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魔王の真実編

(255)冷静王子様との話し合い②

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~紗彩目線~


「待ってください。何故、魔族の国の王族がその理由で獣人騎士団に? だいたい、弟って」
「俺だ」
「え?」
「あいつらの言う弟っていうのは、俺のことだ」
「…………シヴァさんが、あの二人の弟?」


 シヴァさんが、あの双子の弟。
 いったい、どういうことなんだろうか?

 そう思っていれば、レオンさんがカラリと困った笑顔を浮かべた。


「まあ、とりあえず執務室の中に入ろうな」


 レオンさんの言葉に、とりあえず私は第一執務室の中で事情を聞くことにした。





「そもそも、サーヤはシヴァの出自についてどれぐらい知っているんだ?」


 目のまえのソファに座り、真剣な表情を浮かべながら言うレオンさん。
 そんな彼の言葉に、私は思わず言葉に詰まってしまう。

 正直、シヴァさんの出自というのは本人の了承なしに簡単に言っていいのか迷ってしまう内容だから。

 そう思って、ハタッと思う。

 いやレオンさん、シヴァさんの兄を自称しているんだからシヴァさんの出自ぐらい知ってると思うんだけど。
 それとも、私が知っているのかということを確認するためだろうか?


「ええと…………ハーフであることと、その…………」
「レオン様」
「ああ、悪い。言いにくい事を聞いたな」


 言いづらくて目を泳がせていれば、私の隣に座っていたシヴァさんが助け舟なのか注意するような声音でレオンさんに言う。

 そんなシヴァさんの言葉に、レオンさんが苦笑して言った。


「前にも言った通り、俺は狼の獣人と吸血鬼のハーフだ。吸血鬼は、魔族の国では上位種…………高位貴族とか王族によくいる種だな。俺の父親は現魔族の国の王で、母親は狼の獣人だ。…………まあ今日来たあの二人とは、母親が違う異母兄弟という関係になる」


 うん、ちょっと待って?

 シヴァさんの言葉に、私の頭は理解することを拒否した。

 いや、そもそもシヴァさんの話が本当ならシヴァさんも王族__しかも他国の王子ということだ。
 いくらハーフであまりいい扱いを受けていなかったからって、他国の王子が自国以外の騎士団に所属するっていうのはアリなのか?

 それとも、あれか?
 亡命的な感じか?

 グルグルと頭の中で疑問が流れる。

 とりあえず、私は今一番気になる疑問を聞くことにした。


「…………あの、まず他国の王族が騎士団の団長になるというのは大丈夫なんですか?」
「シヴァの場合は、すでに縁切りをしてるから問題はないな。完全に違うならともかくシヴァは半分とはいえ獣人の血が入ってるし、前任の騎士団長や俺の両親も認めてるからな」


 私の疑問に答えてくれたのは、レオンさんだった。

 レオンさんの説明では、【縁切り】という行為は元の世界でもある【絶縁】と同じような意味合いらしい。

 王族の縁切りも同じらしく、王族としての籍を抜いて王族としての国関係の相続の権利を放棄する。
 まあ簡単に言えば、王位継承権がなくなって血の繋がりがあるだけの一般人になる感じだ。

 ただ元の世界との違いは、縁切りした後も血縁関係があるからという理由で政権争いに巻き込まれないようにするため、縁を切った者は他国に行かなければいけないらしい。
 日本での離婚とか絶縁というよりは、どちらかというと亡命とかの方が近い気がする。

 資金とかほどしてくれる人物とか諸々の面倒な準備もあるから、基本王族の縁切りは行われないらしいし。







 …………シヴァさんの縁切りが認められたのって、魔族の国にいる彼をよく思わない人たちがいろいろとやったからじゃないかな。


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