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交流編
(91)突撃王子様③
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~紗彩目線~
「で、あんたはいったい何をしているんですか?」
「そんな顔しても可愛いだけだぞ、シヴァ!」
この人の心って、鋼で出来ているのだろうか?
シヴァさんと男性の会話を聞いて、私は思わずそう思ってしまった。
地を這うようなシヴァさんの声。
男性の軽やかで明るい声。
眉間にしわを寄せて男性を睨むシヴァさんと、そんなシヴァさんをまるでかわいい孫を見るような目で見る男性。
巻き込まれないためにか、少し離れたところに移動したジャックさんとラーグさん。
頭を抱えているオズワルドさん。
そして、シヴァさんに抱き上げられている私。
シヴァさんに抱き上げられたことで、男性の容姿がわかった。
赤色と金色のメッシュに、赤い瞳と髪の色と同じ色の猫耳。
それに、細いしっぽ。
尻尾の先には、フワフワとした何かがついている。
尻尾の形状からして、ライオンの獣人だろうか?
…………とりあえず、私は今すぐ傍観しているラーグさんたちの所に行きたい。
私も、傍観組に徹したい。
「…………オズワルド」
「俺は止めた」
シヴァさんが男性を見たままオズワルドさんの名前を呼べば、オズワルドさんは間を置かずにそう言った。
うん、確かに一応止めてはいたね。
男性は全く聞いていなかったような気がするけど。
そして、シヴァさん。
いい加減、私を下ろしてくれませんかね?
私に向けられていないってわかっていても、シヴァさんの低い声が私の耳にダイレクトに聞こえてくるので私も怒られているのではないかって思ってしまう。
「ん?どうした?俺だけ除け者は寂しいぞ!!」
うん、なんでそこでその発言をするのかなぁ?
「今の状況、わかっているんですか?」
「ん?愛しのシヴァと話しているぞ?個人的には、その邪魔な敬語を外してほしいと思うがな!壁を感じて悲しいぞ!」
「ちょっと、黙ってください。サーヤの教育に悪いので」
え、もしかしてそういう関係?
一部の女性たちが喜ぶパターン?
別に、そういうのに対して偏見はない。
どちらかと言えば、ヤバい性癖の人と関わるよりもそういう系の人の方が何十倍も進んで関わりたい。
いや、だってヤバい性癖の人と関わるよりも、同性とはいえ他人の恋愛を見守る方がいいじゃん。
巻き込まれないし。
ヤバい性癖の人の何が嫌かって?
別にその人自身やそう言うのを望む関係の人とするんならいいよ?
合意ならいいよ?
でも、露出狂みたいに人に迷惑をかけるタイプやなんの関係もない人を襲うやつは嫌だ。
そして、シヴァさん。
何ゆえ、そのような恐ろしいお顔を私の方に向けるのですか?
別に偏見もありませんし、からかいの言葉もありませんけど?
「サーヤ、大丈夫か?変なことをされていないか?」
「いろいろと驚きはありましたが、一応大丈夫です」
「そうか…………あの変人は、レオン・ライオルフ殿下だ。…………一応、この獣人の国の王子だ。ライオンの獣人だ」
シヴァさんが遠い目をしながら言った言葉に、私は驚きを隠せなかった。
悲報、変人は王子だった。
いや、オズワルドさんが様付けで呼んでいたからある程度身分が高いのかな?とは思った。
でも、まさか王子が騎士団の本部の裏口にいるとは思わない。
王子って、確か命とかも狙われるんでしょう?
なら、こんな普段は人があまり来ないところにいるとは思わない。
そして、やっぱり予想したとおりライオンの獣人だった。
まあ、百獣の王ともいわれているライオンだから獣人の国の王族って言うのはなんとなく理解できる。
ライトノベルのざまぁ系に出てくる嫌味な王子じゃなくて良かった。
権力持った嫌味な奴って、一番厄介なタイプだし。
「おう!俺は、レオン・ライオルフ!レオンでも何でもいいが、個人的にはレオンお兄ちゃんがいいぞ!」
「レオン様って呼べばいい」
笑顔でそう言うレオンさんに、何の反応も示さず私に言うシヴァさん。
というか、何故『お兄ちゃん』?
何故、その呼び方をチョイスした?
「酷くないか、シヴァ!?お兄ちゃん、泣いちゃうぞ!!」
「ええと、レオン様?というか、お兄ちゃんって…………」
シクシクと泣き真似をし始めたレオンさんに、思わず私はシヴァさんの方を見る。
お兄ちゃんということは、彼とシヴァさんは兄弟関係だということ。
でも、明らかに彼らの種類は違う。
レオンさんはライオンで、シヴァさんは狼。
ライオンと狼が兄弟になることなんてあるのだろうか?
「あれは、俺の兄ではないからな」
「ですよね?明らかに、獣人としての種族も違いそうですし」
「む、血のつながりだけが家族ではないぞ!」
「俺が説明するので、あんたは黙っていてください」
「レオン様、黙りましょう?シヴァの拳は、非常に痛いですし」
シヴァさんが疲れた表情を浮かべながら言った言葉に同意すれば、レオンさんが驚いたように言う。
そんなレオンさんを、シヴァさんとオズワルドさんが止めている。
まあ、少なくとも義兄弟的な関係であることはわかった。
それにしても、オズワルドさんもなんというかレオンさんの扱いが雑になる時があるけれど、オズワルドさんはレオンさんの部下的な立場ではないのだろうか?
「で、あんたはいったい何をしているんですか?」
「そんな顔しても可愛いだけだぞ、シヴァ!」
この人の心って、鋼で出来ているのだろうか?
シヴァさんと男性の会話を聞いて、私は思わずそう思ってしまった。
地を這うようなシヴァさんの声。
男性の軽やかで明るい声。
眉間にしわを寄せて男性を睨むシヴァさんと、そんなシヴァさんをまるでかわいい孫を見るような目で見る男性。
巻き込まれないためにか、少し離れたところに移動したジャックさんとラーグさん。
頭を抱えているオズワルドさん。
そして、シヴァさんに抱き上げられている私。
シヴァさんに抱き上げられたことで、男性の容姿がわかった。
赤色と金色のメッシュに、赤い瞳と髪の色と同じ色の猫耳。
それに、細いしっぽ。
尻尾の先には、フワフワとした何かがついている。
尻尾の形状からして、ライオンの獣人だろうか?
…………とりあえず、私は今すぐ傍観しているラーグさんたちの所に行きたい。
私も、傍観組に徹したい。
「…………オズワルド」
「俺は止めた」
シヴァさんが男性を見たままオズワルドさんの名前を呼べば、オズワルドさんは間を置かずにそう言った。
うん、確かに一応止めてはいたね。
男性は全く聞いていなかったような気がするけど。
そして、シヴァさん。
いい加減、私を下ろしてくれませんかね?
私に向けられていないってわかっていても、シヴァさんの低い声が私の耳にダイレクトに聞こえてくるので私も怒られているのではないかって思ってしまう。
「ん?どうした?俺だけ除け者は寂しいぞ!!」
うん、なんでそこでその発言をするのかなぁ?
「今の状況、わかっているんですか?」
「ん?愛しのシヴァと話しているぞ?個人的には、その邪魔な敬語を外してほしいと思うがな!壁を感じて悲しいぞ!」
「ちょっと、黙ってください。サーヤの教育に悪いので」
え、もしかしてそういう関係?
一部の女性たちが喜ぶパターン?
別に、そういうのに対して偏見はない。
どちらかと言えば、ヤバい性癖の人と関わるよりもそういう系の人の方が何十倍も進んで関わりたい。
いや、だってヤバい性癖の人と関わるよりも、同性とはいえ他人の恋愛を見守る方がいいじゃん。
巻き込まれないし。
ヤバい性癖の人の何が嫌かって?
別にその人自身やそう言うのを望む関係の人とするんならいいよ?
合意ならいいよ?
でも、露出狂みたいに人に迷惑をかけるタイプやなんの関係もない人を襲うやつは嫌だ。
そして、シヴァさん。
何ゆえ、そのような恐ろしいお顔を私の方に向けるのですか?
別に偏見もありませんし、からかいの言葉もありませんけど?
「サーヤ、大丈夫か?変なことをされていないか?」
「いろいろと驚きはありましたが、一応大丈夫です」
「そうか…………あの変人は、レオン・ライオルフ殿下だ。…………一応、この獣人の国の王子だ。ライオンの獣人だ」
シヴァさんが遠い目をしながら言った言葉に、私は驚きを隠せなかった。
悲報、変人は王子だった。
いや、オズワルドさんが様付けで呼んでいたからある程度身分が高いのかな?とは思った。
でも、まさか王子が騎士団の本部の裏口にいるとは思わない。
王子って、確か命とかも狙われるんでしょう?
なら、こんな普段は人があまり来ないところにいるとは思わない。
そして、やっぱり予想したとおりライオンの獣人だった。
まあ、百獣の王ともいわれているライオンだから獣人の国の王族って言うのはなんとなく理解できる。
ライトノベルのざまぁ系に出てくる嫌味な王子じゃなくて良かった。
権力持った嫌味な奴って、一番厄介なタイプだし。
「おう!俺は、レオン・ライオルフ!レオンでも何でもいいが、個人的にはレオンお兄ちゃんがいいぞ!」
「レオン様って呼べばいい」
笑顔でそう言うレオンさんに、何の反応も示さず私に言うシヴァさん。
というか、何故『お兄ちゃん』?
何故、その呼び方をチョイスした?
「酷くないか、シヴァ!?お兄ちゃん、泣いちゃうぞ!!」
「ええと、レオン様?というか、お兄ちゃんって…………」
シクシクと泣き真似をし始めたレオンさんに、思わず私はシヴァさんの方を見る。
お兄ちゃんということは、彼とシヴァさんは兄弟関係だということ。
でも、明らかに彼らの種類は違う。
レオンさんはライオンで、シヴァさんは狼。
ライオンと狼が兄弟になることなんてあるのだろうか?
「あれは、俺の兄ではないからな」
「ですよね?明らかに、獣人としての種族も違いそうですし」
「む、血のつながりだけが家族ではないぞ!」
「俺が説明するので、あんたは黙っていてください」
「レオン様、黙りましょう?シヴァの拳は、非常に痛いですし」
シヴァさんが疲れた表情を浮かべながら言った言葉に同意すれば、レオンさんが驚いたように言う。
そんなレオンさんを、シヴァさんとオズワルドさんが止めている。
まあ、少なくとも義兄弟的な関係であることはわかった。
それにしても、オズワルドさんもなんというかレオンさんの扱いが雑になる時があるけれど、オズワルドさんはレオンさんの部下的な立場ではないのだろうか?
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