、ルーが「笑うな、反省しろ」と額を小突いてきた。
にやけたら駄目だとわかっているけど、顔がにやけちゃう。
「助けてくれてありがとう。助かった…って、リアラ!?」
「…やっぱり」
知り合いが近付いてきたかと思うと、名前を呼ばれたので、ゆるんだ顔のまま振り返り、相手を確認して呟く。
透き通るような白い肌に、漆黒の短髪。
学園では甘いマスクから爽やか青年と呼ばれていた、ビアンカが想いを寄せている彼がそこにいた。
「ミュラー、あなた、何でこんな所にいるの?」
騎士の一人が持ってきてくれた靴を履きながら、久しぶりに会った、幼馴染に問いかけた。
近付いていきながら、男が私の知り合いに話しかけている間に、ルーに話しかける。
「やってみたい事があるんですが…」
「ん?」
「やってみてもいいですか?」
「え? 何をする気だ?」
「あんまりグズグズしていられませんので、腰を折り曲げて、頭を下げてもらえますか?」
「え? 何するつもりだ!?」
驚きながらもルーは、私の言う様に腰を折り曲げてくれた。
私は助走をつけるために後ろにさがると、さすがに土足というわけにはいかないので、靴を脱ぎ捨てて走り、ルーの背中を踏み台にして飛ぶと、くるりと宙返りしてから、そのまま、知り合いに話しかけている男の左肩に向けて左足のかかとを振り下ろす。
けれど、男は直前に振り返り、腕で蹴りはふせがれた。
一瞬、攻撃してきた人物が女だという事に驚いたようだったけど、男がにやりと笑う。
「残念だったな」
「あなたがね」
答えると、そのまま、私はもう一本の右足のかかとを男の頭に叩きつけた。
「ぐあっ!!」
やったー!!
やってみたかったのよね、これ!
男が声にならない声を上げて沈み込むと同時、私の身体も地面に落下する。
やばい。
足を両方とも使ったせいで、お尻から落ちそう。
着地のことを考えてなかった。
「何してんだ!」
腕の骨が折れるのを覚悟で地面に向かって手を伸ばそうとした時、私の落下地点にルーが叫びながら滑り込んできた。
ルーは私の身体を受け止めると、足で踏ん張り、滑っていた自分の身体を止めた。
そして、私を抱きかかえたまま、怒りの形相で叫ぶ。
「あっぶねぇな! 何考えてんだ!」
や、やばい…。
好き。
「聞いてんのか!?」
「…! ごめんなさい!」
「どうしてもやりたかったのかもしれねぇけど、ちゃんと着地の事を考えてからやれ! 怪我するだろ!!」
「本当にごめんなさい」
駄目、やばい。
怒られてるのに、好き。
「顔がにやけてる。俺は怒ってるのに、何でにやけるんだ!」
「えっ! 顔に出てましたか!」
「すごく、ゆるんだ顔してる。…そんなに怒られるのが好きなのか?」
「そういう訳ではないです」
手で顔を覆って、にやけた顔を隠そうとすると、ルーは私が泣き出したと勘違いしてしまう。
「お、おい! そんな、泣かなくてもいいだろ!? 意地悪とかじゃなくて君の為を思って怒ってるんだぞ!?」
また、君だ。
これを機に、どうして名前を呼んでくれないのか聞いてみよう。
と思ったけれど、私の蹴りでは効果が弱かったらしく、男が起き上がった。
「いってぇなぁ。お前ら、2人の世界に入ってんじゃねぇよ! まだ、話は終わって」
「うるさい!」
私とルーは同時に叫んで立ち上がると、ルーは男の顔面にパンチを、私は男の腹に肘鉄を入れた。
男はうめき声をあげて、そのまま後ろにぶっ倒れる。
そんな男は放っておいて、私とルーは会話を続ける。
「ウソ泣きだったのか!?」
「元々、泣いてませんよ? 顔をおおっただけです!」
「……次にあんな事をする時は俺に話をしてからにしてくれ。そうすれば受け止めるから」
「今回も受け止めて下さいましたよね? ありがとうございました」
嬉しくてニコニコしてしまうと、ルーが「笑うな、反省しろ」と額を小突いてきた。
にやけたら駄目だとわかっているけど、顔がにやけちゃう。
「助けてくれてありがとう。助かった…って、リアラ!?」
「…やっぱり」
知り合いが近付いてきたかと思うと、名前を呼ばれたので、ゆるんだ顔のまま振り返り、相手を確認して呟く。
透き通るような白い肌に、漆黒の短髪。
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