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62 里奈の葛藤
しおりを挟む「あれ…宮田じゃないとダメなのかな?」
病院に行った帰り道、一人になった時にふと思った。
陽香の入院する病院の帰り道。
三人揃えばいつもは賑やかな帰り道なのに、別れ際までほとんど…必要最小限しか話をしなかった。
万葉は何か言いたそうな顔をしていたけれど、宮田は何をどう考えているのか周りを見ることなく黙々と歩き、別れ際に『じゃ』と一言だけだった。
陽香のおじさんが言っていた契約というのはどんなものなんだろう?
言わずもがな、陽香には聞いたことはなかったし、怜くんが教えてくれるわけでもなく……ただ、叔父さんの口ぶりからすると、多分だけれど陽香を好きな人か若しくは両想いかでしか成り立たない契約なんだろうと思う。
なら……私でも契約できるのではないかと思う。
陽香に向ける気持ちは恋愛の好きとはちょっと違うけれど、万葉を好きだった自分だったらゆっくりとだけれどそういう感情を持てるんじゃないかな……なんて。
詳しい話も難しい話も、厳密にいうと部外者である私は、本当は何も言えない立場なのかもしれないけれど、もし陽香が傍にいてくれるのならば、契約でも何でもするのに……。
「……なんてね」
今思ったことは嘘じゃないけれど…多分自分は寂しいのだと思う。
昔から自分は一人だったから。
学校に行けば友達はいるけれど、楽しいのは学校にいる間だけ。
家に帰れば一人でご飯を食べ勉強をして…ようやく帰宅した両親に、おやすみの挨拶をして寝る。
朝も一人でご飯を食べ、洗い物をして鍵を掛けて家を出る。
同じ屋根の下に姉もいるのに、顔を合わせれば罵詈雑言ばかり。
いっそのこと一人暮らしの方がマシなくらいだ。
上を見れば上がいて、下を見れば下がいる。
未成年である自分が生活する環境を考えれば、良くはないけど悪くもない。
ただ寂しいだけ。愛情が欲しいだけ。
ここまで考えてハッとする。
私は誰かに必要とされたくて愛されたくて、愛したかったのかもしれない。
そう思ったら、もやもやしていた気持ちがすとんと落ち着いた…気がした。
明日、陽香に聞いてみようかな?
『私じゃダメ?』ってプロポーズみたいに。
案外素直に頷いてくれるかもしれない。
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