212 / 237
事故物件2
転校生
しおりを挟む
数日後、番組が放送された。
約束通り、樒とのキスシーンは削除してもらったようだが……
その翌朝、ホームルーム前の教室では……
「すげー! 蔦の化け物が襲ってきたぞ」
何人かの生徒が、昨夜放送された「六道魔入の怪奇レポート」の録画をスマホで見ていた。
「これ、CGじゃないのか?」
本物だよ。
「可愛いなあ、この女の子。名前はなんて言うのかな?」
ごめん。それ本当は僕。
彼らの背後からスマホをのぞき込むと、僕が蔦の化け物に捕まり宙づりにされたシーンが映っていた。
「このモザイク邪魔だな」
「くそう! せっかくのパンチラが」
この変態どもが……
不意に変態の一人が、僕の方を振り向く。
「そういえば社。おまえも霊能者協会に入っているんだろ。この可愛い女の子、誰だか知らないか?」
「し……知らない」
知っているけど、知らない方が幸せだよ。
「もったいぶらないで教えろよ」
しつこいなあ。
「だから、知らないって。協会に所属していると言っても、みんな顔見知りというわけじゃないんだから」
「これ、本当に女の子かしら?」
なぬ!?
声の方を振り向くと、一人の女生徒が自分のスマホを見つめている。
その画面にも、僕が蔦に絡め捕られているシーンが……
「司馬さん。なぜ、これが女の子じゃないと?」
司馬さんは、僕の方を振り向いた。
「この子が実は、女装した男の娘……」
ギク! なぜばれた?
「だったらいいなあ、という単なる私の願望よ」
「願望?」
「私ね、可愛い男の子が、ヒドい目に遭って苦しんでいる姿を見るとゾクゾクするのよね。もし、この子が男の娘だったら、私的には最高なのだけど……」
ここにも変態がいたあ!
教室に担任が入って来たのはその時……
「ホームルームを始めるが、その前にみんなに転校生を紹介する」
教室に入ってきた少女は、うちの学校とは違う制服を着ていた。
たぶん、新しい制服が間に合わないので、前の学校の制服を着てきたのだろうと思うが……
「おお!」「可愛い!」
教室のあちこちから、男子生徒の声が上がる。
まあ、声を上げているのは、さっき僕の動画を見て騒いでいた変態達だけだが……
変態達が喜ぶだけあって、彼女は整った顔立ちをしているがなんか表情が固い。
まあ、転校したてで緊張しているのだろう。
ん?
僕と目が合った途端、彼女は驚いたような表情を浮かべた。
あれ? この人顔見知りだったっけ?
改めて彼女をよく観察してみた。
身長は百六十前後。艶やかな黒髪は腰まであり、浅黒い肌をしている。
ううん……この人どっかで会ったかな?
まあ、僕の顔はネットで流出しちゃったから、案外それを見ただけかもね。
彼女は教壇に上り、黒板に「降真亜羅」と書くと僕たちに向かって一礼した。
「降真亜羅です。諸事情によりセントレア学園から転校してきました。仲良くして下さい」
(「事故物件2」終了)
約束通り、樒とのキスシーンは削除してもらったようだが……
その翌朝、ホームルーム前の教室では……
「すげー! 蔦の化け物が襲ってきたぞ」
何人かの生徒が、昨夜放送された「六道魔入の怪奇レポート」の録画をスマホで見ていた。
「これ、CGじゃないのか?」
本物だよ。
「可愛いなあ、この女の子。名前はなんて言うのかな?」
ごめん。それ本当は僕。
彼らの背後からスマホをのぞき込むと、僕が蔦の化け物に捕まり宙づりにされたシーンが映っていた。
「このモザイク邪魔だな」
「くそう! せっかくのパンチラが」
この変態どもが……
不意に変態の一人が、僕の方を振り向く。
「そういえば社。おまえも霊能者協会に入っているんだろ。この可愛い女の子、誰だか知らないか?」
「し……知らない」
知っているけど、知らない方が幸せだよ。
「もったいぶらないで教えろよ」
しつこいなあ。
「だから、知らないって。協会に所属していると言っても、みんな顔見知りというわけじゃないんだから」
「これ、本当に女の子かしら?」
なぬ!?
声の方を振り向くと、一人の女生徒が自分のスマホを見つめている。
その画面にも、僕が蔦に絡め捕られているシーンが……
「司馬さん。なぜ、これが女の子じゃないと?」
司馬さんは、僕の方を振り向いた。
「この子が実は、女装した男の娘……」
ギク! なぜばれた?
「だったらいいなあ、という単なる私の願望よ」
「願望?」
「私ね、可愛い男の子が、ヒドい目に遭って苦しんでいる姿を見るとゾクゾクするのよね。もし、この子が男の娘だったら、私的には最高なのだけど……」
ここにも変態がいたあ!
教室に担任が入って来たのはその時……
「ホームルームを始めるが、その前にみんなに転校生を紹介する」
教室に入ってきた少女は、うちの学校とは違う制服を着ていた。
たぶん、新しい制服が間に合わないので、前の学校の制服を着てきたのだろうと思うが……
「おお!」「可愛い!」
教室のあちこちから、男子生徒の声が上がる。
まあ、声を上げているのは、さっき僕の動画を見て騒いでいた変態達だけだが……
変態達が喜ぶだけあって、彼女は整った顔立ちをしているがなんか表情が固い。
まあ、転校したてで緊張しているのだろう。
ん?
僕と目が合った途端、彼女は驚いたような表情を浮かべた。
あれ? この人顔見知りだったっけ?
改めて彼女をよく観察してみた。
身長は百六十前後。艶やかな黒髪は腰まであり、浅黒い肌をしている。
ううん……この人どっかで会ったかな?
まあ、僕の顔はネットで流出しちゃったから、案外それを見ただけかもね。
彼女は教壇に上り、黒板に「降真亜羅」と書くと僕たちに向かって一礼した。
「降真亜羅です。諸事情によりセントレア学園から転校してきました。仲良くして下さい」
(「事故物件2」終了)
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
20
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる