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しおりを挟むいつも何も語らず私の肩に座っていた子は、なんとここの社長でした。
それと…少し前に都築川さんが呟いたのは、私にではなく肩に座るこの子に対しての言葉だったらしい。
勘違いさせて申し訳ありませんでした…と土下座をするのではないかと思う位低い姿勢で謝られたよ。
「つまり…君は今の今まで自分の事を忘れていたってこと?」
『そう……それで、さっきツヅキが使った術で、どうにか今の状態まで戻せたって感じ?』
何が何だか……説明しろと言われても、私には荷が重い案件なんだけどね……。
今さっき都築川さんに聞いたところによると、この会社は人間の社会に住んでいる人外さん達の隠れ蓑的な目的で設立した会社らしい。作った当初から数えると創業何百年なんて単位になっちゃうので、ある程度の時期で営業を止め、また別な業種で再開すると言うのを繰り返しているそうだ。
で…、主に働くのは人外さんなのだけれど、全く人間がいない状態では色々と困ることもある為、理解があり善良な人物を選び、こうして役員待遇で迎えているらしい。
まぁ…何が基準で『善良』と言っているのか、私には全く分からないのだけれどね。
そして、今回のきっかけになった肩に乗るこの子の話をしてくれた。
『もう三年前か四年前になるんだけど……』
そう言って、いなくなった時期にあった、ある出来事を話してくれた。
⚫〇⚫〇
いつものように買い付けに、今日は都内のとある所に来ている。
いつもはその場所に行き直接買い付けるのだけれど、今日買い付けるものは、いわゆる個人売買…それも……個人的にあまり仲のよろしくない相手だった。
「では後ほどまたここへ来ますので…」
念の為と言って同行を強く主張する都筑川には、取引はこの場で行い、三十分後にもう一度ここで待ち合わせをする事で了承を得られた。
「あいつは気配に敏感察知に秀でているからな…いくらお前でも気付かれる恐れがある。悪いけど……」
気配に敏感で臆病で狡賢い。
この時代まで大きな傘下に入らず、単独で生きている人外には何か特殊な事ができる者が多い。
これから会うヤツもそんな中の一人で、先に言った特長以外は特定できる容姿なども未だかつて知られていない相手だった。今までヤツに会ったであろう者は何故か『忘れてしまう』のだから、知られていないのも納得なのだけれど…。
本来であればそんな危険な奴に会ってまで物を手に入れるなんてことはしない。
何を『忘れてしまう』のか…被害者によって忘れる事がまちまち過ぎて、度合いが図れない相手。
それも、今回はこの界隈でのまとめ役をやっている僕を指名しての取引。
それも、必ず単独で来るようにと指定されたことからも、普段から僕には傍付きのようについている者がいるのを知っている証拠だった。
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