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42 不器用なりに
しおりを挟むなんとなく教室に後ろ髪をひかれながら、里奈と二人美術部の部室に向かって歩く。
多分、怜くんと万葉ちゃんは先に行っているだろうと踏んで、教室の前は素通りである。
「そう言えば、陽香は何を制作してるの?先生の話しでは、模写であれば題材・分野は自由って言ってたけど。ちなみに、私はいまだに手付かずだよ。もともとこういった方面って苦手だったからねぇ」
そう呑気に話す。
文化祭まで残すところあと半月余りになったのに、それでいいのか?
なんてツッコミはしない。
なぜならば……苦手苦手と言いつつも、里奈は小器用なのだ。私と違い、習得するまでの時間はとても短いのだ。
まぁ…でも…
「あれって油絵とかじゃなくても良いらしいよ。先生に聞いたら、『たとえばだけどね』って言って、元の絵が油絵とかのをペン画で模写したりとか、逆に鉛筆のみで表現してみたり…ようは『この絵を元に描いた』っていうのが分かれば良いって言ってたよ」
ため息をついている里奈にそう教えると、『まじかぁ』と呟いて、考えごとを始めた。
こうなったらあとは一直線な里奈を連れ、美術部に行くと、いつものように肩に妖精の彼女を乗せた油絵を描く怜くんと、一心不乱にペン画を描いている万葉がいた。
「あれ?先輩方は?」
二人以外誰もおらず、拍子抜けしたまま怜くんに聞くと無言で黒板を指さされた。
『食中毒と見られる症状の為、2年生は3日程学校を休むとの連絡ありました。1、3年生はいつも通り(受験優先)部活動やって下さい。先生もいることはいますが、お腹が痛い為教務室にいます。何かあったら来てください』
って………えぇーっ!
思わず声に出てしまったのはしょうがない。
だってホントに驚いたからね。
…そんなわけで、怜くんと万葉に習って、私と里奈も黙々と自主制作の準備を始めた。
ちなみに、私の自主制作は色鉛筆画だ。
元の絵は母の復帰第一弾の絵だ。
色鉛筆といっても、水彩色鉛筆だけどね。
こういう画材関係は万葉が詳しい。
色々考えて、この画材でやってみようと思ったんだけど、これが中々難しい。
「ねぇ陽香。唐突に聞くけどさ、宮田のことどう思ってる?」
里奈に話しを振られて一瞬動きが止まったけど、また準備を続ける。
宮田くんのことねぇ……。
「うぅ~ん?宮田くんね…嫌いじゃないよ。ちょっと濃いけどカッコイイし、話しも楽しいし優しいしね。王子って言ったらあんな感じかなぁ」
色を染めながら里奈の質問に答える。
最近の宮田くんはまさに王子様だね~。
呑気にそんなことを考えていると、教室の後ろの方から今まであまり聞いたことの無い。怜くんの低い声が聞こえた。
「宮田ぁ?陽香…そいつと付き合うのか?」
へっ?
思わず振り返ったそこには、静かに怒る魔王様?え?なんで?
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