種付けおじさん召喚のスキルを手に入れました。

ギフトをもらった日

　僕の名前はアレク。昨日12歳になって、教会で神様からもらったギフトを確認してもらったら、「種付けおじさん」っていうやつだった。
　使い方について、神官様に聞いてみたけど、これは見たことがないと言われてしまった。ギフトの名前からして、家畜の種付けに関係する仕事だろうから、羊飼いのハンスに相談してみたらどうか？　と言われたのだ。
　ハンスは僕のお兄ちゃんみたいなかんじで、村で1番年の近い男の子だった。彼の一家は羊を追って暮らしているけれど、ハンスはその中から少しだけ群れを分けてもらって、修行をしているのだ。
　当然、ハンスは忙しくしていて、なかなか村には戻ってこない。僕は、彼が帰ってくる前にギフトの性能を調べるべく、マニュアルを熟読することにした。
「種付けおじさんは、なにもないところから、あなたのスキルレベルによって１－８人まで呼ぶことができます」
　ふんふん。最初はひとりかな……。
「種付けおじさんは妊娠可能な生命体ならば、何でも妊娠させることができます。スキルレベルが上がると、出産を早めることもできますが、自然のサイクルより早い出産では、食料や環境が整わず、せっかく生まれた仔が、生育不良になることもあります」
　ふんふんふんふん。
「種付けおじさんを呼ぶときには、あなたの体内に何らかの精子がなければ呼ぶことができません。逆に精子があればいつでも呼ぶことが可能です」
「種付けおじさんは、決してメスには負けません。相手がどんな種族でもです。これは覚えておいてください」
　なるほどね。だんだんわかってきた。
「種付けおじさんの射精する精子は、通常はあなたの精子です。生まれてくる子供は母体の種族に関係なく、あなたの子供になります。
　しかし、あなたの体内に母体と同じ種族の精子がある場合、種付けおじさんはあなたが用意した精子を強化複製して種付けを行います。きっと強くて大きな仔が育つでしょう」
　精子ってなんだろう。こども？　よくわからない。
　でも、大きくて立派な仔がうまれたら、ハンスは喜んでくれるよね。