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4.一変
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「おはようございます天音、よく眠れましたか?」
「おはようオーくん、おかげさまで寝不足です」
「?」
自覚無しイケメン鬼こと、オーくん。彼はまだ私の前からいなくなっていなかった。
その事実に少し安堵した私はゆっくりと身支度を整える。その様子を黙って見ていたオーくんはゆっくりと口を開いた。
「学校」
「!!!!」
「いくんですか?」
オーくんの口から発した学校という単語にピクリと体が震える。
本当は行きたくないよ、でも、行かないと…
「行くよ」
「イジメられますよ」
昨日までの優しいオーくんはどこに行ったのか、私に冷たい言葉を浴びせてくる彼は本当に同一人物なのだろうか。
「それでも…行くの」
「何故?」
「何故って…!!!」
「行ったところでイジメがなくなるわけではないというのに?」
どうして、そんなこと言うの?私は、私は…!
感情が涙として溢れてくる。視界がぼやけ、オーくんの表情がわからなくなる。
「天音」
「……」
ふわりと壊れ物を扱うように抱きしめて、優しく話しかけてくれるオーくん。
「私は、ずっと天音を見守ってきました」
「…」
「ですから、貴女がどのような仕打ちを受けてきたかも全て知っています」
淡々と言葉を紡ぐオーくんの表情は私には見えない。ただ頭を撫でてくれるその手は昨日と同じ温かさを感じる。
「私は貴女をこのような目に合わせた者たちを到底許すつもりはありません」
「オー、くん」
「これ以上天音に苦しんでほしくはないのです」
腰にまわっていた手にぐっと力が入り、オーくんとの距離がより縮まる。こんなにも密着しているのに今はそれが心地よく感じる。
私を心配してくれている彼の気持ちが伝わるから。
「オーくん、それでも私は…」
「あの楽しかった日々が戻ってくるのを待つのですか?」
「…うん、」
私の考えてる事などお見通しと言わんばかりだと小さく溜息をこぼすオーくん。
「……分かりました、でしたら一つお願いがあります」
「お願い…?」
「今日だけ、学校を休んでくれませんか?明日からは普通に行っていただいて大丈夫なので」
「え…?」
彼の意図することが分からず困惑した私に気付いたのか、ゆっくりと体を離し目線を合わせてくれる。
「お願いします」
口調こそ穏やかなものだが目には強い意思が感じられ私は頷くことしかできなかった。
「ありがとうございます…では私は行きますね」
溢れる涙を優しく拭って、ゆっくりとソファに座らせてくれる。
そして私から離れると、ぶわりとどこからか風が巻き起こる。
「えっ、どこに?」
「秘密です」
「ちょっ、」
私が最後まで言葉を発する前にオーくんは消えていた。
「一体…何をするつもりなの…」
その場にはただ呆然とする私だけがいた。
「おはようオーくん、おかげさまで寝不足です」
「?」
自覚無しイケメン鬼こと、オーくん。彼はまだ私の前からいなくなっていなかった。
その事実に少し安堵した私はゆっくりと身支度を整える。その様子を黙って見ていたオーくんはゆっくりと口を開いた。
「学校」
「!!!!」
「いくんですか?」
オーくんの口から発した学校という単語にピクリと体が震える。
本当は行きたくないよ、でも、行かないと…
「行くよ」
「イジメられますよ」
昨日までの優しいオーくんはどこに行ったのか、私に冷たい言葉を浴びせてくる彼は本当に同一人物なのだろうか。
「それでも…行くの」
「何故?」
「何故って…!!!」
「行ったところでイジメがなくなるわけではないというのに?」
どうして、そんなこと言うの?私は、私は…!
感情が涙として溢れてくる。視界がぼやけ、オーくんの表情がわからなくなる。
「天音」
「……」
ふわりと壊れ物を扱うように抱きしめて、優しく話しかけてくれるオーくん。
「私は、ずっと天音を見守ってきました」
「…」
「ですから、貴女がどのような仕打ちを受けてきたかも全て知っています」
淡々と言葉を紡ぐオーくんの表情は私には見えない。ただ頭を撫でてくれるその手は昨日と同じ温かさを感じる。
「私は貴女をこのような目に合わせた者たちを到底許すつもりはありません」
「オー、くん」
「これ以上天音に苦しんでほしくはないのです」
腰にまわっていた手にぐっと力が入り、オーくんとの距離がより縮まる。こんなにも密着しているのに今はそれが心地よく感じる。
私を心配してくれている彼の気持ちが伝わるから。
「オーくん、それでも私は…」
「あの楽しかった日々が戻ってくるのを待つのですか?」
「…うん、」
私の考えてる事などお見通しと言わんばかりだと小さく溜息をこぼすオーくん。
「……分かりました、でしたら一つお願いがあります」
「お願い…?」
「今日だけ、学校を休んでくれませんか?明日からは普通に行っていただいて大丈夫なので」
「え…?」
彼の意図することが分からず困惑した私に気付いたのか、ゆっくりと体を離し目線を合わせてくれる。
「お願いします」
口調こそ穏やかなものだが目には強い意思が感じられ私は頷くことしかできなかった。
「ありがとうございます…では私は行きますね」
溢れる涙を優しく拭って、ゆっくりとソファに座らせてくれる。
そして私から離れると、ぶわりとどこからか風が巻き起こる。
「えっ、どこに?」
「秘密です」
「ちょっ、」
私が最後まで言葉を発する前にオーくんは消えていた。
「一体…何をするつもりなの…」
その場にはただ呆然とする私だけがいた。
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