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第三章「レン姫様の場合」
レン姫様編第六話。東京の街はクリスマスムード一色…。レン姫様はショートヘアのウィッグを付けて変装し、モブ男とデートへ。
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「はい!というわけで、今回は『墨田ウィッグ工房』さんで、たくさんのウィッグを試させていただきました!どの商品も驚くほど高品質…これでコスプレ活動もはかどること間違いなし!」
12月上旬、東京の街には冬が訪れ、冷たい風が人々を包んでいた。
そんな中、レン姫様とモブ男は、東京東部の下町にある大手ウィッグメーカーを訪れていた。
「レン姫様さん、本日はコラボ動画に出演いただきありがとうございました」
「いえいえ!こちらこそ、今日の撮影、とても楽しかったです!」
メーカーの広報担当者は、撮影を終えたレン姫様に笑顔で挨拶した。
「もし、気に入った商品がありましたら、郵送でプレゼントさせていただきます。今後とも弊社の商品をよろしくお願いいたします」
「本当ですか!?じゃあ…何点か貰っちゃおうかな♪」
レン姫様は、広報担当者の言葉に目を輝かせた。その横で、モブ男は撮影機材を片付けながらレン姫様に話しかける。
「いろんなタイプのウィッグをもらった方がいいんじゃない?あの三つ編みのやつとか、ショートヘアのやつとか」
「モブ男、あんたはファッションセンスが無いんだから口を出さなくていい。とっとと帰り支度を済ませなさい」
レン姫様はモブ男の提案には耳を貸さず、ウィッグ商品を吟味し始めた。
「それでは、本日はお忙しい中、お越しいただきありがとうございました。商品は2週間ほどでお手元に届くかと思います」
「はい!ありがとうございました!」
広報担当の女性に丁寧に見送られ、レン姫様とモブ男は工房を後にした。
澄んだ夕焼けの空の下、駅へと歩いていく。
「動画出演のギャラに加えて、ウィッグまで貰えるなんて…!」
「やっぱり、レンがコスプレをすると話題になるから、メーカー側も宣伝効果を期待しているんだよ。かわちい!」
動画撮影の仕事を無事に終え、二人は上機嫌だった。
「ふふっ、さすが私。今をときめく最強インフルエンサー、レン姫様よ!もう誰にも私の快進撃は止められない!ハハハ!」
レン姫様は高らかに笑い、自らの偉大さを自画自賛した。
「明日の予定だけど、午前10時までに横浜駅に到着しておきたいから早起きしてね」
「おい、モブ男。なんで私の自画自賛はスルーするの?おい」
*
「どのウィッグもやっぱり高品質!写真もたくさん撮ったから、SNSでもぜひチェックしてね♪」
「……よしっ!撮影完了!かわちい!」
12月24日、クリスマスイブということもあり、東京の街はクリスマスムード一色に染まっていた。しかし、平日ということで、レン姫様とモブ男は事務所で動画撮影に励んでいた。
「ふふふ…この開封動画もそこそこバズるはず…!」
「早速、ショート動画の編集に取り掛かるよ。あとさ…レン」
先日訪れたウィッグメーカーからプレゼントされた商品は、レン姫様の事務所に届いており、二人は開封動画の撮影を終えたところだった。そんな中、モブ男は少し緊張した面持ちで、レン姫様に話しかける。
「どうしたの?モブ男」
「ショート動画をアップしたら、ちょっと外でぶらぶらしないか?ほら、今日はクリスマスイブだし…」
モブ男は、デートへの誘いを遠回しに伝えたかったようだ。
「…ふーん、デートしたいんだ。この私と」
レン姫様は、モブ男の真意を汲み取りながら、いたずらっぽく返す。
「そりゃあ...俺たち付き合ってるんだしさ」
モブ男は、少し照れながら、改めて自分の気持ちを口にした。
「まあ、いいけど?でも、人通りの多い場所に行くのはNG。私が大人の男と一緒にいるのを誰かに見られたらヤバいし」
「その問題だけど…ウィッグを付けて、帽子を被るってのはどう?」
レン姫様とモブ男の交際は、公には秘密にされていた。二人の関係が公になることを避けるため、モブ男はウィッグを活用することを提案する。
「ウィッグで変装......なるほど、それならバレないかもね」
「えへへ…それでさ、あのショートヘアのウィッグを付けて欲しいなって」
「ショートヘア?…これのこと?」
「そう!それなら、パッと見はレン姫様だと気づかれないはずだよ!かわちい!」
普段はロングヘアのレン姫様にとって、モブ男の提案したショートヘアのウィッグは新鮮で、変装にもってこいだった。
「…まあ、確かに。これならバレないか…」
「じゃあレン、ショート動画を爆速で編集するから待ってて!」
「何、急にテンション上がってるの…」
モブ男は興奮した様子で、仕事に取り掛かるのだった…。
*
「あのパスタ、美味しかったね」
「…美味しかったけど、普通のファミレスじゃん…」
12月24日の夕方過ぎ、レン姫様とモブ男は、街ブラデートを終えてモブ男の自宅アパートでくつろいでいた。
「えへへ、おしゃれなレストランはどこも予約でいっぱいだったし…てか、そもそもそんなお金ないです!」
モブ男は、財布の状況を正直に明かしつつ、苦笑いを浮かべる。
「まあ、イブの雰囲気を味わえたのは良かったけどね」
平日ながら、クリスマスイブの街はどこも混雑していたようだ。シャワーを終えたレン姫様は、少し疲れた表情を見せつつも、満足そうな笑みを浮かべている。
「ねえ、レン。こっち向いて」
モブ男は、ソファーに座るレン姫様の肩を抱き寄せ、そっとキスをした。
「何?…んっ♡♡…んちゅ…♡♡」
「レン、今日もめっちゃ可愛い…!」
「あ、当たり前じゃん…♡」
安物とはいえ、二人掛けのソファーでくつろぐ時間は、二人の距離を近づける。
「レン、あのさ…さっきまで付けていたウィッグを、また付けて欲しいな」
「えっ…このショートヘアのウィッグを?」
「うん。〝男の子状態〟のレンと…エッチしたい…!」
【♡続く♡】
12月上旬、東京の街には冬が訪れ、冷たい風が人々を包んでいた。
そんな中、レン姫様とモブ男は、東京東部の下町にある大手ウィッグメーカーを訪れていた。
「レン姫様さん、本日はコラボ動画に出演いただきありがとうございました」
「いえいえ!こちらこそ、今日の撮影、とても楽しかったです!」
メーカーの広報担当者は、撮影を終えたレン姫様に笑顔で挨拶した。
「もし、気に入った商品がありましたら、郵送でプレゼントさせていただきます。今後とも弊社の商品をよろしくお願いいたします」
「本当ですか!?じゃあ…何点か貰っちゃおうかな♪」
レン姫様は、広報担当者の言葉に目を輝かせた。その横で、モブ男は撮影機材を片付けながらレン姫様に話しかける。
「いろんなタイプのウィッグをもらった方がいいんじゃない?あの三つ編みのやつとか、ショートヘアのやつとか」
「モブ男、あんたはファッションセンスが無いんだから口を出さなくていい。とっとと帰り支度を済ませなさい」
レン姫様はモブ男の提案には耳を貸さず、ウィッグ商品を吟味し始めた。
「それでは、本日はお忙しい中、お越しいただきありがとうございました。商品は2週間ほどでお手元に届くかと思います」
「はい!ありがとうございました!」
広報担当の女性に丁寧に見送られ、レン姫様とモブ男は工房を後にした。
澄んだ夕焼けの空の下、駅へと歩いていく。
「動画出演のギャラに加えて、ウィッグまで貰えるなんて…!」
「やっぱり、レンがコスプレをすると話題になるから、メーカー側も宣伝効果を期待しているんだよ。かわちい!」
動画撮影の仕事を無事に終え、二人は上機嫌だった。
「ふふっ、さすが私。今をときめく最強インフルエンサー、レン姫様よ!もう誰にも私の快進撃は止められない!ハハハ!」
レン姫様は高らかに笑い、自らの偉大さを自画自賛した。
「明日の予定だけど、午前10時までに横浜駅に到着しておきたいから早起きしてね」
「おい、モブ男。なんで私の自画自賛はスルーするの?おい」
*
「どのウィッグもやっぱり高品質!写真もたくさん撮ったから、SNSでもぜひチェックしてね♪」
「……よしっ!撮影完了!かわちい!」
12月24日、クリスマスイブということもあり、東京の街はクリスマスムード一色に染まっていた。しかし、平日ということで、レン姫様とモブ男は事務所で動画撮影に励んでいた。
「ふふふ…この開封動画もそこそこバズるはず…!」
「早速、ショート動画の編集に取り掛かるよ。あとさ…レン」
先日訪れたウィッグメーカーからプレゼントされた商品は、レン姫様の事務所に届いており、二人は開封動画の撮影を終えたところだった。そんな中、モブ男は少し緊張した面持ちで、レン姫様に話しかける。
「どうしたの?モブ男」
「ショート動画をアップしたら、ちょっと外でぶらぶらしないか?ほら、今日はクリスマスイブだし…」
モブ男は、デートへの誘いを遠回しに伝えたかったようだ。
「…ふーん、デートしたいんだ。この私と」
レン姫様は、モブ男の真意を汲み取りながら、いたずらっぽく返す。
「そりゃあ...俺たち付き合ってるんだしさ」
モブ男は、少し照れながら、改めて自分の気持ちを口にした。
「まあ、いいけど?でも、人通りの多い場所に行くのはNG。私が大人の男と一緒にいるのを誰かに見られたらヤバいし」
「その問題だけど…ウィッグを付けて、帽子を被るってのはどう?」
レン姫様とモブ男の交際は、公には秘密にされていた。二人の関係が公になることを避けるため、モブ男はウィッグを活用することを提案する。
「ウィッグで変装......なるほど、それならバレないかもね」
「えへへ…それでさ、あのショートヘアのウィッグを付けて欲しいなって」
「ショートヘア?…これのこと?」
「そう!それなら、パッと見はレン姫様だと気づかれないはずだよ!かわちい!」
普段はロングヘアのレン姫様にとって、モブ男の提案したショートヘアのウィッグは新鮮で、変装にもってこいだった。
「…まあ、確かに。これならバレないか…」
「じゃあレン、ショート動画を爆速で編集するから待ってて!」
「何、急にテンション上がってるの…」
モブ男は興奮した様子で、仕事に取り掛かるのだった…。
*
「あのパスタ、美味しかったね」
「…美味しかったけど、普通のファミレスじゃん…」
12月24日の夕方過ぎ、レン姫様とモブ男は、街ブラデートを終えてモブ男の自宅アパートでくつろいでいた。
「えへへ、おしゃれなレストランはどこも予約でいっぱいだったし…てか、そもそもそんなお金ないです!」
モブ男は、財布の状況を正直に明かしつつ、苦笑いを浮かべる。
「まあ、イブの雰囲気を味わえたのは良かったけどね」
平日ながら、クリスマスイブの街はどこも混雑していたようだ。シャワーを終えたレン姫様は、少し疲れた表情を見せつつも、満足そうな笑みを浮かべている。
「ねえ、レン。こっち向いて」
モブ男は、ソファーに座るレン姫様の肩を抱き寄せ、そっとキスをした。
「何?…んっ♡♡…んちゅ…♡♡」
「レン、今日もめっちゃ可愛い…!」
「あ、当たり前じゃん…♡」
安物とはいえ、二人掛けのソファーでくつろぐ時間は、二人の距離を近づける。
「レン、あのさ…さっきまで付けていたウィッグを、また付けて欲しいな」
「えっ…このショートヘアのウィッグを?」
「うん。〝男の子状態〟のレンと…エッチしたい…!」
【♡続く♡】
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