インスタントガールフレンド

クレハ@WME

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37.5話

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37.5話

「体も拭かないでしかりんはなにしてるの!?」

僕は怒っている。あれほど言ったのに…

「だって……士郎に拭いて欲しかったから……」

ドキッ!

「さぁ、来て士郎」

な、なんでこんなことになってるんだ!?嬉しいんだか怒ればいいんだか、はぁ!?どうすればいいんだよぉぉ!でも風邪が悪化でもしたら……

と、白崎さんは自分からバスタオルに手をかけて………

な、なにをしてるんだ白崎さんは……それを取るんじゃないぞ!?それを取ったらもう裸ではないか!絶対にだぞ!?

そんな予想に反して………

だなんて期待したな?次の話は白崎さんを看病して汗を拭いたりしちゃうのか?!とか思ってただろう?だが、今回はまたまた妹編を書いていきたいと思いまーす。

****

私、二宮梨花。中学校二年生の14歳。そして好きな人はお兄ちゃん。趣味はお兄ちゃんを眺めることっ!私的にはせっかくの休みお兄ちゃんと遊びたいんだけど、なぜか今私はチビと一緒に大型のショッピングモールにいる。

「なんで私はここに居るの?」

「………え?なんの話だ?」

「そうですよねー。こんなにちっこい子に訊いても答えなんて出るわけがないですよねー。身長も脳も小さいもんねー」

「ちょっともう一回いってみろっ!!」

「何度だって言ってあげますよ。チビ草っ!!」

「だ、黙れ黙れっ!!」

「黙れしか言えないんですかねー?」

「もう、うるさいっ!というか社会科見学でパスタ屋さんで働くんでしょ?」

「いや、違う。そんなの知ってるし、なんでチビ草なんかと一緒なのかって訊いてるんだよ。このバカチビ草」

「そんなの知らねえよ。先生がそうしろって、というか俺は馬鹿じゃねえっ!どんどん増やすんじゃねえよっ!」

「じゃ、バカチビ草生える。にしましょう」

「はぁ!?そんなのもう名前にすらなってねえじゃねえかっ!バカチビ+草生える。みたいになってるからっ!そこは変えないでくれないか?」

「はぁ。いじり飽きたし、行きましょう?クソぶた君」

「俺はチビだが豚じゃねえし、名前の面影すら残ってねえじゃねえかっ!」

全く、なんでこんなにいじられないといけないんだ……そんなに俺のことが嫌いなのかな

「はぁ、納得してるじゃない。遅刻しちゃうし早くしてくれる?」

「あ、あぁ」

こんなところにこんなチビ草と一緒だなんて最悪だわ。本当ならお兄ちゃんと……でも、お兄ちゃんはあの白髪の子と付き合ってる。なんの報告もされなかったけど、全部きいちゃったもん。あのよくわからない……確かインスタントガールフレンドだっけ?

「はいっ!なにか用ですか?」

「………え!?いつからそこに……」

「ん?大丈夫か?」

「……は?なに?私と二人で出かけたくらいで付き合っているとか思ってるんですか?そういうの無理なんでやめてください?気持ち悪いです。ごめんなさい」

……うん?なんだ?口が勝手に動いたんだけど……

「誰もそんなこと思ってるだなんて言ってないんだけどな……」

というか、そんなに嫌なのかな……俺がチビだから横に歩いてて恥ずかしいとかあるのかな……

「あ、そうそう。ひとついい?私のお兄ちゃんとあってしまったら、映画館に来たってことにしてくれない?」

まただ……なにかインスタントガールフレンドとかいうよくわからないやつに何かされたのか?

「(ごめんなさい。でも、これが貴方をお兄さんとくっつけるのには必要なのです。なので、ここは任せて)」

「……は?なんで?」

「なんでもいいでしょ?ほーらさっさと頷くっ!」

まあ、いいか。任せていれば……これでお兄ちゃんと…へへ。

「あ、……うん」

「よし、よろしい。じゃ、向かいますかー!」

「あ、うん……って、そっちじゃないぞー!!」

梨花は全く職場とは正反対に走っていく。

「お兄ちゃんー!」

………なんだこいつ。先読みとか出来るのか?

仕組まれてるかのように梨花のお兄さんは出て来た。

「火憐っ!?」

あっちもかなり驚いているようだ。

「うんっ!お兄ちゃんっ!久しぶりー!!」

………あれ?なに?学校ではあんなに冷たいというか……無関心というか…なのに、お兄さんの前だとキャラが変わった。猫を被るっていうのかな?

「おう。で、そこの子は?」

「あ、えっと、二宮さんの友達の天草昨夜です。宜しくお願いします」

「おう。よろしくね。で、なにしてたの?」

今日はこいつに誘われて映画に来ただけだよ」

「そっかー。じゃ、またな」

「うんっ!またねっ!」

と、兄妹なのにかなりあっけなく話も全然しないで別れてしまった。僕は一人っ子だしそこら辺は全然わからないんだけど……

「……いいの?」

「ん?なにが?早く行くよっ!チビ草っ!」

「あ、うん……ってチビじゃねえっ!!」

そして、僕らの社会科見学の場所に二宮に引っ張られる形で向かう。

なんだろう?この感じ…好きかも……

「ここか」

「そうだね。じゃ、行こうか」

「う、うん」

僕ら中学校二年生からしては大人が働いている所って言うのは正直怖いし、そりゃはじめの一歩が出ないのは仕方ないことだ。

「なにしてるの?先に行ってるからね。こんにちはー!これから三日間こちらで社会科見学させてもらうために来ました!!」

と、ハツラツと挨拶するやつ。

「こ、こんにちはーー!」

と、声と勇気を振り絞って僕も挨拶をしながら入った。

「お?君達が?よろしくねー!」

「よ、よよよろしくお願いします……」

「あ、そんなに緊張しなくていいよ。なんならタメ口でもいいよっ!私は店長の瀬川 遥【せがわ はるか】あとあっちで働いてるのは……まあ、いいか。あとで朝礼があるからその時にねっ!」

すごい丁寧だな。そして、優しそうな人だ。少し緊張がほぐれた気がする。

「あ、はいっ!よろしくです」

「よろしくお願いしまーすっ!!」

「元気ねー!じゃ、とりあえずタイムカードから教えるからこっちに来て」

「はいっ!」

と、それからはタイムカードやら仕事のやり方やらを教えてもらって開店前に10分間の休憩を貰えたので、そこで僕はおさらいをしていた。そして、二宮は女の他の店員さんに「こっちの制服の方がかわいいよー」とか言われて軽く着せ替えドール状態だった。

まあ、それは聞こえてくる声を頼りに妄想を繰り返して……って別に俺は二宮の服の下のこととか全然考えてないんですけどね?

いかんいかん。仕事が始まってしまうではないかっ!

「えーっと、最初はお冷とメニューを出して、ご注文がお決まりになりましたらこちらのボタンでお知らせください。と、ピンポンを手で指しながら下がる。か」

声が漏れていたようだ。

「そうそう。完璧じゃないっ!」

「て、店長さん!?」

「あ、ごめんなさい?でも、そんなに緊張しないでいいのよ?失敗は成功の元。とも言うしどんどん失敗しなさい。全部フォローしてあげるわよっ!そのために私がいるのだから」

大人になったらこんな上司がいるところで働きたいな……

「は、はいっ!お願いします」

「店長。仕事して下さいよっ!」

と、眼鏡をかけた美人な人が怒鳴りながら来た。

「……いつも怖いなぁ。莉子ちゃんは」

店長はなんというか……大人な魅惑の女性って感じでこっちは魔性の女的な……それのツーショットは中学生の目には余るものがあり……

「社会科見学に来た天草昨夜です」

と、挨拶はするが、目は泳ぎっぱなしだ。確かに……ここの制服は多種多様でかわいいものばかりのようだ。店長はメイド系のフリフリしたリボンや刺繍やらが入っているもので、こんなので「おかえりなさいませっ!ご主人様っ!」なんで言われたらデレデレすること間違いなしだ。と、反対にこの人は鞭を持って「豚がっ!」的なことを言っていそうな服だが、全然似合っているのでそんなことを考えてはいけないのである。

「そう。今日からだったのね。よろしく」

「天草くん。莉子ちゃんは怖いのよー?てんちょー頑張ってるのに怒るの」

「あ………そうなんですか?」

「店長っ!!あなたがいつもサボってるから怒るんですっ!!」

「じゃ、店長は行きますね。ではでは~」

ガチャ……

と、様子を伺うように女子の休憩所から出て来たのは……だれだ?

ごくん。

「………な、なに?」

一見大人じみて見えて誰かわからなかったが、声を聞いてわかった。二宮だ。

黄緑を主体としたフリフリのリボンやらが付いていて頭には白色のカチューシャ。それをこいつが着ているんだ。そりゃーもうどストライクっ!と言うしかない。

「い、いや……なんでもない」

「あっそ」

……なんで俺は素直に言えないんだ?

「そろそろ時間だよ」

「あ、うん……」

そうして僕らの社会科見学はスタートしたのである。

凄いよな。あいつは……なんでこんなことをすらすらできるんだろう?

お客さんが入ってきたら笑顔で丁寧に席まで案内して……ってことができるんだもんなぁ。

俺も頑張らないと……

そんなこんなで仕事をしていた。

僕もやっと少しは慣れたのかお冷の提供などはしっかりと出来るようになっていた。

そして、時間は二時。

僕らは三時で終わりなのでもう終盤ってところに差し掛かり気が抜けそうになるような時間だ。

そんな時…

チャリンチャリン……

と、お客さんが入店した時になる音が鳴った。

僕はその場には居なかったがなったら当然そちらの方を見る。

「いらっしゃいませー!何名様ですか?」

「二人です」

と、見覚えのある二人組が来ていた。

二宮の兄のカップルだ。

並んでると美男美女の完璧にバランスの取れているカップルだと思う。俺も二宮と並んだらあんな感じになれるのかな?

「……ねぇ、ねぇねぇ」

と、小声で僕に話しかけて来ている僕より背の高い二宮……

「なに?」

「バレないようにしてっ!お願いっ!」

「なんで?」

「別に訳はいいでしょ!とにかく嫌なのっ!!」

「えー!だって社会科見学といえど仕事だし……」

「じゃ、なんかお願い聞いてあげるからっ!」

と、かなり必死に頼みかけてくるので……僕はホールに出るような仕事よりも裏の方の仕事を店長やらに聞いてやる。

なのであっちでなにがあったかはわからない。

「じゃ、今日はお疲れ様でした。また明日もお願いねー」

と、定刻三時になった。

疲れた帰ろう。

そして、帰りの電車内。

「でさ、お願いなんか言ってみて」

「………は?」

「だから、お願いだよっ!さっき言ってたでしょ!?」

「あ、あー。お兄さんの方に行かないでってやつね」

「そうそう。わかってるじゃない」

急に言われてもな……

うーん……そうだな。

「じゃ、質問いいか?」

「ん?いいよ?」

「今お前……付き合っているやつはいるか?」

「………はぁ!?い、いいいいるわけないじゃにぃ!!」

……なにこれ。こんなにパニックになるか?かわいい…

なんでこんなこと聞いてくるの!?私は好きな人なんてお兄ちゃんしかいないし……そうお兄ちゃん。

「じゃ、さ。告白されるなら誰がいい?」

な、なに聞いてるんだ俺!?馬鹿なんじゃねえのか!?

「そ、そんなの………だ、誰かわからないとわからないもんっ!」

「……じゃ、俺…とか?」

「………は?そ、そんな急に言われても……」

『まもなくーまもなくー勝田台』

と、車内アナウンスが流れた。

最寄駅か。だけど、まだだ……あいつの本当のこと訊きたい。勢いに任せてだったけど……もう、自分に嘘をつきたくないっ!!

「なぁ、二宮……」

「じ、じゃ、私ここ……バイバイッー!!」

と、電車が開くと同時に飛び出て言ってしまった。

……僕もここが最寄なんだけどな。畜生っ!!なんであそこまで言って自分の本当の気持ち言えねえんだよっ!!

僕は誤魔化してばかりだ……

素直になれればな……

僕は彼女が去って行ってしまった背中を追うこともなく静かにゆったりとした足並みで電車から降りた。
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