Dear my...

E.L.L

文字の大きさ
62 / 68

61章

しおりを挟む
「俺
お前のことまだ好きだわ」

「…え…?」

今なんて―

「凛花のこと、ずっと好きなんだ」

照史がこちらを目をそらさずに見ている

「俺自分勝手だし、お前に迷惑かけてばっかだし、今更なんだと思うと思うけど、振られた後もずっと忘れられないんだ」

「…た、高梨…?」

照史がフッと笑った

「また凛花に名前呼んで貰えるように頑張るから
俺にもう一度チャンスくれない?」

「…む、無理よ…」

また同じことを繰り返すのは嫌だった
自由な照史が大好きだった
だけど自由な彼だから辛かった
照史が撮った写真も、写真を撮ってる照史も大好きなのにそれ自身を嫌いになりそうで怖かった
そんなことを考える自分が嫌いだった

「…カメラを撮りに行くために数ヶ月会えないとかそういうの、本当は辛かったのよ」

どんな思いで別れたと思ってんのよ

「…俺がカメラ辞めたら一緒にいてくれんの?
それともカメラ関係なしにもう俺の事が嫌い?」

何を言い出すんだこの男は

「そんなの無理なくせに
大体あんたからカメラ取ったら何が残るのよ」

それは嘘だった
普段の優しいところも好きだったけど、たまにその優しさにさえ苛立つ自分が嫌だった

「ん、ごめん
確かにカメラは辞めらんないわ」

歩き去ってしまおうと思ったのにあろうことか照史は私の前に回り込み逃げられないように立ち塞がった

「でもさ、俺の事嫌いって言わないんだね」

「…き…」

言おうとするけど口が動かない
あと2文字なのに
多分ここで嫌いって言ってしまったらこの男とはこれっきりだろうと予感していた
顔を合わせることがあってもいつものようには…
やっぱりそんなの嫌なの
視界がぼやけてきた

「…帰るわ
どいてよ」

「ごめん、いじわるした」

照史の声に焦りが少し滲んでいる

「もうここでいいから」

私は1人になりたくて帰ろうとした

「凛花!
確かに俺はカメラ辞めらんない!
色んなとこに撮りに行くと思う
けど次行く時は一緒に行こう?
俺、今も余裕なくて、お前につり合う男じゃないけどお前じゃなきゃダメなんだよ」

後ろから腕を掴まれる

「英司たち見てて思ったんだ
明日が普通にくる確証なんかねぇんだって
俺だけが好きなら諦めようと思ったんだ
だからさっきは…試すようなことして悪かった」

照史がそっと手を離した
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

降っても晴れても

凛子
恋愛
もう、限界なんです……

十年越しの幼馴染は今や冷徹な国王でした

柴田はつみ
恋愛
侯爵令嬢エラナは、父親の命令で突然、10歳年上の国王アレンと結婚することに。 幼馴染みだったものの、年の差と疎遠だった期間のせいですっかり他人行儀な二人の新婚生活は、どこかギクシャクしていました。エラナは国王の冷たい態度に心を閉ざし、離婚を決意します。 そんなある日、国王と聖女マリアが親密に話している姿を頻繁に目撃したエラナは、二人の関係を不審に思い始めます。 護衛騎士レオナルドの協力を得て真相を突き止めることにしますが、逆に国王からはレオナルドとの仲を疑われてしまい、事態は思わぬ方向に進んでいきます。

届かぬ温もり

HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった····· ◆◇◆◇◆◇◆ 読んでくださり感謝いたします。 すべてフィクションです。不快に思われた方は読むのを止めて下さい。 ゆっくり更新していきます。 誤字脱字も見つけ次第直していきます。 よろしくお願いします。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

離した手の温もり

橘 凛子
恋愛
3年前、未来を誓った君を置いて、私は夢を追いかけた。キャリアを優先した私に、君と会う資格なんてないのかもしれない。それでも、あの日の選択をずっと後悔している。そして今、私はあの場所へ帰ってきた。もう一度、君に会いたい。ただ、ごめんなさいと伝えたい。それだけでいい。それ以上の願いは、もう抱けないから。

【完結】小さなマリーは僕の物

miniko
恋愛
マリーは小柄で胸元も寂しい自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。 彼女の子供の頃からの婚約者は、容姿端麗、性格も良く、とても大事にしてくれる完璧な人。 しかし、周囲からの圧力もあり、自分は彼に不釣り合いだと感じて、婚約解消を目指す。 ※マリー視点とアラン視点、同じ内容を交互に書く予定です。(最終話はマリー視点のみ)

すれ違ってしまった恋

秋風 爽籟
恋愛
別れてから何年も経って大切だと気が付いた… それでも、いつか戻れると思っていた… でも現実は厳しく、すれ違ってばかり…

処理中です...