61 / 84
61 宮田、考える
しおりを挟む里奈と万葉に、みっちり言い聞かせられていたとはいえ、渡利の病室は光で溢れていた。
現実には有り得ない話ばかりで、疑問符ばかりだったけど、あれを見て信じざる負えなくなった。
そして……久々に見る渡利は相変わらずベッドから動かず青白い顔のせいか、だいぶやつれてしまっていたような気がした。付き合い始めてまだまだ日が浅い俺と渡利……渡利が、俺を犠牲にしたくないって言ってたけど…何があるんだろう?それが分からないまま帰ってきてしまった。
けど……。
「なおとぉ~ご飯よ。降りてきなさい」
台所の母さんに呼ばれて、食卓に着く。
今日は父さんも兄さんも仕事で遅いらしく、母さんと二人での夕ご飯だ。
「今日お見舞いに行ってきたの?」
両親と三人で見舞いに行ってからだいぶ経っているから、母さんも気になるんだろう…。
いや…もしかしたら、俺のことを心配してくれているんだろうか?
「母さん……俺、どうしたらいいんだと思う?俺な…渡利のこと好きなんだよ。ホントに…」
母さんと二人きりなことを良い事に、渡利の事が好きな事…渡利の叔父さんに、渡利を助ける方法があるけど俺の協力が必須だと言われたことなどを話した。
色々話せない事も多くてなんだか訳解かんなくもなったけれど…
「大丈夫よ。あなたがお婿さんに行ったとしても、渡利さんが相手だったらきっと住む所も近くだろうし、あの子でしょ?前から話にちょこちょこ出ていた子って…」
そうか……俺が話したのは総合して『俺が渡利と結婚して婿になる』話になっているらしい。
そうか…婿か。婿か…あんまり考えたことないけど…考えてもいいかも知れない。
自分で言うのもなんだけど、こう見えて一途だし。そう思ったらなんだか少し気持ちが軽くなった。
責任とかそんなんじゃない……俺は渡利が好きだから傍にいたいんだ。
まだ早いとか、気が変わるかもとか…渡利は俺のことを考えて言うかもしれないけど、そん時はそん時だと思って、今は自分の気持ちに素直になろう。
●○●○
翌日、渡利の兄ちゃんからもう一度時間を取れないかと言われた。
まぁ、今は部活も休ませてもらっているから時間はある。
文化祭の準備も、申し訳ないが他の奴に代わってもらった。
正直、渡利があんな状態で続けられる精神状態じゃなかったから、『代わるから少し休め』と言ってくれたクラスメイトには感謝している。
「渡利さん、どうなの?」
文化祭実行委員を代わってくれた奴が聞いてきた。
さっき、渡利兄が来たからだろうと思う。
「んー…今日もう一回行ってくる。悪いけど文化祭の方頼むな…」
それだけ言って、教室を出た。
今日は俺と渡利兄だけらしい。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら
瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。
タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。
しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。
剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話
そう
青春
ある日家に突然現れた謎のサキュバスのホルさん!
好感度はMAXなようで流されるがまま主人公はホルさんと日常を過ごします。
ほのぼのラブコメというか日常系小説
オチなどはなく、ただひたすらにまったりします
挿絵や文章にもAIを使用しております。
苦手な方はご注意ください。
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
下宿屋 東風荘 7
浅井 ことは
キャラ文芸
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..☆
四つの巻物と本の解読で段々と力を身につけだした雪翔。
狐の国で保護されながら、五つ目の巻物を持つ九堂の居所をつかみ、自身を鍵とする場所に辿り着けるのか!
四社の狐に天狐が大集結。
第七弾始動!
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..☆
表紙の無断使用は固くお断りさせて頂いております。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる