人外さんに選ばれたのは私でした ~それでも私は人間です~

こひな

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「あっ…それと、今更なんですけど、名前教えて貰えないですか?」


そう…ホントに今更だけど。
それに、記憶もなかったから名前を聞いても教えてもらえなかっただろうし、ついさっきまで一度も声を聞いたことがなかったしね。


なんて思っていたんだけれど、なんだかすんなり教えてもらえなさそうな雰囲気で思わず都築川さんを見る。


「大変申し訳ございませんでした。ですが……社長の一族の古くからのしきたりで、名前はお教え出来ない事になっておりまして……我々も皆『社長』と…役職で呼ばせて頂いております。渡利様もそのようにお願いできればと思います。よろしくお願いいたします」


変なしきたりだけど、とりあえずの呼び名は教えてもらったし……って…んんんん???


「『社長』って…役職的にもですか?」


多分肯定の返事が来ることを想定して質問したら、とんでもない事まで言われた。


「無意識にだと思いますが……今社長は、渡利様に『憑いている』状態でございます。解呪ができるようになるまでは、今までと同じく渡利様と行動を共にして頂くようになると思います」


一瞬、開いた口が塞がらなかったけれど、最初の契約…いわゆる『買い付け等の実務』は元々社長もやっていた事なので、変わりなく今度はやってもらいたいとの事だった。
けど…まぁ…多分、肩に乗る社長は周りからは見えていないんだよなぁ。
今度は会話はできる…多分…そうすると?


「あれ?姿は見えないとして…声は?」


疑問をそのまま疑問にしていては怖いので、聞いてみたら…恐らく声は聞こえてしまう可能性があるということだった。え?????姿は見えず声だけって、まじホラーなんですけどなんて思ったら、私が練習しなければいけないけれど、この状態であれば『念話』が使えるので、外ではそれを使えばいいとなった。
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