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8話 期末
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バイトを始めたのは良いものの、目先の心配が増えるばかりだ。その一つが期末試験だ。
今は優希のことを考えている暇はないことに気付いた。登校中も教科書やノートを見ながら歩いている。バイトが終わってからもすぐに勉強している。なのに全然覚えられない。テストの魔力で記憶力が低下しているんだな。
ここはひとつ、山勘に頼るか。勉強はやめだ。しかし、ノートを閉じようとした手が誰かに止められた。
「何やめようとしてんのよ」
手を止めたのは朝陽だった。今日は飴を舐めている。
「なんだよ。何か用か?」
「別に。ただ勉強から逃げようとしてから逃さないようにしただけよ」
この女、本当に性格が悪い。
「あ。朝陽ちゃん!」
「月葉。これ。ありがとう」
月葉に用事だったのか。本を借りていたらしい。
「それより、月葉。飼い犬の面倒はちゃんと見なきゃダメよ。こいつ今勉強サボろうとしてたんだから」
ニヤニヤしながらいうな。
「本当?西野くん」
なんだその本気で捨てられた犬を心配する目は。月葉にも朝陽の毒が移ったのだろうか。空気が読めてないだけかも知れない。
「いや。ちょっとトイレにでも行こうかと…」
「嘘よ。こいつ完全にもう良いやって顔してたもの」
こいつ本当に。
「ダメだよ。諦めちゃ。努力すれば成し遂げられないことなんてないんだよ?」
「こいつがサボるといけないから勉強会でも開きましょうか」
なんと。逃げられないというのか。勉強の地獄から。なんとかして逃げられないだろうか。
「俺バイトが」
「その後でもできるわよね?ごちゃごちゃ言ってないで勉強するのよ。私たち優等生が見てあげるんだから」
Oh…。なんてこった。朝陽がどんどん話を進めるから逃げられなくなった。
場所が俺の部屋になった。なんであいつら俺が一人暮らしなの知ってるんだ。とにかく、部屋を片付けなければならない。でも当日までは良いよな。
って言ってるとすぐ時間ってものは経つ。チャイムの音が俺にそのことを告げる。はぁ。まぁ仕方ないか。覚悟を決めて玄関のドアを開けた。
「おはよう。西野くん」
「おはようございます」
制服じゃない2人を見るのは初めてだな。
「お邪魔するわねー」
ついに始まってしまう。勉強会。
「へー。西野の部屋って案外きれいなのね。もっと物が散乱しているのかと思ったわ」
実際、音楽の雑誌や教科書は散乱している。しかし、これよりひどいのを想像していたのならゴミ屋敷だとでも思っていたのだろうか。
あまり詮索されても困るので、真ん中のちゃぶ台に座らせて飲み物を出しておいた。客を招くのも久々だから緊張するな。
「西野は何が苦手なの?」
「強いていうなら数学と英語」
社会とか理科はなんとなくできるタイプだ。国語もなんとなくいける。
「確かに、苦手そうな顔してるわね」
余計なお世話だ。
「じゃあ、数学からやろっか」
朝陽と違って月葉は本当に親切だ。未来の旦那は幸せだろうな。
勉強を始めていきなりつまづいた。logにsin、cos、tan全てわからん。
「これってどうやるんだ?」
「この問題はそれぞれsin、cos、tanの関係を式として覚えれば解けるよ」
どれどれ。教科書に確か書いてあった気がする。
「これで良いか?」
「うん!バッチリ!」
できてしまった。さすがだな。教え方も優しくて助かる。
次に英語にとりかかった。英語も高3なだけあって難しい。
「全く読めない」
「だらしないわね。別に単語一つ一つを覚える必要なんてないのよ。ニュアンスがわかればね」
できる奴は言うことが違う。
「でもそのニュアンスを掴むまでが大変だろうが」
「努力すれば良いのよ。読解は取り敢えずイディオムを見ること。そしてイディオムを覚えるには単語のニュアンスを掴むこと」
俺以外なら多分理解できるのかな。
「それができれば日本語から英文ができるようになるわよ。多分ね」
多分かよ。
でも2人のおかげで捗ったな。他の科目も心配だが、なんとかするしかない。
「うーん!今日はこの辺で切り上げましょうか」
朝陽が大きく伸びをして言った。
「そうだね。そうしよ」
「ところで月葉。あのこと言わなくて良いの?」
あのこととはなんだろう。月葉は顔を赤らめて、もじもじしだした。そういえばこの前何か言いかけてたな。そのことだろうか。
「あの。西野くん。よかったらで良いんだけど、花火大会に一緒に行って欲しいなって」
珍しく小声の月葉に新鮮さを感じていたが、なんだって。ハナビタイカイ?珍しい言語だ。
「あんたと行きたいんだってさー」
「ちょっと、朝陽ちゃん!…あ、あの今度ある地元のやつなんだけど」
あの終業式の日にあるやつか。そういえば学校でも聞いたな。その日は特に予定もないしいいか。
「いいよ。今日のお礼ってことで」
「本当?やった!」
なんて爽やかな笑顔するのだろう。眩しいくらいだ。しかし、なぜ俺なんだ。もっといただろう。そこのやつとか。
「何か失礼なこと思わなかった?」
「別に」
感づかれたらしい。
「取り敢えず来週の期末がんばらないとだね!」
誠にその通り。赤点とったら詰みだ。
「ということで、あんたはこれから毎日勉強すること」
朝陽は悪魔みたいに笑った。こうも笑顔に違いが出るのだろうか。
「じゃあまた明日ね」
「頑張んなさいよー」
2人を玄関で見送って、勉強会は終わった。2人が勉強を教えてくれたのだ。頑張る他ないだろう。
それからというもの勉強し続けた。謹慎を食らっていた期間のノートは月葉から見せてもらった。ちなみに月葉のノートは信じられないほどきれいに纏まっていた。テスト期間が終わるまでバイトは休みをもらい、なんとか全教科の復習ができた。その代わりに睡眠を削るという悪行を行う形になったが。
テスト当日。本当にしんどい。メンタル的に。体は元気なんだがな。下駄箱で上巻きに履き替え、教室に向かう。
「うわ!」
柱の影から人が出てきて思わず声が出た。どうやら1年のようだ。
「ごめん」
「こちらこそ」
なんか不思議な雰囲気な子だったな。もしかしたらあの子が優希?そんなことないか。
いや、今はそれどころではない。この3日間のテストを乗り越えよう。それから優希のところへ行こう。
教室について席に着く。それと同時に先生が入ってきた。
「はい。教科書等は鞄にしまってー」
いよいよだ。血眼で勉強してきたのだから大丈夫だと信じている。努力をすれば成し遂げられないことなんてない。そう。ないのだ。
無事だったとはいえない3日間がすぎた。俺は完全に灰になりかけていた。
「西野くん!どうだった?」
「多分。大丈夫」
正直、メンタルも身体も限界だ。これで赤点回避できていなかったら倒れてしまうかも知れない。
それぞれの授業でテストは返却される。一応、ほとんど帰ってきてはいる。まだ赤はない。最後は英語と数学だ。これが赤でなければ勝ち。
英語の時間になり、答案が返却された。点数は52点。赤点ではない。しかし、英語で赤点回避できるとは。朝陽にわからないところを聞きにいったおかげだな。
あとは数学。
「数学返すぞー。一応、赤点は2人だ」
2人。30分の2。つまり15分の1。手を合わせ紙に祈る。
「西野」
俺の名前が呼ばれ、答案を取りに行く。心臓の鼓動が早くなるのを感じる。恐る恐る答案を受け取り自分の席に着く。
ゆっくり答案を見る。1桁目は9だった。なんか不穏な数字だな。その予想は的中した。
29点。ギリギリ赤点だった。
最悪だ。もう意識が飛びそう。
「西野くん?どうだった?」
月葉の声で引き戻してもらえた。
「月葉。ごめん、赤だった」
教えてくれたのにとても申し訳ない。
「そっか。どこ間違えたか復習してみよ?」
こんな時でも優しいとは。頭が下がる。答案を広げて一つ一つ答えを赤で書き写す。しかし、月葉は何か探しているようだった。
「あ、やっぱりあった。ここ採点ミスしてる」
なんだと?あぁ、俺は多分一生感謝するだろう。ありがとう、月葉。この恩はいつか返す。
採点も直してもらって32点になった。これで夏休みが心置きなく過ごせる。かと思った。
「おい、西野。待てよ」
心置きなく過ごせるかはまだわからないみたいだ。
今は優希のことを考えている暇はないことに気付いた。登校中も教科書やノートを見ながら歩いている。バイトが終わってからもすぐに勉強している。なのに全然覚えられない。テストの魔力で記憶力が低下しているんだな。
ここはひとつ、山勘に頼るか。勉強はやめだ。しかし、ノートを閉じようとした手が誰かに止められた。
「何やめようとしてんのよ」
手を止めたのは朝陽だった。今日は飴を舐めている。
「なんだよ。何か用か?」
「別に。ただ勉強から逃げようとしてから逃さないようにしただけよ」
この女、本当に性格が悪い。
「あ。朝陽ちゃん!」
「月葉。これ。ありがとう」
月葉に用事だったのか。本を借りていたらしい。
「それより、月葉。飼い犬の面倒はちゃんと見なきゃダメよ。こいつ今勉強サボろうとしてたんだから」
ニヤニヤしながらいうな。
「本当?西野くん」
なんだその本気で捨てられた犬を心配する目は。月葉にも朝陽の毒が移ったのだろうか。空気が読めてないだけかも知れない。
「いや。ちょっとトイレにでも行こうかと…」
「嘘よ。こいつ完全にもう良いやって顔してたもの」
こいつ本当に。
「ダメだよ。諦めちゃ。努力すれば成し遂げられないことなんてないんだよ?」
「こいつがサボるといけないから勉強会でも開きましょうか」
なんと。逃げられないというのか。勉強の地獄から。なんとかして逃げられないだろうか。
「俺バイトが」
「その後でもできるわよね?ごちゃごちゃ言ってないで勉強するのよ。私たち優等生が見てあげるんだから」
Oh…。なんてこった。朝陽がどんどん話を進めるから逃げられなくなった。
場所が俺の部屋になった。なんであいつら俺が一人暮らしなの知ってるんだ。とにかく、部屋を片付けなければならない。でも当日までは良いよな。
って言ってるとすぐ時間ってものは経つ。チャイムの音が俺にそのことを告げる。はぁ。まぁ仕方ないか。覚悟を決めて玄関のドアを開けた。
「おはよう。西野くん」
「おはようございます」
制服じゃない2人を見るのは初めてだな。
「お邪魔するわねー」
ついに始まってしまう。勉強会。
「へー。西野の部屋って案外きれいなのね。もっと物が散乱しているのかと思ったわ」
実際、音楽の雑誌や教科書は散乱している。しかし、これよりひどいのを想像していたのならゴミ屋敷だとでも思っていたのだろうか。
あまり詮索されても困るので、真ん中のちゃぶ台に座らせて飲み物を出しておいた。客を招くのも久々だから緊張するな。
「西野は何が苦手なの?」
「強いていうなら数学と英語」
社会とか理科はなんとなくできるタイプだ。国語もなんとなくいける。
「確かに、苦手そうな顔してるわね」
余計なお世話だ。
「じゃあ、数学からやろっか」
朝陽と違って月葉は本当に親切だ。未来の旦那は幸せだろうな。
勉強を始めていきなりつまづいた。logにsin、cos、tan全てわからん。
「これってどうやるんだ?」
「この問題はそれぞれsin、cos、tanの関係を式として覚えれば解けるよ」
どれどれ。教科書に確か書いてあった気がする。
「これで良いか?」
「うん!バッチリ!」
できてしまった。さすがだな。教え方も優しくて助かる。
次に英語にとりかかった。英語も高3なだけあって難しい。
「全く読めない」
「だらしないわね。別に単語一つ一つを覚える必要なんてないのよ。ニュアンスがわかればね」
できる奴は言うことが違う。
「でもそのニュアンスを掴むまでが大変だろうが」
「努力すれば良いのよ。読解は取り敢えずイディオムを見ること。そしてイディオムを覚えるには単語のニュアンスを掴むこと」
俺以外なら多分理解できるのかな。
「それができれば日本語から英文ができるようになるわよ。多分ね」
多分かよ。
でも2人のおかげで捗ったな。他の科目も心配だが、なんとかするしかない。
「うーん!今日はこの辺で切り上げましょうか」
朝陽が大きく伸びをして言った。
「そうだね。そうしよ」
「ところで月葉。あのこと言わなくて良いの?」
あのこととはなんだろう。月葉は顔を赤らめて、もじもじしだした。そういえばこの前何か言いかけてたな。そのことだろうか。
「あの。西野くん。よかったらで良いんだけど、花火大会に一緒に行って欲しいなって」
珍しく小声の月葉に新鮮さを感じていたが、なんだって。ハナビタイカイ?珍しい言語だ。
「あんたと行きたいんだってさー」
「ちょっと、朝陽ちゃん!…あ、あの今度ある地元のやつなんだけど」
あの終業式の日にあるやつか。そういえば学校でも聞いたな。その日は特に予定もないしいいか。
「いいよ。今日のお礼ってことで」
「本当?やった!」
なんて爽やかな笑顔するのだろう。眩しいくらいだ。しかし、なぜ俺なんだ。もっといただろう。そこのやつとか。
「何か失礼なこと思わなかった?」
「別に」
感づかれたらしい。
「取り敢えず来週の期末がんばらないとだね!」
誠にその通り。赤点とったら詰みだ。
「ということで、あんたはこれから毎日勉強すること」
朝陽は悪魔みたいに笑った。こうも笑顔に違いが出るのだろうか。
「じゃあまた明日ね」
「頑張んなさいよー」
2人を玄関で見送って、勉強会は終わった。2人が勉強を教えてくれたのだ。頑張る他ないだろう。
それからというもの勉強し続けた。謹慎を食らっていた期間のノートは月葉から見せてもらった。ちなみに月葉のノートは信じられないほどきれいに纏まっていた。テスト期間が終わるまでバイトは休みをもらい、なんとか全教科の復習ができた。その代わりに睡眠を削るという悪行を行う形になったが。
テスト当日。本当にしんどい。メンタル的に。体は元気なんだがな。下駄箱で上巻きに履き替え、教室に向かう。
「うわ!」
柱の影から人が出てきて思わず声が出た。どうやら1年のようだ。
「ごめん」
「こちらこそ」
なんか不思議な雰囲気な子だったな。もしかしたらあの子が優希?そんなことないか。
いや、今はそれどころではない。この3日間のテストを乗り越えよう。それから優希のところへ行こう。
教室について席に着く。それと同時に先生が入ってきた。
「はい。教科書等は鞄にしまってー」
いよいよだ。血眼で勉強してきたのだから大丈夫だと信じている。努力をすれば成し遂げられないことなんてない。そう。ないのだ。
無事だったとはいえない3日間がすぎた。俺は完全に灰になりかけていた。
「西野くん!どうだった?」
「多分。大丈夫」
正直、メンタルも身体も限界だ。これで赤点回避できていなかったら倒れてしまうかも知れない。
それぞれの授業でテストは返却される。一応、ほとんど帰ってきてはいる。まだ赤はない。最後は英語と数学だ。これが赤でなければ勝ち。
英語の時間になり、答案が返却された。点数は52点。赤点ではない。しかし、英語で赤点回避できるとは。朝陽にわからないところを聞きにいったおかげだな。
あとは数学。
「数学返すぞー。一応、赤点は2人だ」
2人。30分の2。つまり15分の1。手を合わせ紙に祈る。
「西野」
俺の名前が呼ばれ、答案を取りに行く。心臓の鼓動が早くなるのを感じる。恐る恐る答案を受け取り自分の席に着く。
ゆっくり答案を見る。1桁目は9だった。なんか不穏な数字だな。その予想は的中した。
29点。ギリギリ赤点だった。
最悪だ。もう意識が飛びそう。
「西野くん?どうだった?」
月葉の声で引き戻してもらえた。
「月葉。ごめん、赤だった」
教えてくれたのにとても申し訳ない。
「そっか。どこ間違えたか復習してみよ?」
こんな時でも優しいとは。頭が下がる。答案を広げて一つ一つ答えを赤で書き写す。しかし、月葉は何か探しているようだった。
「あ、やっぱりあった。ここ採点ミスしてる」
なんだと?あぁ、俺は多分一生感謝するだろう。ありがとう、月葉。この恩はいつか返す。
採点も直してもらって32点になった。これで夏休みが心置きなく過ごせる。かと思った。
「おい、西野。待てよ」
心置きなく過ごせるかはまだわからないみたいだ。
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