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しおりを挟む勇樹が二階に行ってからまた少し時間が進んだ。
社長と都築川さんが連れ立って寝室に入ってからだいたい二時間位…かな?
さっき、勇樹が入れてくれたコーヒーを飲みながら二人を待つ。
勇樹にはどう説明しよう。
考古学を生涯の仕事とし『ロマン』を追いかけ続け今に至る父。
結婚前はお嬢様、結婚後もなぜかぽやぽやお嬢様の母。
そんな二人から産まれた私達兄弟は、他から見ればだいぶ奔放な家族だろうと思う。
そんな家族の中で、あまり家にいない父の代わりに母を護るんだと言いながら育った勇樹は、考えてみれば我が家の常識担当だったのかもしれない。
そんな環境で捻くれもせずここまで健やかに育ったことを喜ばなければいけないんだろうけど…。
「ちょっと考え方が固いのよねぇ…」
ちゃらんぽらんや遊び人は論外だけど、少しくらい心に遊びを持たせないと、何かあった時にぽっきり折れちゃうんじゃないか……なんて。これでも姉だからそれなりに心配をしているんだけれど、あまり分かってもらえていない事も知っている。
まぁ…姉って言ってもね…うえ二人…わりと好き勝手してるからね。
相談相手の対象にはならないんだろうと思うけどね。
今回の事は、とにかく誠心誠意分かってもらえるように説明するしかないか…と諦めて考え込むのを中断する。
部屋の中で何かが動く音がしたので、そろそろ出てくるのかもしれない。
キッチンに行きポットでお湯を沸かす。
とりあえず緑茶を淹れる準備をする。
なんだかんだとあの二人は口が肥えているので、インスタントコーヒーやティーバッグ式のお茶位しかない我が家では何を出そうがそんなに差は出ないだろう。
「副社長……とりあえず終わりましたが……」
疲れたからかちょっと声が小さいかも…なんて思って顔を上げたら……予想に反してだいぶボロボロな二人が立っていた。
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