生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな

文字の大きさ
11 / 135

11

しおりを挟む


さっきからお父様が腕を組んでうんうん唸っている。
多分…さっきのメアリの提案の件だよね。


まぁそりゃ悩むか。だってね、男だし。
見た目はすっごく綺麗なお姉さんでも、身体は男だしね。


娘にメイドとはいえ…偽装しているとはいえ、男は不味いよね。
まぁ…侍女じゃなくメイドだから、私としては有りかなぁと思うんだけど…どうだろう。


「エドワード様、さきほど私をメイドに…と申しましたが、もう一人ミーリア様付きの侍女として採用して頂きたい者がいるのですが…」


メアリの提案に、お父様がゆっくりと目を開ける。
私は、この世界での知識もミーリアの記憶を通してしか分からない。
そして、周囲の人の情報も然りだ。


「私の義理の姉…スペンサー子爵家の娘が未亡人となってしまい、奉公先を探しております。できれば、こちらでお嬢様付きの侍女にして頂けないでしょうか?」


義理の姉…子爵家…。
義理の姉という事は…兄弟の嫁??


よく分からなくて、メアリ…いや、まさきにいに助けを求める視線を送ると、すんなり答えてくれた。

「以前にエドワード様にはお話しさせて頂きましたが、わたくしアルベルトは、先日、スペンサー子爵家への養子縁組が決まり、名をアルベルト・スペンサーと改めさせて頂きました」


その報告を聞き、お父様がメアリ…じゃなくてアルベルトを見る。
って…もう言い直すのも考え直すのも面倒なんで、全部メアリに統一でっ!!


「そうか…」


一言そう言ってまた考え込む。
そうか…この間いなかったのは、そちらの手続きや挨拶に行っていたの?
目を見ると、言葉にしない疑問を汲み取って答えてくれるメアリ。
これぞ以心伝心。


「ミーリア様…先日は私の都合でお側を離れてしまい申し訳ございませんでした」


そう言って頭を下げるメアリに慌てて顔を上げさせる。


「悪いのはメアリじゃなくて、あのバカ王子とマーカスよ!」


と…勢いで言ってしまい、ハッと口を押えた。
勢いあまって、バカ王子って言っちゃった。


メアリは大爆笑寸前、お父様は目を見開いて呆然としちゃっているし。
やっちゃったかなぁ~…とお父様をちらちら見ていると、お父様がぷっと吹き出した。
メアリはもう大爆笑中ですよ。
ちょっと居たたまれなくて下を向いたら、お父様の大きな手が頭を撫でてくれた。


「そうだな…ぷっ…確かにバカ王子だ。くくっ…でも、外では不敬罪になるからな」


そう言って遠慮なく笑い出した。
もう、二人とも笑い過ぎだ。
お父様も子供扱いしてっ!と…撫でられた頭をふと触る…。


市川みのりの髪とは全然違う手触りのミーリアの髪。
みのりの髪は少しくせ毛で、細すぎるせいか絡まりやすい。
トリートメントもマメにしていたが、気を抜くとあっという間に爆発頭だ。
なので、他人に頭を触られたり撫でられたりするのはすっごく嫌だった。
物心ついた頃には親にさえ撫でられのを避けていた気がする。



そういえば……最期に頭を撫でてくれたのは真純君だったな…。


そう思ったら涙が出てしまった。
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした

犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。 思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。 何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

あなたの事は好きですが私が邪魔者なので諦めようと思ったのですが…様子がおかしいです

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のカナリアは、原因不明の高熱に襲われた事がきっかけで、前世の記憶を取り戻した。そしてここが、前世で亡くなる寸前まで読んでいた小説の世界で、ヒーローの婚約者に転生している事に気が付いたのだ。 その物語は、自分を含めた主要の登場人物が全員命を落とすという、まさにバッドエンドの世界! 物心ついた時からずっと自分の傍にいてくれた婚約者のアルトを、心から愛しているカナリアは、酷く動揺する。それでも愛するアルトの為、自分が身を引く事で、バッドエンドをハッピーエンドに変えようと動き出したのだが、なんだか様子がおかしくて… 全く違う物語に転生したと思い込み、迷走を続けるカナリアと、愛するカナリアを失うまいと翻弄するアルトの恋のお話しです。 展開が早く、ご都合主義全開ですが、よろしくお願いしますm(__)m

姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。 王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。 数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ! 自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

小説主人公の悪役令嬢の姉に転生しました〜モブのはずが第一王子に一途に愛されています〜

みかん桜
恋愛
第一王子と妹が並んでいる姿を見て前世を思い出したリリーナ。 ここは、乙女ゲームが舞台の小説の世界だった。 悪役令嬢が主役で、破滅を回避して幸せを掴む——そんな物語。 私はその主人公の姉。しかもゲームの妹が、悪役令嬢になった原因の1つが姉である私だったはず。 とはいえ私はただのモブ。 この世界のルールから逸脱せず、無難に生きていこうと決意したのに……なぜか第一王子に執着されている。 ……そういえば、元々『姉の婚約者を奪った』って設定だったような……? ※2025年5月に副題を追加しました。

たいした苦悩じゃないのよね?

ぽんぽこ狸
恋愛
 シェリルは、朝の日課である魔力の奉納をおこなった。    潤沢に満ちていた魔力はあっという間に吸い出され、すっからかんになって体が酷く重たくなり、足元はふらつき気分も悪い。  それでもこれはとても重要な役目であり、体にどれだけ負担がかかろうとも唯一無二の人々を守ることができる仕事だった。  けれども婚約者であるアルバートは、体が自由に動かない苦痛もシェリルの気持ちも理解せずに、幼いころからやっているという事実を盾にして「たいしたことない癖に、大袈裟だ」と罵る。  彼の友人は、シェリルの仕事に理解を示してアルバートを窘めようとするが怒鳴り散らして聞く耳を持たない。その様子を見てやっとシェリルは彼の真意に気がついたのだった。

婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!

志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。 親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。 本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。

処理中です...