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しおりを挟む思わず声に出して呼んでしまい、ハッとして周りを見る。
案の定…勇樹が驚いた顔でこちらを見ていた。
でも、そんな微妙な空気もなんのその…わざとなのか素なのか、お父さんの話は止まらない。
「風呂場からはなんかすごい音に紛れて、美里の声で『私が死んだらお父さんを恨んでやる』なんて叫び声が聞こえてビックリしたよ」
グローバルな交友関係故なのか元の性格からなのか、ガハハハと笑うお父さんは日本人ではないんではないかと常々思ったりしている。日本人がイメージするおおらかな外人さん…と言えば分かってくれるかもしれない。
色々と考えすぎて、頭がこんがらかっている自分が何だかすっごく小さく見える。
「ほら勇樹も。美里に聞きたいことがあるんだろ?」
私の気持ちや勇樹の気持ちを察してくれていたらしいお父さんは、『細かい事は気にするな』なんて言いそうな雰囲気で勇樹の背中を叩く。
私的には結構無理やりぶっこんで来たようにも見えるけど、これで少しでも話しやすくなるかも…そう思って、改めて勇樹と向かい合った。
「美里姉ちゃんにはあれが見えるのか?」
視線の先には、バスタオルに包まれた社長。
……あれ呼ばわりされ、少しムッとしつつも答える。
「信じて貰えないかもしれないけどね。それと、あれなんて言わないで!いくら勇樹でもムカつく……」
少し口調がキツかったかもしれない。
勇樹がびっくりした顔をしている。
まぁ…普段から怒ることが滅多にないので、こういう風にびっくりされる事はたまにあるんだけどね。
「小さい頃から、私が見えるものが他の人にも見えるとは限らないって自覚はしてたよ。それに、誰に何を言っても信じて貰えないからね。でも、家族には信じて貰えると思って、お姉ちゃんと勇樹とお母さんには言ってたけど、多分…他の二人にも信じてもらえてないと思う」
私の言葉に思うことがあったのか、勇樹が気まずそうな顔をする。
このあとをどう話すか迷っていた時、いきなり何でもないような声で、お父さんがびっくり発言をした。
「なんだ、美里はお父さんと同じか!そっかぁ~」
またしてもガハハと笑う父は見た目を裏切らず、やっぱり豪快な性格らしい。
私と同じならば、小さい頃は苦労したのかもしれない。
悪い人ではなかったけど、祖母は良くも悪くも常識人だったから。
祖母と一緒にいる時に、何かが飛んでいるとか、あそこに何かいる……なんて口走った時に、こっ酷く叱られた事を思い出した。
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