人外さんはお友達 ~私だって仲良くなりたい!~

こひな

文字の大きさ
51 / 84

51 渡利怜の決心

しおりを挟む


「おい宮田。今日からしばらく部活休め」


隣のクラスの宮田に一言それだけ言ってきた。
周りは何事かとザワザワしていたけれど、そんなの知ったこっちゃない。


「渡利君!!」


すぐにクラスに戻ろうとしたら、同じ美術部の一人、里奈が出てきた。


「陽香の具合は?意識戻った?」


陽香のことを真剣に考えてくれる友達がいてくれることが嬉しい……けど。


「陽香の意識はまだ戻らないんだ。だから面会に来てもらっても…『大丈夫!私ね分かっているから。陽香が小さくなっちゃったこと』………」


斎藤の……斎藤里奈の言葉に思わず固まった。
なんで?どうして?こういうの見えるって、まさかわりと普通なのか?
確認するように肩に乗る妖精に視線を送ると、思いっきり首を横に振っていた。


「私の事は里奈って呼んでね。私が見えることは陽香も知っているよ。安心して、誰にも言わないし」


そう小声で言った後、自分も陽香のところに見舞いに来たいと言ってきた。
まぁ……宮田も連れて行くし…今回は万葉も連れて行く。
一人増えた所で何ともないと思い、一つ頼みごとをする。


「陽香の姿が見えるような道具を作ってもらった。今回、それを宮田に付けて陽香と面会させる」


だからそれの……見えたモノに対しての宮田のフォローを頼んだ。
多分俺は、宮田に対してフォローは出来ないし、反対に怒ってしまいそうだから。


「それと……陽香にはもう時間がない…ホントに。陽香は話も出来ないみたいだから難しいことは分かっているんだけど…出来れば心残りがないいようしてやりたい。申し訳ないけれど手伝ってくれるか?」




●○●○



美術部の部室の陽香の私物を整理する。
文化祭の展示は母さんの絵を描くと言っていたけれど……半分程のところで製作が止まっている。


陽香が救急車で病院に運ばれた時、万葉と二人で美術室で絵を描いていた。
いつもは二人で来る里奈が先に美術室に来たことで、里奈から『誰かに呼ばれてたみたいだよ』と聞いた。
それから一時間……もうじき部活動が終了するという時間に、いまだ部活に来ていない陽香に気が付き、探しに行こうとしたところで、担任の先生から陽香が倒れてたことを知らされた。


「あんたらか。あんたらが陽香を突き飛ばしたのかっ」


陽香が、頭を強く打ち付けて気を失った時にいたらしい先輩に詰め寄る。
それに、こいつらから直接聞かなくても、周りの人外達が教えてくれる。
中にはその時のことを、身振り手振りで再現をしてくれた者達もいた。


ただただ泣いて謝るだけの二人の先輩から視線を外し、万葉に呼ばれて保健室に飛び込んできた宮田をみる。


「言っただろうが…忠告はしたよな?陽香を危険な目に合わせんなって、陽香を泣かせんなってっ……」


分かってはいた。これが八つ当たりだと。
宮田に当たってもどうにもならないことは充分分かっていたけど……。




しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら

瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。  タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。  しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。  剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話

そう
青春
ある日家に突然現れた謎のサキュバスのホルさん! 好感度はMAXなようで流されるがまま主人公はホルさんと日常を過ごします。 ほのぼのラブコメというか日常系小説 オチなどはなく、ただひたすらにまったりします 挿絵や文章にもAIを使用しております。 苦手な方はご注意ください。

ヤクザに医官はおりません

ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした 会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。 シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。 無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。 反社会組織の集まりか! ヤ◯ザに見初められたら逃げられない? 勘違いから始まる異文化交流のお話です。 ※もちろんフィクションです。 小説家になろう、カクヨムに投稿しています。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

処理中です...