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33、王都へ

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「ミレーユ様、数日後王都へご同行お願い致します」


言葉は丁寧だけど、何だか前世のテレビドラマとかで警察が言ってた言葉と同じ気がするのは気のせいか?なんて言うのは置いておいて……とうとう王都に帰らない理由が無くなってしまった。我儘を言って駄々をこねてここに残る事も出来たのだろうと思うけど、きっとここに残る事で何か問題が生じるか、私に危険があるのだと思う。これもきっと第二王子の…ジルベール殿下の指示だと思うし……。


あの人だったらきっと私を守ってくれる。


なぜか無条件でそう思える自分が少し怖い。
自分の前世であろう夢を見ているからかも知れないけれど、それほど『彼』が夢に出てきているわけじゃないし、『彼』が夢に出てきたとしても、今の殿下とは全然違うかもしれない。だって、性格って育った環境が影響するって思っているし、今の私が前世の自分とは同じだと思えない。


そんな事を考えつつ、荷造りした物を馬車に乗せて、見送りに出てくれた二人に挨拶をする。結局彼らに店を任せる事にした。
製作は王都で……トマスから転移の魔法陣を二枚貰った。王都のこれから住むようになる屋敷とこのお店を行き来できる魔法陣を……。


これを貰った時、正直驚いた。
だってこの国はあまり魔法が発達していない。そして、前世の夢で見る科学というのも発達していない。少しの魔法があるが為、教育の制度が定着していない為なのか、科学が発展する要素がない。
余談だけど…環境が悪くなるなら、科学など発展しない方が良いのかもしれないけれど、やっぱり不便なものは不便なのだ。


話しを戻して……


魔法陣をもらったお陰…と言って良いのか、製作した物の納品や、自分が移動するくらいであれば、自分の魔力でどうにか移動できるし、荷物が多い時はトマスが持ってきてくれると言うので、王都で作ってこの街で売る事が叶った。


そして色々アドバイスを受けて、この店を皮切りとして商会として経営する事にした。
今はとりあえずあの二人に任せるけれど、後々人を増やし、商会として成り立つように…自分は経営に回れるようにして行こうと思っている。


「今は、このあとの自分がどうなるか…決まってからかな…」


出るため息を止められないまま、今回は荷物も多い為、馬車で王都に移動する。
荷物が多いと言っても、ドレスなどの衣服はここに来た時からほとんどない。多いのは店で売る物を作る時の道具がほとんどだ。
それも自分の身を含めて馬車一つで余りが出るし、そのあまりの部分はマーサとマーサの荷物で埋まった。


あまりにも少ない荷物に、またため息をつきつつ、ミレーユは馬車に揺られ王都に出発した。
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