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「というわけで、ミュラーに可愛い妹を紹介するんだ。少なくとも、あなたはパワーバランスだとか、どうこう言えなくなったんじゃないか?」
ルーに尋ねられ、キーライズン辺境伯は口をへの字に曲げた。
貴族ってプライドが高い人が多いけど、第5王子に対して見せる表情じゃないわよね。
そんな事を思っていると、ルーもそう思ったらしく、にっこりと笑顔で言った。
「あなたの私への態度に関しては、陛下に伝えさせてもらおう。奔放にしているから、陛下がまったく私を気にかけていないかというと、そういう訳でもないんでね」
ルーが自分の事を私、というので、何か違和感を覚えつつも、逆にそれだけ彼が、キーライズン辺境伯に他人行儀になっているのだと感じた。
ルーが怒るなんて珍しい。
「申し訳ございません!」
キーライズン辺境伯は慌てて、ルーに深く頭を下げた。
結局、キーライズン辺境伯は私とルーとの婚約に対しての反対意見を取り下げる事にするので、自分の事を陛下に話すのはやめてほしいと謝ってきた。
そんな風に条件をつけてくる事自体がおかしいのだけど、それには気付いていないようで、ルーが何も答えない内に、ミュラーを置いて帰ってしまった。
「失礼なことを言うけれど、あなたのお父様って、あんな人だったかしら?」
「外面は良いはずなんだけど、よっぽど、お前の父親に負けたくないんだろう」
「仲が良いと思ってたのに」
「それとこれとは別なんだろ。仲が良いから余計に負けたくないってやつがあるんだろ」
ミュラーの言葉が納得できるような、そうでないような、複雑な気持ちになった。
でも、このままいけば、ミュラーは幸せになれそうだし良かった。
ルーが推薦するくらいだもの。
第1王女のティナ様はきっと良い人よね。
ミュラーは今日1日、ここで休み、明日には家に帰るというので、見送りに行くという話をして今日は別れた。
ルーと一緒に宿に向かって歩きながら、彼に尋ねる。
「ティナ様の件は、いつ思いつかれたんですか?」
「元々、ティナに良い婚約者を、という事で探す話が出てたんだが、ティナが嫌がっていたんだ。会った事もない男と婚約だなんて嫌だって。でもまあ、それが当たり前だという事も頭ではわかってたみたいだけどな」
「でも、決まらなかったんですね。ティナ様は今はお幾つでしたっけ?」
「17歳だよ。伯爵令嬢の可愛らしい友達も出来て、最近は楽しそうに学園に通ってる」
「それは良かったです」
「嬉しそうだな」
ルーに言われて、笑顔で頷く。
「そりゃあそうですよ。ミュラーにとって、きっと良い縁談だと思いますし、あと、さすがの公爵令嬢のビアンカ様でも、ティナ様がミュラーを嫌がらない限り、この婚約話は覆せないでしょうから」
「ビアンカは彼が好きだったよな?」
「ええ。色の白い人が好きなだけかもしれませんけど」
「興味がなさそうだな」
「ビアンカ様にはまったく興味がないですね」
きっぱりと言うと、ルーは笑った。
けれど、すぐに表情を引き締めて言う。
「ビアンカで思い出したけど、もしかすると、彼女はまた婚約破棄をするかもしれない」
「…どういう事です?」
「君の元婚約者が追い出された」
「追い出された!?」
意味がわからなくて聞き返すと、ルーは渋い顔をして言う。
「彼女とリアラの元婚約者は、昨日までは同じ宿に泊まっていたようなんだが、今日の朝になって宿から追い出されたらしい」
「意味がわからないんですが…」
「もしかしたら、ビアンカはミュラーが君にフラれて、自分にチャンスが回ってきたと思ったのかもしれないな」
「でも、ミュラーがビアンカ様を婚約者にするとは思えませんけど…。って、あ、ビアンカ様は公爵令嬢でしたね」
「そうなんだ。このままだと彼は否応なしにビアンカの婚約者にされるだろうと思って、それ以上の地位の人間を考えたら、妹しか思い浮かばなかったんだが、それはまあいいとして、追い出したという事はそういう意味なんじゃないかと思う」
「でも、ミュラーにはティナ様という婚約者が出来ましたし、またビアンカ様は失恋ですね。ざまぁみろって感じです」
思い付きで人の婚約者を奪ったりするから、そんな事になるんだわ。
「ビアンカの件はどうでもいいんだが、問題は君の婚約者だな」
「タントスがどうかしました…、ってああ、そうでしたね。私、タントスから不幸の手紙をもらってたんでした」
「だろう? 婚約破棄になったら君に会いに来るとか書いてあっただろ?」
「という事は…、近々、彼と会わないといけなくなるかもしれないという事ですか…」
「一応、部下に見張らせているから、君に接近しそうになったら連絡が来る事になっている」
ああ。
一難去ってまた一難といったところかしら。
でも、もし、タントスと会うことになったら、彼に何か言われる前にパンチして黙らせてもいいのかしら?
ルーに尋ねられ、キーライズン辺境伯は口をへの字に曲げた。
貴族ってプライドが高い人が多いけど、第5王子に対して見せる表情じゃないわよね。
そんな事を思っていると、ルーもそう思ったらしく、にっこりと笑顔で言った。
「あなたの私への態度に関しては、陛下に伝えさせてもらおう。奔放にしているから、陛下がまったく私を気にかけていないかというと、そういう訳でもないんでね」
ルーが自分の事を私、というので、何か違和感を覚えつつも、逆にそれだけ彼が、キーライズン辺境伯に他人行儀になっているのだと感じた。
ルーが怒るなんて珍しい。
「申し訳ございません!」
キーライズン辺境伯は慌てて、ルーに深く頭を下げた。
結局、キーライズン辺境伯は私とルーとの婚約に対しての反対意見を取り下げる事にするので、自分の事を陛下に話すのはやめてほしいと謝ってきた。
そんな風に条件をつけてくる事自体がおかしいのだけど、それには気付いていないようで、ルーが何も答えない内に、ミュラーを置いて帰ってしまった。
「失礼なことを言うけれど、あなたのお父様って、あんな人だったかしら?」
「外面は良いはずなんだけど、よっぽど、お前の父親に負けたくないんだろう」
「仲が良いと思ってたのに」
「それとこれとは別なんだろ。仲が良いから余計に負けたくないってやつがあるんだろ」
ミュラーの言葉が納得できるような、そうでないような、複雑な気持ちになった。
でも、このままいけば、ミュラーは幸せになれそうだし良かった。
ルーが推薦するくらいだもの。
第1王女のティナ様はきっと良い人よね。
ミュラーは今日1日、ここで休み、明日には家に帰るというので、見送りに行くという話をして今日は別れた。
ルーと一緒に宿に向かって歩きながら、彼に尋ねる。
「ティナ様の件は、いつ思いつかれたんですか?」
「元々、ティナに良い婚約者を、という事で探す話が出てたんだが、ティナが嫌がっていたんだ。会った事もない男と婚約だなんて嫌だって。でもまあ、それが当たり前だという事も頭ではわかってたみたいだけどな」
「でも、決まらなかったんですね。ティナ様は今はお幾つでしたっけ?」
「17歳だよ。伯爵令嬢の可愛らしい友達も出来て、最近は楽しそうに学園に通ってる」
「それは良かったです」
「嬉しそうだな」
ルーに言われて、笑顔で頷く。
「そりゃあそうですよ。ミュラーにとって、きっと良い縁談だと思いますし、あと、さすがの公爵令嬢のビアンカ様でも、ティナ様がミュラーを嫌がらない限り、この婚約話は覆せないでしょうから」
「ビアンカは彼が好きだったよな?」
「ええ。色の白い人が好きなだけかもしれませんけど」
「興味がなさそうだな」
「ビアンカ様にはまったく興味がないですね」
きっぱりと言うと、ルーは笑った。
けれど、すぐに表情を引き締めて言う。
「ビアンカで思い出したけど、もしかすると、彼女はまた婚約破棄をするかもしれない」
「…どういう事です?」
「君の元婚約者が追い出された」
「追い出された!?」
意味がわからなくて聞き返すと、ルーは渋い顔をして言う。
「彼女とリアラの元婚約者は、昨日までは同じ宿に泊まっていたようなんだが、今日の朝になって宿から追い出されたらしい」
「意味がわからないんですが…」
「もしかしたら、ビアンカはミュラーが君にフラれて、自分にチャンスが回ってきたと思ったのかもしれないな」
「でも、ミュラーがビアンカ様を婚約者にするとは思えませんけど…。って、あ、ビアンカ様は公爵令嬢でしたね」
「そうなんだ。このままだと彼は否応なしにビアンカの婚約者にされるだろうと思って、それ以上の地位の人間を考えたら、妹しか思い浮かばなかったんだが、それはまあいいとして、追い出したという事はそういう意味なんじゃないかと思う」
「でも、ミュラーにはティナ様という婚約者が出来ましたし、またビアンカ様は失恋ですね。ざまぁみろって感じです」
思い付きで人の婚約者を奪ったりするから、そんな事になるんだわ。
「ビアンカの件はどうでもいいんだが、問題は君の婚約者だな」
「タントスがどうかしました…、ってああ、そうでしたね。私、タントスから不幸の手紙をもらってたんでした」
「だろう? 婚約破棄になったら君に会いに来るとか書いてあっただろ?」
「という事は…、近々、彼と会わないといけなくなるかもしれないという事ですか…」
「一応、部下に見張らせているから、君に接近しそうになったら連絡が来る事になっている」
ああ。
一難去ってまた一難といったところかしら。
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