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3 無事進学できました
しおりを挟むあの三者面談から一年。
迷いに迷った進路は結局確定せず…なりたいものが決まっていないのならば、進路選択が多く出来る学校へ……と、美琴ちゃんにアドバイスをもらったので、県内ではトップクラスだという高校に入った。
楽勝♪とは言えなかったけど、まぁそこそこ頑張った。美琴ちゃん曰く、受験の経験も必要だって。人生は、楽に抜け道見つけて行けるわけじゃないかららしい。
まだ子供の私にはよく分かんないけど。
そんなわけで今は、新しい学校、新しいクラスメイトに慣れるべく日々奮闘!という事もあまりない。楽しい学校生活が一番だけど、私はここでやりたいことを見つけたいのだ。
まだ入学したばかりなんだから…って言ってくれる人もいるけど……正直、私は焦っている。だって…双子の兄怜くんはもう進路を決めて、それに向けて日々コツコツと準備を始めている。同じ高校に入って見える場所にいるから余計に焦る。
「はぁ……」
始業前に考えることではなかったなぁ…と、
ため息をつき授業準備をしていると、隣の席の斎藤里奈さん?が話しかけて来た。
「おはよう渡利さん、ちょっと遅くなったけど、これからよろしくね」
ツンと澄ました雰囲気なので取っ付き憎かったけど、もしかしてそんなことないのかな?と思いつつ準備をしながら話をしていると、隣のクラス…二組にいる怜くんの話しになった。
まぁ、例の如く双子なの?とか彼女いるの?とか……。この子も怜くん狙いかと思っていたら、ポロッと…ああいう人はさっさと彼女作った方がいいよ!となんだか随分熱心に言われた。あれ?違うのかな?と思っていたら、斎藤さんの肩にふよふよと漂うものが止まる。
「あっ…」
思わず声に出そうになり、慌てて口を閉じる。聞かれていなかったようで、スルーされホッとした。
この子…斎藤さんは妖精さんがついている子なのね……。
小さな口に小さな指で、しーっとする妖精さんが可愛すぎて声が出そうになったけれど、どうにか我慢できた。
そうか、この子にも妖精さんがついているんだ……上がりそうになったテンションが、また少し下がる。
いいなぁ…怜くんも、斎藤さんも。
どうして私には見えるのに、誰も傍にいてくれないんだろう。
もちろん、進路が最大の悩みには変わりないが、陽香には昔からずっと悩んでいることが一つあった。
自分の周りには色々な妖精さんや人外さんがいる。小さな頃から見える彼らを、特に怖がったりはしない。それどころか仲良くしたい。なのに…まるで私をご主人様と言うんじゃないかという扱いをされる。
自分はただ仲良くしたいだけなのに。
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