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私は、妹のリューシーが好きです。
姉妹だからでしょうか?昔からやりたいことや好きな事が一緒で、遊んでいてとても楽しかった記憶があります。それに、私が好きな物をさり気なく譲ってくれたりと、本当に優しい子なのです。
ですが、いつからか会話をする頻度が少なくなってきたような気がするのです。 私の思い違いだといいのですが。
とにかく昨晩セバスから、魅了魔法を使いジャンティ様の心を変えてしまったという内容の話は受け入れ難いものだったのです。
「お姉様。おはよう御座います」
朝を迎え、屋敷内の廊下を歩いていると妹と顔を合わせました。私は彼女が何らやましい事はしていないと信じています。ですが、何かが引っかかっている様な違和感が拭いきれずに、つい視線を逸らしてしまいました。
「ええ。おはよう」
「あら?瞼が腫れていらっしゃいますね。大丈夫ですか?」
「大丈夫よ、問題ありませんから」
ほら、朝一番に私の体調を気遣ってくれる子なのです。やはり、何かの勘違いでしょう。なら、以前の様に仲良くなれるように姉の私から歩み寄る事が必要なのでは。そう考えた私は、一つの提案を彼女にしました。
「リューシー。本日のお昼過ぎ、予定が空いていたらお茶でもどうかしら?久しぶりに」
「お姉様。大変心苦しいのですが、少々買い物の予定が有りまして。またの機会でもよろしいでしょうか?」
「え、ええ。それは残念ね。また、誘うわね」
ペコリと私に向けて会釈をすると、リューシーはその場を立ち去って行きました。
「何を買うのかしら?」
……いけません!私は今、何を考えていたのでしょうか。
そんなことは有り得ない。でも、考えるほどにセバスに言われた言葉が喉の奥に引っ掛かるような、もどかしい気持ちになったのです。
『もしも婚約破棄を撤回したいのならば、目を背けぬ事をお勧め致しますよ』
私は、午前中に急いで業務を終えると、ジャンティ様のお屋敷へと向かいました。そして、少しだけ離れた茂みにその身を隠したのです。
馬鹿な行動かもしれません。しかし、これは、妹を信じるために必要な行為だと自分に言い聞かせました。杞憂で終わればそれまでの事であり、セバスの言葉は嘘っぱちだと胸を張る事が出来ますから。
それから、30分程たった頃の事です。一台の馬車が公爵家の前で止まりました。
「そんな……嘘でしょう?」
信じたくは有りませんでしたが、馬車から降りてきたのは、確かにリューシーだったのです。
一体、何故ここに?買い物は?嘘をついていたの?
いえ、もしかしたら妹の事です。私のことを知って、公爵に婚約破棄についてのお話を問い質す為に来てくれたのかもしれない。非常に近い距離で談話をしている妹は、幸せそうな表情でした。
「どうして、そんなに楽しそうなの?」
言いえぬ感情が渦巻き、思わず二人から視線を逸らした私は、そのまま自宅へと向かいました。
それから数時間が経過して、屋敷に妹が戻ってきた事を確認すると、私は気まずい思いを抱えつつも妹の元へと向かったのです。
「ね、ねえ?今日は何処に行っていたの?」
「ええ。本日申し上げた様に、少々お買い物に行っていました。舞踏会に出席する機会も増えてきたので、装飾品などを見てきたのです」
「そう……良かったら、どんなものを買ったのか見せて貰えないかしら?」
「すみません。見ただけで、購入はしていませんので」
妹は嘘を付く時、いつも右手を左手で包み込む癖がありました。そして、今まさに包み込んでいたのです。
「……いい物が買えたら見せて頂戴ね」
そう言い残して、私は自室へと戻りました。 窓から顔だけを出し、その景色を眺めながら物思いに耽っていました。見晴らしのいい、この景色が好きだったのです。下の方に目を配ると、門番さんの一人と目が合ったので軽く会釈をしました。
……どうして妹は嘘を付いたのか?
その事が頭を埋め尽くし、おかしくなりそうになるのを必死に堪える事しか出来なかったのです。
一体、彼女は何がしたいというのでしょうか。
姉妹だからでしょうか?昔からやりたいことや好きな事が一緒で、遊んでいてとても楽しかった記憶があります。それに、私が好きな物をさり気なく譲ってくれたりと、本当に優しい子なのです。
ですが、いつからか会話をする頻度が少なくなってきたような気がするのです。 私の思い違いだといいのですが。
とにかく昨晩セバスから、魅了魔法を使いジャンティ様の心を変えてしまったという内容の話は受け入れ難いものだったのです。
「お姉様。おはよう御座います」
朝を迎え、屋敷内の廊下を歩いていると妹と顔を合わせました。私は彼女が何らやましい事はしていないと信じています。ですが、何かが引っかかっている様な違和感が拭いきれずに、つい視線を逸らしてしまいました。
「ええ。おはよう」
「あら?瞼が腫れていらっしゃいますね。大丈夫ですか?」
「大丈夫よ、問題ありませんから」
ほら、朝一番に私の体調を気遣ってくれる子なのです。やはり、何かの勘違いでしょう。なら、以前の様に仲良くなれるように姉の私から歩み寄る事が必要なのでは。そう考えた私は、一つの提案を彼女にしました。
「リューシー。本日のお昼過ぎ、予定が空いていたらお茶でもどうかしら?久しぶりに」
「お姉様。大変心苦しいのですが、少々買い物の予定が有りまして。またの機会でもよろしいでしょうか?」
「え、ええ。それは残念ね。また、誘うわね」
ペコリと私に向けて会釈をすると、リューシーはその場を立ち去って行きました。
「何を買うのかしら?」
……いけません!私は今、何を考えていたのでしょうか。
そんなことは有り得ない。でも、考えるほどにセバスに言われた言葉が喉の奥に引っ掛かるような、もどかしい気持ちになったのです。
『もしも婚約破棄を撤回したいのならば、目を背けぬ事をお勧め致しますよ』
私は、午前中に急いで業務を終えると、ジャンティ様のお屋敷へと向かいました。そして、少しだけ離れた茂みにその身を隠したのです。
馬鹿な行動かもしれません。しかし、これは、妹を信じるために必要な行為だと自分に言い聞かせました。杞憂で終わればそれまでの事であり、セバスの言葉は嘘っぱちだと胸を張る事が出来ますから。
それから、30分程たった頃の事です。一台の馬車が公爵家の前で止まりました。
「そんな……嘘でしょう?」
信じたくは有りませんでしたが、馬車から降りてきたのは、確かにリューシーだったのです。
一体、何故ここに?買い物は?嘘をついていたの?
いえ、もしかしたら妹の事です。私のことを知って、公爵に婚約破棄についてのお話を問い質す為に来てくれたのかもしれない。非常に近い距離で談話をしている妹は、幸せそうな表情でした。
「どうして、そんなに楽しそうなの?」
言いえぬ感情が渦巻き、思わず二人から視線を逸らした私は、そのまま自宅へと向かいました。
それから数時間が経過して、屋敷に妹が戻ってきた事を確認すると、私は気まずい思いを抱えつつも妹の元へと向かったのです。
「ね、ねえ?今日は何処に行っていたの?」
「ええ。本日申し上げた様に、少々お買い物に行っていました。舞踏会に出席する機会も増えてきたので、装飾品などを見てきたのです」
「そう……良かったら、どんなものを買ったのか見せて貰えないかしら?」
「すみません。見ただけで、購入はしていませんので」
妹は嘘を付く時、いつも右手を左手で包み込む癖がありました。そして、今まさに包み込んでいたのです。
「……いい物が買えたら見せて頂戴ね」
そう言い残して、私は自室へと戻りました。 窓から顔だけを出し、その景色を眺めながら物思いに耽っていました。見晴らしのいい、この景色が好きだったのです。下の方に目を配ると、門番さんの一人と目が合ったので軽く会釈をしました。
……どうして妹は嘘を付いたのか?
その事が頭を埋め尽くし、おかしくなりそうになるのを必死に堪える事しか出来なかったのです。
一体、彼女は何がしたいというのでしょうか。
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