人外さんに選ばれたのは私でした ~それでも私は人間です~

こひな

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「だい……じょうぶ…ですか?」


予想もしなかったボロボロの姿に、思わず顔が引き攣ってしまった。
いったい何がどうなってこうなったのか…?
それと…二人がこんななんだから、部屋はどんな事になってしまっているのか…。


見たところ、ボロボロではあるけれど、目立った怪我はなさそうなのでお茶を勧め、仕事帰り実家にお土産で持ってきたドーナツを出す。


疲れた時は甘い物…そしてお腹に少し溜まる物。話しをする前にとりあえず休んで貰う事にして、その間両親の部屋の確認をする。


「特に……何も変わっていない?……っとこれは……」


原因となった石を抱え込むように持つ動物の置物は、石だけが無くなっていた。
そして……両親の寝室は予想に反して、乱れてはいなかった。


⚫〇⚫〇


大まかに部屋をチェックして、急いで居間に戻る。色々とあって頭が追いつかず、なんだかバタバタしてしまっている自覚はある……あるんだけど……これはこれでしょうがない。


『なってしまったこと、過ぎ去ってしまった事を悔やんでもどうにもならない。
どうせなら、悔やむよりも自分で自分をフォローしなさい』


と…三歳上の姉が小学六年生の時に言っていた。信じられないだろうけど…。


母がぽやぽやしていたせいか、小さい頃からしっかりしていた姉は、今も昔も言うことも器も大きかった。


そんなわけで、今はとりあえず父の着替えを数点借りて都築川さんに着替えてもらおうかと思ったんだけど……。


「すみません…父の着替えじゃ足の長さが足りないようで…おまけに…ウエストはぶかぶか……ですね…(涙)」


フォローもフォローにならず、ガッカリしていると、小さい身体で大きいドーナツを丸々一個完食した社長が言った。


「服ぐらい時を戻せばいいだろう」


そう軽く言って、パッと服を戻してしまった。


いえね…まぁ、妖精さんとかいる時点でファンタジーなんだけどね……ここまでやられると力が抜けるよね?


例えるなら……付き合い始めた彼に料理上手をアピって夕飯をご馳走した後に、別ルートで…実は彼の方が家事スキルが上だったと知った時……みたいな?


これね?地味に落ち込むよ?
ちなみに…彼は、気を使って褒めてくれたりしちゃうんだよね……。
それを考えると、社長が会社の上司で良かったと思ってしまった。
だって……


「いい加減見慣れろ」


と言って、おでこに強烈な突っ込みを入れてくれたから。


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