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第5話
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5話
先生は中年のおじさんで、なかなかの実績を持っていそうな人であった。
先生は教室に入ると、さっきまで、少年野球少年の声くらいうるさかったあの中坊共が黙って、自分の席に着いたのが椅子の引かれる音などでわかった。
あれから5分くらい経った…
キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン……
ホームルームの終了のお知らせのチャイムとともに、妹が出てきた。
どうやらホームルームが、終わったようだ。
「あ、お兄ちゃん!さっきは本当に恥ずかしかったんだから…」
妹は顔で茶を沸かせそうなくらいに、真っ赤っかになっていた。
「ごめんごめん」
「授業参観始まるから、早く来てね」
次の授業から、授業参観のようだ。
しばらく時間があったので、僕は自分の辛い過去。授業参観を思い出してみる。
*****
「はーい!この問題わかる人ー」
しーん…………
恥ずかしいのかわからないが、誰も手をあげず、だんまりをきめこむクラスの同級生。
「なに?この感じ…」
そんな光景に、保護者などがざわめき始めた。
これはまずいだろう。この中学校はしっかりやってるのか?という確認のため、授業参観ってのは開かれる。
それなのに、こんなのじゃ納得行かないのが、この親たちだ。
そんなひどい空気の中。一人、ニヤニヤしながら真っ直ぐ美しいフォームで手をあげるやつがいた。
「はい!」
「お、柴崎さん!わかりますか?」
柴崎れん。僕の天敵のやつだ。
「こいつがわかるらしいです」
こいつは僕をみて指を指していた。
…………………は?
その発言で一転、空気が変わる。さっきまで、だんまりをきめこんでた奴らは笑い始めるし、保護者はこっちをじーっと、見つめてくる。
なんて、プレッシャーだ。
あ、説明が遅れたが、こいつは幼稚園の頃からの友達?だ。いわゆる、幼馴染みって言われるものだろう。
なのに…僕をいじめることをさせたら多分こいつの右にでるものはいない。
僕の天敵だ。
小さい頃はもう少しは仲よかったのにな…
幸い、その問題はそこまで難しい問題ではなかったので、簡単に解く。
保護者たちも先生もクラスの奴らも黙ってくれたから、良かった。
ほら見ろ、答えてやったぜっ!!と言わんばかりに、目で僕はれんに眼を飛ばし、席に座った。
やつは、その僕の煽りが気に食わなかったのか、舌打ちをして、そとを眺めながら、頬杖をつく。
まあ、どうにかなったから良かった。返り討ちにも出来たし……
だが、今でもあいつは憎い…
他にもいろいろされているのでね…
そんなこと苦い過去を思い出していたら、授業参観が始まっていた。
僕は慌てて教室に入り、授業参観を見る。
授業内容は数学とまあ、普通の授業であった。
え?
その授業内に僕は疑問点を見つける。
なに?これって、誰もさされてなくない?
そんな、つまらない授業参観が終わり、さっとみんなが帰ったあと、先程の担任の先生に聞いてみた。
「あの、すいません」
「はい?」
「なんで、発表を誰もせずに終わったんですか?」
先生は当然のように言ってきた。
「それは、いじめ防止の為です。」
「え?」
授業参観でいじめをするやつなどいるのだろうか?
あ。そうか。
一瞬で、なぜ発表がなかったか理解した。
これの原因は柴崎れんと僕のせいだってことを…
先生が口を開いてこう言った。
「これはそう2年前、なんか授業参観でいじめがあって………と、長い話をペラペラ喋っていた。
もう、理由がわかっていたので、僕はそんな先生を無視し、昇降口へと向かう。
「お兄ちゃん遅いよ」
頬をふくらまし、むすーっとしている。
「ごめんごめん」
「お腹減ったー」
「んじゃ、どっか食べに行くか?」
「うんっ!!」
笑顔で肯定された。僕のおごりになるだろうから高いのは無理だな…
「で、どこに行きたい?」
「…………だよね?やったーっ!!」
なんでか、妹は浮かれている。
「おーい!梨花さん」
「…………な、何?」
話しかけると、なんでかビクッと体を跳ねあがらせ、まるで、陸に上がった海老のようだった。
「な、何?ってどこいきたいか聞いてるだけなんだが…」
「え、えーと…私はね、お兄ちゃんが行きたい場所に行きたいな」
「そ、そうか…なら、適当に決めるけど大丈夫か?」
「うんっ!」
「なら、ついてこい」
中学校から徒歩5分くらいで着くファーストフード店に僕達は向かった。
「ここでいいか?」
「うんっ!」
妹と僕はさっと注文を行い、席に座った。
「じゃ、いただきます」
「いただきまーす」
「ねえねえ、これってデート?」
妹がよくわからない質問をしてきた。
デートな訳ないだろ?いや、待てよ?これは周りの人から見たらデート……ってことになるのか?そ、そんな訳ないよな?だ、第一兄妹なんだしあり得ないよな?確信は持てなかったが、僕は全力で否定した。
「なんで?」
「な、なんでってそれは…なぁ」
「じゃ、デートだよね?」
妹は僕に必死に訴えかけてきた。まるで、売れない芸人がネタ売りをしているみたいだった。
「お、おう」
妹の必死さに僕は負けた…
言葉にはしなかったが、妹が笑顔で喜んでいた。
僕はこの笑顔を見るために肯定したんだなと思い込んだ。
「ごちそうさまでした。」
「じゃ、帰るか」
「え?そんなのいやだよっ!!」
僕は、疑問文を送ったのではないっ!なのに返すなっ!
「ねっ!いいでしょ?」
妹が上目遣いで言ってきた。
こ、こんなの反則だっ!!
「わ、わかったよ。行きゃいいんだろ?」
「お兄ちゃんっ!だーいすきっ!」
そして、僕達はまるでデートみたいにゲームセンターやその他いろいろな場所に連れまわされ……
妹が満足したのだろう。
「家帰ろ?」
と、言ってくれた。だが、ぼくの財布は軽くなっていた。
「お、おう……」
「うん?どーして、お兄ちゃんは泣いてるの?」
「な、なんでもないぞ……」
そして、僕達は家に帰った。
とにかく疲れた。これで、やっと一息つける…
「風呂でも入って寝るか」
そして、さっさとお風呂にはいり、寝た。
翌日、テストだってことに学校に着いてから気づいた。
元々頭はいい方なので、日曜日は勉強していなかったが、土曜日に白崎さんと一緒に勉強したので、僕はまあまあの出来だった。
一方、白崎さんはと言うと、可もなく不可もなくって感じだった。
「やりましたよっ!」
「テストですか?」
「はい!私史上、最高得点を取れた気がしますっ!」
なんでだろう…僕も嬉しいな…こんなのは、初めてなような気がする。
「良かったですね」
僕は心から良かったですねって言えたような気がした。
「これは、二宮くんのおかげですね」
「いえいえ、僕は何もしてませんよ、白崎さんの実力です」
「で、でも…お礼をさせて下さいっ!!」
顔を赤らめて言ってきた。
お、お礼?!
僕は何かしたんだろうか?
少し勉強を教えただけで、その時に僕はお礼を貰っているし…白崎さんと一緒にいれたって、それだけで良かったんだが…
でも、白崎さんと一緒にいれるならどんな事があっても行こう。
「お礼ですか?いいですよ」
あ…………
やっちまったァァァァァァ!!
なんで?こんなに緊張してしまうんだろう?白崎さんはかわいいとは思うが…好きなのか?僕は白崎さんが好きなのか?で、でも……恋ってこんなものなんだろうか?白崎さんを見たらドキドキして、目を見て話すだけで顔が赤くなるのがわかるくらいに緊張するのか?
恋の経験がない僕は全くわからないし、好きって気持ちも意味がわからない。『好き?なにそれおいしいの?』って聞いてやりたいぜ。
「お礼をさせて下さいっ!!」
顔をゆでダコみたいに真っ赤に染めて、僕を見つめてきた。
「わかりました」
お礼を言われただけで、ドキドキして大丈夫か僕!しっかりしろ!
これが恋の病ってやつならリア充共はどうかしてるぜっ!!
ふと、白崎さんを見たら笑顔で僕を見つめていた。
やめてくれぇぇぇぇぇ!!
そんな笑顔で僕を見ないでくれ!
おお、神よ…僕に試練を与えないでくれ…
マジで死にそうだ。心臓麻痺しかねない…
ん?これって……好きってことなのかな?
「じゃ、次の休みに…って、夏休みですねっ!」
…………………
あ、そうか!
明日学校に行ったら夏休みか
僕はどうにか感情を抑えて
「じゃ、夏休みに」
っと、言ったその時に教室の扉がガラガラガラっと勢いよく開いたっ!
息が荒い人が扉の前に立っていた。余程急いでいたんだろう。ん?どっかで見たような美少女だった。
「に、にの……みやぁぁ しろぉぉう」
大声でなんか言っていた。
なんだ?なんだ?荒手のドッキリか何かなのか?
「に、にの……みやぁぁ しろぉぉう」
な、なんだ?こいつは?変なやつだな。僕はこんな人とは関わりたくなかったので帰ろうとしたが…
「ねえ、二宮くん。あの人、二宮士郎って言ってない?」
え?な、なんで?ってか誰だ?
「いたぁぁぁぁ!!!」
すると、ズカズカと教室に入ってきて僕の前に仁王立ちした。
はあ?だれだよ?
今の現状的にどうやら、僕に用があるようだ…
あまり、関わりたくないんだが…
「あの、どちらさまですか?」
「井上渚よ」
「あ…………」
「な、なによ?その死んだ人が帰って来たみたいな顔は」
どんな顔だよ!っと心の中でつっこんで帰ろうとした。
「ちょっと!待ちなさいよ!」
ギャグが滑って恥ずかしいのか、この人は僕を止める。
「なんか用ですか?」
その執念に負け、話だけは聞く。
「えっと…ね?」
と、もじもじして喋らないこのロリっ子。
「あの…二宮くんこの人は誰ですか?」
なんて説明すればいいんだろう。あ、そうか。
「簡単に言えばツンデレです」
………………
「あ、あーツンデレですかー」
「だから…」
「そうです!ツンデレです」
「二宮士郎!人の話を聞きなさいっ!!」
大声で白崎さんとの会話をブチ切られた。
あ…この人の存在忘れてた…
「で、なんですか?」
「べ、別にあんたに話があってきたんじゃないんだからねっ!」
「あー本当だツンデレだー」
白崎さんは口をポカンと開けてぷかぷかしている…
「じゃ、なんで来たんですか?」
「そ、それは…そ、そうよ悪い?あんたに話があったら何か悪いの?」
あっ、デレた…
僕はこの子にどう思われているんだろう?よし!妄言実行だ!!
「インスタントガールフレンドいるんだろ?」
「はーい!当然居ますよ」
「あのレーダー使ってくれないか?」
「はーい!」
また、インスタントガールフレンドの能力を使って井上 渚さんの僕に対する好感度を見た。
この人も赤であった。
「おぉ!しろーさんすごいじゃないですか!2人も攻略して」
「人の人生をどっかのギャルゲーみたいに言ってんじゃない!」
「ごめんなさーい」
「ねえ、聞いてるの?」
「は、はい…」
「な、夏休みに入るじゃない?」
「は、はい」
「か、勘違いしないでよねっ!あんたの事なんて、そこらへんに落ちてるゴミよりもどうでもいいけど…映画のチケットもらっちゃったから、一緒にいってあげてもいいわよっ!」
僕は『はい』としかいってないのに暴言吐かれて、なんなんだよ…
「…………え?」
「そ、そんなに来たいなら一緒に行って………あげなくもないけど…」
この一言で、暴言とかのお返しにいじめたくなった。
「なら、行かなくてもいいんですよね?」
「わ、わかったわよっ!一緒に………映画に……いきたいです…ってなに言わせんのよっ!!」
思った以上にツンデレだった。
「え?なんだって?『わかったわよっ!』から聞こえないな」
こんな人いたら、いじるよね?
「だ、だから…次の休みに遊んでくださいって言ってるのよっっ!!」
顔を赤らめていたが、顔を両手で塞ぎ、恥ずかしいのを必死に隠していた。
「じゃ、行ってあげます」
と、仕方なく肯定してあげた。
そんな時、白崎さんは一人で帰ろうとしていた。
「そこの白髪の人」
「えぇ?わ、私ですか?」
「ええ、そうよ」
「あなたもくる?」
「え?でも、お二人の邪魔になったら悪いし…」
「大丈夫よっ!ね?」
「大丈夫に決まってますっ!」
僕から言わせてもらうなら大歓迎だった。
「じゃあ、お言葉に甘えて行かしてもらいますねっ!」
それから、僕達は帰る事になった。
「じゃ、私はこっちだからまたねー」
「じゃ、帰りますか?」
「はい!」
学校の帰り道は白崎さんと帰るのが、普通になっていた。
そんな帰り道、白崎さんが悩んでいることがわかった。
「あの、どうかしましたか?」
僕は紳士っぽく訊く。
「えっと、あの人の名前はわかったんですが…何学年なんですか?」
「3年らしいですよ」
白崎さんは、僕が井上さんに初めてあった時と同じ反応をした。
「だ、大丈夫ですよ!僕も始めてあった時は、3年?嘘だって思ってましたから…」
「そ、そうですか?」
なんだよっ!僕の脳を溶かしてしまうようなデタラメに可愛い甘えるような表情!僕が僕でいられるうちにやめてくれぇぇぇ!!
「は、はいっ!!」
緊張し過ぎて、声が裏返った…やばい!!
「大丈夫ですか?」
だから、勘違いしちゃうでしょ?やめてくれ…
「だだだ、大丈夫ですよ」
「それならいいんですが…」
な、なんで普通に話せないんだ?
前から話したりしてるのに、いつもこうなっちゃうんだよなー
こんなときどうしたらいいんだ?
「こんな時こそ私を頼ってくださいよー」
「あっ!そうか………ってお前はどこからでてきてんだよ」
やつは誰か知らない人の家のベランダから現れた。
「次はもっと変なとこから…」
「おい、聞こえてんだぞ?突き刺すぞ?」
「ご、ごごごめんなさいっ!マジ勘して下さい!!」
これは…使えるっ!!よしよし、インスタントガールフレンドにはこれが有効だ。
次なんかやったら…ひひひ。
「し、士郎さん?」
「突き刺すっ!!」
「いーやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「その話は置いといて士郎さん」
「なんだ?」
「もっと白崎さんと話したいんですよね?」
インスタントガールフレンドのせいで、当初の目的忘れていた…
「あ、ああ。話したいっ!もっと白崎さんと仲良くなって……いずれは……結婚したいっ!!!」
…………はっ!俺はこんなことまで考えていたのか。やっぱり、好きっていうやつなのかな?
「はい!この身に変えても結婚へのルートを、全力でサポートさせていただきますっ!」
っと、すごい迫力で言ってきた。
「お、おう。で、どう話せばいい?」
「とりあえず、話題を………さっきの映画とかの話をすればいいんじゃないでしょうか?」
「わかった。」
インスタントガールフレンドにまた助けられてしまった…なんか…複雑な気持ちであった。
「あの、白崎さん」
「なんですか?」
「映画……楽しみですね」
「はいっ!」
「なんの映画なんですかねー」
「私は恋愛系がいいですねっ!最近話題の「彼女の事情」とかだといいですあ、あとあと………」
かなり、映画が好きなようだ。
「士郎さん?訊いてます?」
「あ……はいっ!」
「じゃ、僕はこっちなんで…」
「あ、明日私が迎えに行きたいので家教えてくださいっ!」
僕の家教えたら妹がなにをするか…想像するだけで怖い…
「いや…時間さえ教えてくれれば行きますよ?」
「で、でも…」
「だ、大丈夫ですから」
どうにか彼女を説得して彼女が家に来ると言う災難は避けられた。
「じゃ、8時くらいに来てくださいねっ!」
「はい」
そして、僕たちはそれぞれの家に帰っていった。
家に着いた。
「ただいまー」
「お兄ちゃんっ!おかえり」
いつもと同じように抱きついてくる。でも、そんなことはどうでもよかった。
明日のデートのことが気になって、つい表情に出してしまった。
「ねえ、お兄ちゃん?なんでそんなにニヤついてるの?」
「いや、これは…」
「お兄ちゃん?いい子だから話そうか?」
妹は悪魔にでも体を売り払ったんであろうか?
異様なまでの殺気が僕を締め付けてくる。
痛いっ!愛がありすぎて痛い…
「いや…」
「なに?お兄ちゃん?」
そう言うと、妹は玄関の近くにあったナイフ手に取りそれを僕に向け、のそのそと近寄ってくる…
「梨花?梨花なのか?」
返事がない。
怒りで我を失っている?
ま、まさか!?暴走!?
「は、話しますから…ね?そのナイフを置いて話を聞いてくださいっ!」
僕の必死の問いかけもまるで意味がない。
「お兄ちゃんは私のなんだっ!!!」
またか!また、いかれちまった…
「梨花、お兄ちゃんはどこにもいかないぞ?大丈夫だ」
やれやれ手のかかる妹だ。
「ほんと?」
「絶対だ!」
妹はニッコリ微笑むと気を失ったように寝てしまった。
妹を妹の部屋に運んで僕も自分の部屋に向かい寝た。
そして、次の日終業式になった。
「よう、士郎。ところで結果はどうなんだよ?」
終業式って言ったら成績である。
柴崎 れん(やつ)がきた。ふざけた笑みを浮かべてこっちへどしどしとやってくる…
「まあまあってところ」
と、いって成績表を見せる。
「今回も負けた…」
やつの悔しがる顔を見るとなんだろう嬉しい…
なんて、ことがあったが、そんなことはどうでもいいことだ。
ジリリリリリリ!!
「……………あ、朝か?」
時計の針は7時30分を指していた。
さっさと支度して行くか!
服はどうするか?
いつもは学校帰りなどが多く、私服なんて使ってこなかったけど、どうしよう?きっと白崎さんとかはオシャレな服着てくるんだろうなぁ…
僕はどうだ?オシャレな服なんて無縁じゃないか…
どうしよう……
「こんな時こそ私の出番っ!インスタントガールフレンドですっ!」
今回は屋根裏から奴は現れた。もう、慣れてきた。
「インスタントガールフレンドの出番と言っても服はどうにもならないでしょ?」
「まかせてくださいっ!」
いつも通りやる気満々だ。僕はこいつのこんなことがすごいと思う。
「でも、どうするんだ?」
「それは、しろーさん。服は?」
「クローゼットの中のが全部だ。」
「どれどれ…」
インスタントガールフレンドは僕のクローゼットをあさり、服を探して合わせ始めた。
インスタントガールフレンドは、黒の喪服みたいなやつとかをひっぱりだしてきた。
「ねえ、どうすんの?」
「これと…これと…よし、出来た。
しろーさんっ!出来ましたよっ!」
………出来た?
嫌な予感が………
「服を引きちぎって紡ぎ合わせましたー」
「……………………えぇぇぇぇ!!」
「なにしてんだよ!!!」
僕はナイフを取り出して投げ、インスタントガールフレンド一直線に向かった。ナイフはインスタントガールフレンドの顔の横をすり抜けて壁に突き刺さった。
「な、なにするんですか?しろーさんっ!」
「そりゃ、そうだろ?なに人の服破って新しいの作ってんだよっ!!」
「でも、許可はとりましたよ?」
「いつだ?」
「どうやって作るかって言ったじゃないですか」
「違う!俺は『作るか』とはいってないっ!どうするかって訊いたんだ」
「でも、出来ましたよ?」
僕は服を見て度肝を抜かれた。
いま流行りの服になにかのアレンジを加えた感じだ。
「お、おう…」
言葉が出てこなかった…
「これにこのジーパン合わせて、適当にこうして…」
「完成っ!」
「はいはいしろーさん。鏡見てみてくださいっ!」
鏡を見ると…
本当に俺…なのか?
「しろーさんどうですか?」
「これ…いいよ」
心からの声だった。
「じゃ、もう時間近いですよ?」
「あの…ありがとう…な」
「私はインスタントガールフレンドとして普通の事をしたまでです。ほらしろーさんさっさといって好感度上げてきてくださいねっ!」
「おう、任せろ」
自転車に颯爽と乗って走り始めた。
白崎さんの家までかなり近いので、3分未満で、白崎さんの家に着いた。
そして、白崎さんの家のインターホンを押し、待った。
先生は中年のおじさんで、なかなかの実績を持っていそうな人であった。
先生は教室に入ると、さっきまで、少年野球少年の声くらいうるさかったあの中坊共が黙って、自分の席に着いたのが椅子の引かれる音などでわかった。
あれから5分くらい経った…
キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン……
ホームルームの終了のお知らせのチャイムとともに、妹が出てきた。
どうやらホームルームが、終わったようだ。
「あ、お兄ちゃん!さっきは本当に恥ずかしかったんだから…」
妹は顔で茶を沸かせそうなくらいに、真っ赤っかになっていた。
「ごめんごめん」
「授業参観始まるから、早く来てね」
次の授業から、授業参観のようだ。
しばらく時間があったので、僕は自分の辛い過去。授業参観を思い出してみる。
*****
「はーい!この問題わかる人ー」
しーん…………
恥ずかしいのかわからないが、誰も手をあげず、だんまりをきめこむクラスの同級生。
「なに?この感じ…」
そんな光景に、保護者などがざわめき始めた。
これはまずいだろう。この中学校はしっかりやってるのか?という確認のため、授業参観ってのは開かれる。
それなのに、こんなのじゃ納得行かないのが、この親たちだ。
そんなひどい空気の中。一人、ニヤニヤしながら真っ直ぐ美しいフォームで手をあげるやつがいた。
「はい!」
「お、柴崎さん!わかりますか?」
柴崎れん。僕の天敵のやつだ。
「こいつがわかるらしいです」
こいつは僕をみて指を指していた。
…………………は?
その発言で一転、空気が変わる。さっきまで、だんまりをきめこんでた奴らは笑い始めるし、保護者はこっちをじーっと、見つめてくる。
なんて、プレッシャーだ。
あ、説明が遅れたが、こいつは幼稚園の頃からの友達?だ。いわゆる、幼馴染みって言われるものだろう。
なのに…僕をいじめることをさせたら多分こいつの右にでるものはいない。
僕の天敵だ。
小さい頃はもう少しは仲よかったのにな…
幸い、その問題はそこまで難しい問題ではなかったので、簡単に解く。
保護者たちも先生もクラスの奴らも黙ってくれたから、良かった。
ほら見ろ、答えてやったぜっ!!と言わんばかりに、目で僕はれんに眼を飛ばし、席に座った。
やつは、その僕の煽りが気に食わなかったのか、舌打ちをして、そとを眺めながら、頬杖をつく。
まあ、どうにかなったから良かった。返り討ちにも出来たし……
だが、今でもあいつは憎い…
他にもいろいろされているのでね…
そんなこと苦い過去を思い出していたら、授業参観が始まっていた。
僕は慌てて教室に入り、授業参観を見る。
授業内容は数学とまあ、普通の授業であった。
え?
その授業内に僕は疑問点を見つける。
なに?これって、誰もさされてなくない?
そんな、つまらない授業参観が終わり、さっとみんなが帰ったあと、先程の担任の先生に聞いてみた。
「あの、すいません」
「はい?」
「なんで、発表を誰もせずに終わったんですか?」
先生は当然のように言ってきた。
「それは、いじめ防止の為です。」
「え?」
授業参観でいじめをするやつなどいるのだろうか?
あ。そうか。
一瞬で、なぜ発表がなかったか理解した。
これの原因は柴崎れんと僕のせいだってことを…
先生が口を開いてこう言った。
「これはそう2年前、なんか授業参観でいじめがあって………と、長い話をペラペラ喋っていた。
もう、理由がわかっていたので、僕はそんな先生を無視し、昇降口へと向かう。
「お兄ちゃん遅いよ」
頬をふくらまし、むすーっとしている。
「ごめんごめん」
「お腹減ったー」
「んじゃ、どっか食べに行くか?」
「うんっ!!」
笑顔で肯定された。僕のおごりになるだろうから高いのは無理だな…
「で、どこに行きたい?」
「…………だよね?やったーっ!!」
なんでか、妹は浮かれている。
「おーい!梨花さん」
「…………な、何?」
話しかけると、なんでかビクッと体を跳ねあがらせ、まるで、陸に上がった海老のようだった。
「な、何?ってどこいきたいか聞いてるだけなんだが…」
「え、えーと…私はね、お兄ちゃんが行きたい場所に行きたいな」
「そ、そうか…なら、適当に決めるけど大丈夫か?」
「うんっ!」
「なら、ついてこい」
中学校から徒歩5分くらいで着くファーストフード店に僕達は向かった。
「ここでいいか?」
「うんっ!」
妹と僕はさっと注文を行い、席に座った。
「じゃ、いただきます」
「いただきまーす」
「ねえねえ、これってデート?」
妹がよくわからない質問をしてきた。
デートな訳ないだろ?いや、待てよ?これは周りの人から見たらデート……ってことになるのか?そ、そんな訳ないよな?だ、第一兄妹なんだしあり得ないよな?確信は持てなかったが、僕は全力で否定した。
「なんで?」
「な、なんでってそれは…なぁ」
「じゃ、デートだよね?」
妹は僕に必死に訴えかけてきた。まるで、売れない芸人がネタ売りをしているみたいだった。
「お、おう」
妹の必死さに僕は負けた…
言葉にはしなかったが、妹が笑顔で喜んでいた。
僕はこの笑顔を見るために肯定したんだなと思い込んだ。
「ごちそうさまでした。」
「じゃ、帰るか」
「え?そんなのいやだよっ!!」
僕は、疑問文を送ったのではないっ!なのに返すなっ!
「ねっ!いいでしょ?」
妹が上目遣いで言ってきた。
こ、こんなの反則だっ!!
「わ、わかったよ。行きゃいいんだろ?」
「お兄ちゃんっ!だーいすきっ!」
そして、僕達はまるでデートみたいにゲームセンターやその他いろいろな場所に連れまわされ……
妹が満足したのだろう。
「家帰ろ?」
と、言ってくれた。だが、ぼくの財布は軽くなっていた。
「お、おう……」
「うん?どーして、お兄ちゃんは泣いてるの?」
「な、なんでもないぞ……」
そして、僕達は家に帰った。
とにかく疲れた。これで、やっと一息つける…
「風呂でも入って寝るか」
そして、さっさとお風呂にはいり、寝た。
翌日、テストだってことに学校に着いてから気づいた。
元々頭はいい方なので、日曜日は勉強していなかったが、土曜日に白崎さんと一緒に勉強したので、僕はまあまあの出来だった。
一方、白崎さんはと言うと、可もなく不可もなくって感じだった。
「やりましたよっ!」
「テストですか?」
「はい!私史上、最高得点を取れた気がしますっ!」
なんでだろう…僕も嬉しいな…こんなのは、初めてなような気がする。
「良かったですね」
僕は心から良かったですねって言えたような気がした。
「これは、二宮くんのおかげですね」
「いえいえ、僕は何もしてませんよ、白崎さんの実力です」
「で、でも…お礼をさせて下さいっ!!」
顔を赤らめて言ってきた。
お、お礼?!
僕は何かしたんだろうか?
少し勉強を教えただけで、その時に僕はお礼を貰っているし…白崎さんと一緒にいれたって、それだけで良かったんだが…
でも、白崎さんと一緒にいれるならどんな事があっても行こう。
「お礼ですか?いいですよ」
あ…………
やっちまったァァァァァァ!!
なんで?こんなに緊張してしまうんだろう?白崎さんはかわいいとは思うが…好きなのか?僕は白崎さんが好きなのか?で、でも……恋ってこんなものなんだろうか?白崎さんを見たらドキドキして、目を見て話すだけで顔が赤くなるのがわかるくらいに緊張するのか?
恋の経験がない僕は全くわからないし、好きって気持ちも意味がわからない。『好き?なにそれおいしいの?』って聞いてやりたいぜ。
「お礼をさせて下さいっ!!」
顔をゆでダコみたいに真っ赤に染めて、僕を見つめてきた。
「わかりました」
お礼を言われただけで、ドキドキして大丈夫か僕!しっかりしろ!
これが恋の病ってやつならリア充共はどうかしてるぜっ!!
ふと、白崎さんを見たら笑顔で僕を見つめていた。
やめてくれぇぇぇぇぇ!!
そんな笑顔で僕を見ないでくれ!
おお、神よ…僕に試練を与えないでくれ…
マジで死にそうだ。心臓麻痺しかねない…
ん?これって……好きってことなのかな?
「じゃ、次の休みに…って、夏休みですねっ!」
…………………
あ、そうか!
明日学校に行ったら夏休みか
僕はどうにか感情を抑えて
「じゃ、夏休みに」
っと、言ったその時に教室の扉がガラガラガラっと勢いよく開いたっ!
息が荒い人が扉の前に立っていた。余程急いでいたんだろう。ん?どっかで見たような美少女だった。
「に、にの……みやぁぁ しろぉぉう」
大声でなんか言っていた。
なんだ?なんだ?荒手のドッキリか何かなのか?
「に、にの……みやぁぁ しろぉぉう」
な、なんだ?こいつは?変なやつだな。僕はこんな人とは関わりたくなかったので帰ろうとしたが…
「ねえ、二宮くん。あの人、二宮士郎って言ってない?」
え?な、なんで?ってか誰だ?
「いたぁぁぁぁ!!!」
すると、ズカズカと教室に入ってきて僕の前に仁王立ちした。
はあ?だれだよ?
今の現状的にどうやら、僕に用があるようだ…
あまり、関わりたくないんだが…
「あの、どちらさまですか?」
「井上渚よ」
「あ…………」
「な、なによ?その死んだ人が帰って来たみたいな顔は」
どんな顔だよ!っと心の中でつっこんで帰ろうとした。
「ちょっと!待ちなさいよ!」
ギャグが滑って恥ずかしいのか、この人は僕を止める。
「なんか用ですか?」
その執念に負け、話だけは聞く。
「えっと…ね?」
と、もじもじして喋らないこのロリっ子。
「あの…二宮くんこの人は誰ですか?」
なんて説明すればいいんだろう。あ、そうか。
「簡単に言えばツンデレです」
………………
「あ、あーツンデレですかー」
「だから…」
「そうです!ツンデレです」
「二宮士郎!人の話を聞きなさいっ!!」
大声で白崎さんとの会話をブチ切られた。
あ…この人の存在忘れてた…
「で、なんですか?」
「べ、別にあんたに話があってきたんじゃないんだからねっ!」
「あー本当だツンデレだー」
白崎さんは口をポカンと開けてぷかぷかしている…
「じゃ、なんで来たんですか?」
「そ、それは…そ、そうよ悪い?あんたに話があったら何か悪いの?」
あっ、デレた…
僕はこの子にどう思われているんだろう?よし!妄言実行だ!!
「インスタントガールフレンドいるんだろ?」
「はーい!当然居ますよ」
「あのレーダー使ってくれないか?」
「はーい!」
また、インスタントガールフレンドの能力を使って井上 渚さんの僕に対する好感度を見た。
この人も赤であった。
「おぉ!しろーさんすごいじゃないですか!2人も攻略して」
「人の人生をどっかのギャルゲーみたいに言ってんじゃない!」
「ごめんなさーい」
「ねえ、聞いてるの?」
「は、はい…」
「な、夏休みに入るじゃない?」
「は、はい」
「か、勘違いしないでよねっ!あんたの事なんて、そこらへんに落ちてるゴミよりもどうでもいいけど…映画のチケットもらっちゃったから、一緒にいってあげてもいいわよっ!」
僕は『はい』としかいってないのに暴言吐かれて、なんなんだよ…
「…………え?」
「そ、そんなに来たいなら一緒に行って………あげなくもないけど…」
この一言で、暴言とかのお返しにいじめたくなった。
「なら、行かなくてもいいんですよね?」
「わ、わかったわよっ!一緒に………映画に……いきたいです…ってなに言わせんのよっ!!」
思った以上にツンデレだった。
「え?なんだって?『わかったわよっ!』から聞こえないな」
こんな人いたら、いじるよね?
「だ、だから…次の休みに遊んでくださいって言ってるのよっっ!!」
顔を赤らめていたが、顔を両手で塞ぎ、恥ずかしいのを必死に隠していた。
「じゃ、行ってあげます」
と、仕方なく肯定してあげた。
そんな時、白崎さんは一人で帰ろうとしていた。
「そこの白髪の人」
「えぇ?わ、私ですか?」
「ええ、そうよ」
「あなたもくる?」
「え?でも、お二人の邪魔になったら悪いし…」
「大丈夫よっ!ね?」
「大丈夫に決まってますっ!」
僕から言わせてもらうなら大歓迎だった。
「じゃあ、お言葉に甘えて行かしてもらいますねっ!」
それから、僕達は帰る事になった。
「じゃ、私はこっちだからまたねー」
「じゃ、帰りますか?」
「はい!」
学校の帰り道は白崎さんと帰るのが、普通になっていた。
そんな帰り道、白崎さんが悩んでいることがわかった。
「あの、どうかしましたか?」
僕は紳士っぽく訊く。
「えっと、あの人の名前はわかったんですが…何学年なんですか?」
「3年らしいですよ」
白崎さんは、僕が井上さんに初めてあった時と同じ反応をした。
「だ、大丈夫ですよ!僕も始めてあった時は、3年?嘘だって思ってましたから…」
「そ、そうですか?」
なんだよっ!僕の脳を溶かしてしまうようなデタラメに可愛い甘えるような表情!僕が僕でいられるうちにやめてくれぇぇぇ!!
「は、はいっ!!」
緊張し過ぎて、声が裏返った…やばい!!
「大丈夫ですか?」
だから、勘違いしちゃうでしょ?やめてくれ…
「だだだ、大丈夫ですよ」
「それならいいんですが…」
な、なんで普通に話せないんだ?
前から話したりしてるのに、いつもこうなっちゃうんだよなー
こんなときどうしたらいいんだ?
「こんな時こそ私を頼ってくださいよー」
「あっ!そうか………ってお前はどこからでてきてんだよ」
やつは誰か知らない人の家のベランダから現れた。
「次はもっと変なとこから…」
「おい、聞こえてんだぞ?突き刺すぞ?」
「ご、ごごごめんなさいっ!マジ勘して下さい!!」
これは…使えるっ!!よしよし、インスタントガールフレンドにはこれが有効だ。
次なんかやったら…ひひひ。
「し、士郎さん?」
「突き刺すっ!!」
「いーやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「その話は置いといて士郎さん」
「なんだ?」
「もっと白崎さんと話したいんですよね?」
インスタントガールフレンドのせいで、当初の目的忘れていた…
「あ、ああ。話したいっ!もっと白崎さんと仲良くなって……いずれは……結婚したいっ!!!」
…………はっ!俺はこんなことまで考えていたのか。やっぱり、好きっていうやつなのかな?
「はい!この身に変えても結婚へのルートを、全力でサポートさせていただきますっ!」
っと、すごい迫力で言ってきた。
「お、おう。で、どう話せばいい?」
「とりあえず、話題を………さっきの映画とかの話をすればいいんじゃないでしょうか?」
「わかった。」
インスタントガールフレンドにまた助けられてしまった…なんか…複雑な気持ちであった。
「あの、白崎さん」
「なんですか?」
「映画……楽しみですね」
「はいっ!」
「なんの映画なんですかねー」
「私は恋愛系がいいですねっ!最近話題の「彼女の事情」とかだといいですあ、あとあと………」
かなり、映画が好きなようだ。
「士郎さん?訊いてます?」
「あ……はいっ!」
「じゃ、僕はこっちなんで…」
「あ、明日私が迎えに行きたいので家教えてくださいっ!」
僕の家教えたら妹がなにをするか…想像するだけで怖い…
「いや…時間さえ教えてくれれば行きますよ?」
「で、でも…」
「だ、大丈夫ですから」
どうにか彼女を説得して彼女が家に来ると言う災難は避けられた。
「じゃ、8時くらいに来てくださいねっ!」
「はい」
そして、僕たちはそれぞれの家に帰っていった。
家に着いた。
「ただいまー」
「お兄ちゃんっ!おかえり」
いつもと同じように抱きついてくる。でも、そんなことはどうでもよかった。
明日のデートのことが気になって、つい表情に出してしまった。
「ねえ、お兄ちゃん?なんでそんなにニヤついてるの?」
「いや、これは…」
「お兄ちゃん?いい子だから話そうか?」
妹は悪魔にでも体を売り払ったんであろうか?
異様なまでの殺気が僕を締め付けてくる。
痛いっ!愛がありすぎて痛い…
「いや…」
「なに?お兄ちゃん?」
そう言うと、妹は玄関の近くにあったナイフ手に取りそれを僕に向け、のそのそと近寄ってくる…
「梨花?梨花なのか?」
返事がない。
怒りで我を失っている?
ま、まさか!?暴走!?
「は、話しますから…ね?そのナイフを置いて話を聞いてくださいっ!」
僕の必死の問いかけもまるで意味がない。
「お兄ちゃんは私のなんだっ!!!」
またか!また、いかれちまった…
「梨花、お兄ちゃんはどこにもいかないぞ?大丈夫だ」
やれやれ手のかかる妹だ。
「ほんと?」
「絶対だ!」
妹はニッコリ微笑むと気を失ったように寝てしまった。
妹を妹の部屋に運んで僕も自分の部屋に向かい寝た。
そして、次の日終業式になった。
「よう、士郎。ところで結果はどうなんだよ?」
終業式って言ったら成績である。
柴崎 れん(やつ)がきた。ふざけた笑みを浮かべてこっちへどしどしとやってくる…
「まあまあってところ」
と、いって成績表を見せる。
「今回も負けた…」
やつの悔しがる顔を見るとなんだろう嬉しい…
なんて、ことがあったが、そんなことはどうでもいいことだ。
ジリリリリリリ!!
「……………あ、朝か?」
時計の針は7時30分を指していた。
さっさと支度して行くか!
服はどうするか?
いつもは学校帰りなどが多く、私服なんて使ってこなかったけど、どうしよう?きっと白崎さんとかはオシャレな服着てくるんだろうなぁ…
僕はどうだ?オシャレな服なんて無縁じゃないか…
どうしよう……
「こんな時こそ私の出番っ!インスタントガールフレンドですっ!」
今回は屋根裏から奴は現れた。もう、慣れてきた。
「インスタントガールフレンドの出番と言っても服はどうにもならないでしょ?」
「まかせてくださいっ!」
いつも通りやる気満々だ。僕はこいつのこんなことがすごいと思う。
「でも、どうするんだ?」
「それは、しろーさん。服は?」
「クローゼットの中のが全部だ。」
「どれどれ…」
インスタントガールフレンドは僕のクローゼットをあさり、服を探して合わせ始めた。
インスタントガールフレンドは、黒の喪服みたいなやつとかをひっぱりだしてきた。
「ねえ、どうすんの?」
「これと…これと…よし、出来た。
しろーさんっ!出来ましたよっ!」
………出来た?
嫌な予感が………
「服を引きちぎって紡ぎ合わせましたー」
「……………………えぇぇぇぇ!!」
「なにしてんだよ!!!」
僕はナイフを取り出して投げ、インスタントガールフレンド一直線に向かった。ナイフはインスタントガールフレンドの顔の横をすり抜けて壁に突き刺さった。
「な、なにするんですか?しろーさんっ!」
「そりゃ、そうだろ?なに人の服破って新しいの作ってんだよっ!!」
「でも、許可はとりましたよ?」
「いつだ?」
「どうやって作るかって言ったじゃないですか」
「違う!俺は『作るか』とはいってないっ!どうするかって訊いたんだ」
「でも、出来ましたよ?」
僕は服を見て度肝を抜かれた。
いま流行りの服になにかのアレンジを加えた感じだ。
「お、おう…」
言葉が出てこなかった…
「これにこのジーパン合わせて、適当にこうして…」
「完成っ!」
「はいはいしろーさん。鏡見てみてくださいっ!」
鏡を見ると…
本当に俺…なのか?
「しろーさんどうですか?」
「これ…いいよ」
心からの声だった。
「じゃ、もう時間近いですよ?」
「あの…ありがとう…な」
「私はインスタントガールフレンドとして普通の事をしたまでです。ほらしろーさんさっさといって好感度上げてきてくださいねっ!」
「おう、任せろ」
自転車に颯爽と乗って走り始めた。
白崎さんの家までかなり近いので、3分未満で、白崎さんの家に着いた。
そして、白崎さんの家のインターホンを押し、待った。
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