人外さんに選ばれたのは私でした ~それでも私は人間です~

こひな

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日々、少しずつこの会社に慣れるように勉強を重ね、古書店へも顔をだす。
そもそも、私がこのアンティーク…古物商の世界に入ったのは古い本との出会いだった。
もちろん、アンティークの家具や小物も好きなのだけれど。


「渡利様…今はどんな古書を読んでいるんですか?」


コーヒーを持ってき来てくれた都築川さんにお礼を言いつつ答える。


「いまは、日本の物です。もう古書というより古文書といって良いくらいのものですけどね」


文字文化が広がるその前の、誰が書いたのか分からない…そもそも文字と言って良いのか分からないようなものが書いてある本…と言うか何かの束。
『ロマンだよね』なんて言うつもりはないけれど、なんだかわくわくする。


ちなみに…ほとんど読めない。
見ている…というか眺めている状態。


「これ、歴史美術館から買い取りたいって連絡来たって聞きましたけど…」


「ああ…多分社長の方から連絡したのだと思いますよ。前々からその手の物が見つかったら連絡が欲しいって依頼は来ていたんですけど、最近は鑑定できる社長がいなかった為取り置きだけしてあったんです」


ちなみに、その社長本人は只今倉庫にて、ここしばらくで仕入れた物の鑑定をしている。
この間…『俺は、妖精や妖怪の類だ』って教えてくれた。
いきなり言われてびっくりしたし『まさか』とも思ったけれど、現実目の前にいるのだから否定しようもなく、納得した(多分…)


それ以上は伴侶となる者にしか明かすことはできないのだけれど…と前置きがありつつも…『古い物を視ることができる力がある』とだけ教えてもらった。
まぁ何となく深入りしない方が良いだろうと思い、質問も何もないまま今に至る。
充分深入りしているとは思うけれど…その辺は認識の違いということで。


「都築川さん…この世界って…ぶっちゃけ人外さんって多いんですか?」


社長以外の疑問だったらいいだろうと思い、世間話程度で都築川さんに聞いたら、案の定な答えが返ってきた。


「そうですね…以前にも言った通り、この会社は人外の者の隠れ蓑になっているせいもあり、周囲には多いような気もしますが…『社会の一員』となると色々と問題がある事も確かなので、表に出るような事を避けて生活する者がほとんどかと思います」
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