ミステール・エコール

たtsuや!!

文字の大きさ
4 / 16
第2章 kinds

隣の席の新入生

しおりを挟む
 会場はすっかり静まり返っていた。時間には間に合っているのだが、この空気の中で動き回るのはなんだか恥ずかしい。さっさと受付を済ませて自分の席へ座ろう。 
 高校の入学式は大事なものだ。式がどんなに長かろうが今日は寝ないようにしよう。



 目が覚めると式はもう終わりに近づいていた。校長先生の話が長すぎる。現在時刻と照らし合わせると、どうやら20分ほど寝ていたらしい。 
 いっそ最後まで寝てしまおうかと思ったが、先程から周囲の視線が痛い。そんなに目立つ眠り方だったのか…?

 この学校は一学年が約240人いて5クラスで分けられる。人数も多いため入学式で一人一人名前を呼ぶことはないが、校長先生や教科の先生方、生徒の決意表明など眠くなるものばかり、さて、もうひと眠りしようか。


 
 覚えてもいない校歌を歌い、入学式が終わった。皆歌えてたけど、これって事前に覚えないといけなかったのか…。
 式の中で紹介された担任が指示をする。よかった、怖そうな人じゃなくて。
「よし、じゃあ1組の人はついて来い」
皆は先生の後ろをついて行く。変に緊張した人、前の学校の友達らしき人と喋ってい人。そして、


 教室に着いた。まだ友達もいないので、どのクラスになってもよかったのだが、1組は階段やトイレが近いので便利だろう。
 黒板に貼られてある座席表を確認する。どうやら俺は窓から2番目の一番後ろの席らしい。視力は悪くないので問題はない。考えられる問題といえば、周囲の人に問題があることが問題だが、入学初日でそれもわからない。とにかく、座席表で周囲の人の名前を確認してみる。ついでに、近くに女子がいないかも探してみる。

 タカシに…、アツキ……、お、怜花レイカっていうのは女子っぽいな。男女比半々なのに、周りに女子は1人だけか。…まあ、いないよりましか。
 それじゃあ、席に着いて左隣の怜花という女子を待つ、…もとい、先生を待つとしようかな。


 しばらくすると、廊下にいた生徒も教室に入ってきて席に着き出した。前の学校の友達と喋っていたのだろう。友達いない組は教室のなかで静かに過ごしていたというのに…。
「あら、こんにちは」
聞き覚えのある声だ。今日の朝からずっと聞いてる声。車に乗っていた時から聞いてる声。
この透き通るような声は、…あいつか。
「お、おう、よろしく」
俺の隣の席の音無怜花おとなしれいかは朝から会っていたのか。
 
それにしても、バッグがだな。朝のパン全部買ったのか…。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

不思議な夏休み

廣瀬純七
青春
夏休みの初日に体が入れ替わった四人の高校生の男女が経験した不思議な話

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

秘められたサイズへの渇望

到冠
大衆娯楽
大きな胸であることを隠してる少女たちが、自分の真のサイズを開放して比べあうお話です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

処理中です...