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34、今後の展望

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「殿下、ミレーユ様の後見…と言うかミレーユ様を養女に迎え入れる家が決まりました。陛下とも相談しまして、今後、ミレーユ様がどのような立場になっても、殿下との婚姻に支障がない家に……とのことでした」


ミレーユの新たな名はミレーユ・ヴァレリー。
俺の母上の生家…国境を護る辺境伯家へ養女として入る事となった。


「辺境までは移動が大変ですので、殿下の立太子の儀の時に色々とする予定でございます。手回し自体は終わっており、書類も提出してあります。ミレーユ様には事後報告でしたが先程ご納得して頂きました」


と言うところに少し引っかかったが、実際に家に入るわけじゃなく、名前だけなので本人が納得しているのなら特に思うところも無い。それに辺境伯ではもうじき代替わりが行われる予定だ。
嫡子の婚約発表も行われる予定だったので、そこにミレーユの養子縁組の話しが加わってもあまり大事にはならないはず……だな。


「ミレーユ様には今後は王城でお過ごしして頂く予定でございます。名目上、殿下の補佐としてお迎えいたします」


先に渡された書類を見つつトマスの説明を聞き、サインをしてトマスに返す。
いつものやり取りなのに、ミレーユの事だと思うとちょっと嬉しい。
たとえこの後兄上関係の気が重い書類が待っているとしても。


「殿下…こちらの書類にも目を通して頂きませんか?」


兄上の件も頭が痛いところだ。
例の男爵令嬢は兄上との婚姻を拒否し、修道院に行くことが決まった。
腹の子も、産んだ後は令嬢と引き離され神殿に引き取られる予定だ。
下手に兄上の…王族の血を引く者の行方が分からなくなるのは困る。
臨時で法を整備したとはいえ、のちの後継問題に絡んで来られるもちょっと困る。


それに、人とは色々と都合よくモノを曲解する生き物なのだ。
今回のこの法整備が裏目に出ることもあり得る。
『第二王子は第一王子を陥れ、やり返されるのを怖がって法を変えた』などと言われる可能性だって今後あるだろう。産まれてくる子を不幸にするつもりはないが、子のと男爵令嬢の処遇については、俺は手を出さなのが今の考えうる中では最良の選択……かな?と言う感じで、とりあえずはトマスに任せることにした。
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