モニターに応募したら、系外惑星に来てしまった。～どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。

第十七章

コーナーショット

「ストップ！」

　先頭を進んでいた古淵が小声で叫ぶ。

「敵か？」
「ええ。二つ先の角に、敵兵二名がいるのをドローンが見つけました。向こうはまだ、ドローンに気がついていないようです」
「武器は？」
「今、確認中……あ！　分かりました。短機関銃のようです」
「九九式の装甲を貫けるタイプか？」
「至近距離で撃たれたら、危ないですね」

　リスクは犯したくないな。

「ここから手榴弾を投げ込んでみるか？」
「それはお勧めできません。この先は補強してあるとは言え、地下道が崩れる危険がないとは言い切れません」

　だろうな。

「それに、敵がアンチマテリアルライフルやロケット砲を使わないのも同様の理由かと」

　後ろから橋本晶が口を挟んできた。

「ならば、私の長弓で射貫いてやりましょう」
「橋本さん。残念ですが無理です」
「古淵さん。私の弓の腕を知らないのですか！」
「あなたの弓の腕は知っています。しかし、曲がり角に隠れている敵を撃つことはさすがに無理でしょう」
「いや、それは向こうも同じです。こっちを攻撃しようとして、角から出てきたところを狙えば……」
「出てこないのですよ。これを見てください」

　古淵はタブレットを差し出す。

「ドローンから送られてきた映像です」

　そこには、妙な形の銃が映っている。

　銃身が、六十度ぐらいの角度に曲がっているのだ。

「これはコーナーショットと言って、射手が敵に身体を晒さずに、曲がり角の向こうの敵を撃てる装備です」
「コーナーショットというのか？　この曲がった銃」
「ええ。対テロ用に開発された装備です」
「しかし、銃身が曲がっていては反動が受け止められないが……」
「銃身自体は曲がっていません。コーナーショットは、銃を取り付けるディバイスです」
「えっと……それって自撮り棒の先に、銃身を付けているようなものかな？」
「そんな感じです」

　なるほど。塹壕戦などで使えそうな武器だな。

「おのれ、隠れて撃つとは卑怯な」

　いや、戦いに卑怯もへったくりもないから……

「古淵。ドローンで攻撃はできないか？」
「隠密性重視の地上走行ドローンですので、銃器を積む余裕がありませんでした。まあ、自爆攻撃ぐらいならできますが、それも崩落の危険があります」
「そうか」

　ドローンでは無理。攻撃可能なドローンを《ハクゲイ》に要請するか？

　それともミールの分身体を呼ぶか？

　カーン！

　ん？　なんだ？　今の音は？

　音源は橋本晶の方？

「橋本君。今の音は？」
「ああ、気にしないでください。刀の鞘が壁に当たっただけです」

　それだけで金属音がするだろうか？

　いや、よく見ると壁は鉄のような金属でできていた。

　なるほど。補強工事をしたと言っていたが、鉄板で壁や天井を補強してあったのか。
　
　ん？　壁が鉄板なら、あの手が使えそうだな。