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魔王の真実編

(254)冷静王子様との話し合い➀

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~紗彩目線~


「とりあえず、サーヤ。質問なら、受け付けるぞ?」
「…………あのそっくりな二人の男性は誰ですか?」


 ニコニコと笑っているレオンさんに、私はそう聞いた。




 本部についた私とラーグさんは、とりあえず二手に分かれることにした。
 ラーグさんはキッチンに向かってとってきた野草を片付け、私は第一執務室に行って森の中で起こったことを報告することになったから。

 その方が、二度手間になることはないし。

 でも、第一執務室にお客さんが来ていたから失礼に当たらないようにしていたんだけど、そのお客さんの片方から変なことを言われた。

 …………なんていうか、冗談とかじゃなくて本気で言っているような声音だったところが一番怖い。

 ちなみにその二人はというと…………。


「おや…………レオン殿じゃないか」
「やあ、ゴーダン殿。昨日ぶりだな…………に何の用かな?」
「あれって、シヴァの物じゃないんだね?」
「ああ、俺の物だ」
「ふふ、そうなんだ。まあ、安心しなよ。僕、怒れる獅子に噛み千切られたいと望む趣味はないからね」
「へぇ、そうなのか。それなら、ぜひともお宅の者たちにも言っておいてくれると嬉しいな」
「ふふ、言っておくよ」


 主に笑顔を浮かべている人の方が、レオンさんと不穏な会話をした後に帰って行った。

 …………あの無表情な人は、なんでじっと私の方を見ているのかもすごく気になるんだけど。


 そんな私の反応が想定内だったのか、レオンさんの笑顔は苦笑いに変わった。


「まあ、そうなるわな」
「あと、もう一つ。レオン様は、どうして『俺の物』という部分を強調したんですか?」


 苦笑いのレオンさんに、自分の疑問を追う一つ付け足す。

 正直、なんで【俺の物】をあんなに強調したのかがわからない。
 私はレオンさんの物じゃないし。

 保護者という面では、私の保護者はシヴァさんだし。
 …………思ったけど、保護者関係って本当にどうなるんだろう?

 まさか、幼女と勘違いされていたとはさすがに思わなかったし。


「まあ、とりあえず全部一から説明するな。まずあの二人は、魔族の国の第一王子と第二王子だ。紗彩に変なことを言った方が【ゴーダン殿】で、無表情でジッと見てきた方が【ゴードン殿】。第一・第二王子って言っているが、実際は双子で年齢は同じだ。一応、ゴーダン殿の方が兄って事にはなっているらしい」


 レオンさんの説明を聞いても、私としては疑問が上がるだけだった。

 そもそも、どうして他国の第一王子と第二王子がここにいるわけ?

 レオンさんは獣人の国の王子だから騎士団の本部に来る理由はわかるけど、あの二人は他国の王族だから獣人騎士団にわざわざ部下無しで来る理由がわからない。
 自国の王子のレオンさんだって、彼の部下のオズワルドさんを連れて来ていたのに。


 しかも魔族の国というと、確かアルさんの話だとハーフに対しての差別が根強くある所じゃない。

 え、シヴァさん大丈夫だったの?
 なんか、嫌味とか差別発言とか言われてない?

 …………王子じゃなかったら、膝にガムテープを貼って膝とか脛の毛根に大打撃与えてやるのに。


「…………騎士団ならともかく、他国の王子がなぜ獣人騎士団にやって来るんですか? そういうことって、どちらかというとレオン様とかお城の方々が対応すると思うんですけど」
「まあ、普通はそう思うよな。ちなみに、俺達の城にも一応知らせは来ていたぞ? 『弟に会いに来た』ってな」
「…………弟?」


 私の言葉に、苦笑いしながら言うレオンさん。

 正直に言おう。
 どういうこと?

 弟って、あれだよね?
 兄とか姉とかがいる下の子って意味だよね?

 え、つまり何?
 獣人騎士団に魔族の国の王族がいるってこと?

 いや、確かに獣人騎士団って言う割にハーフが多いなとは思ったけどさ。

 でも、さすがに他国の騎士団に王族が混じっているのはいろいろとツッコみどころが多い気がするんだけど。
 それ、いろいろな意味で良いの?


「待ってください。何故、魔族の国の王族がその理由で獣人騎士団に? だいたい、弟って」
「俺だ」
「え?」
「あいつらの言う弟っていうのは、俺のことだ」


 レオンさんに続けて聞こうとすれば、私にそう言ったのは意外な人だった。








「…………シヴァさんが、あの二人の弟?」


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