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54 限られた時間
しおりを挟む両親に理由を話し、父親が崇君から借りている道具を貸してもらった。
宮田とも面識がある二人は快く貸してくれたが、微妙な顔もしていた。
「気を病んでいる時になかなか難しい事よね……」
陽香の憂いを晴らしたい……
けれど、これからを生きる宮田には酷ではないか……との事だった。
「僕はね、仕事の関係上不思議体験もいっぱいしているし、初めて見た妖精が愛してやまない娘だったからね。けど今の彼に陽香はどう映るかな?あとで……陽香がいなくなった時に、あれは夢だったんじゃないかって思い込むくらいならまだマシかもしれないけれど……」
両親は崇君の話しを聞いて、少し…まだほんの少しだけど覚悟をしたそうだ。
そして、これからを生きる宮田を心配していた。
「人の心のバランスって難しいの。何が原因で壊れるか…何が切っ掛けで回復するか…それは誰にも分からないわ。主治医の先生にも同席をお願いできるように、お母さんから連絡はしておくから」
そう言って学校に送り出してくれた。
●○●○
朝の内に万葉に予定を話し、宮田にも部活をしばらく休むように伝えた。斎藤さんも行きたいとのことで、結局…陽香の代わりに宮田という、人数的にはいつもと変わらない感じになった。
「怜くん、どうしたの?」
顔が赤くなっていたのかもしれない。
隣の席に座る万葉に顔を覗かれた。
「いや……まぁ…うん…宮田のクラスの斎藤さんも一緒に行く事になった。それと……名前で呼べって言われて……」
今まで女子を名前で呼んだのは、万葉だけだったので、なんとなく恥ずかしい。
それが分かったのか、万葉は笑いながら『私達どっちも斎藤だからね~』と笑っていた。
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