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🌹『翠玉のケエス:芽吹』🌹 本編 💎 JUSTICE:U 💎
Drop.018『 JUSTICE:U〈Ⅲ〉』【3】
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法雨は、そんな桔流の言葉をすべて大切に受け取ると、ゆっくりと歩み寄り、少しばかり赤くなっている彼の手を両手で包むと、言った。
「――桔流君……。――今回の事、――アナタに黙っていた上、心配までかけてしまって、本当にごめんなさい。――そして、本当にありがとう。――桔流君にそう言ってもらえて、アタシ、すごく心強いわ。――だから、次なんてないと思うけど、今後、何かあった時は、頼らせてもらうわね」
桔流は、それに、未だ視線を落としたままではあったが、先ほどよりもしばし穏やかな声色で言った。
「――はい……。――そうしてもらえると、嬉しいです……」
法雨は、それに頷くと、次いで、そんな桔流の――今しがた京を戒めたばかりのその手を優しく擦りながら、頬笑む。
「――それにしても、――桔流君の強いトコ、初めて見たけれど……、――やっぱり、イケメンは“こういう時”も、絵になるわねぇ。――まるで、ドラマを観てるみたいだったわ」
そんな言葉に、桔流は、しばし顔を背けるようにして言った。
「――なんか……、――この流れで言われると、恥ずかしいんで、できれば忘れてください……」
法雨は、それに楽しげに笑う。
「――アラアラ。――すっかり、いつもの可愛い桔流君に戻っちゃったわねぇ。――ケンカ盛りの桔流君は、もうおしましかしら?」
「はい。――おしまいです」
卒業したはずの“ヤンチャ”な姿を見せてしまった事も恥ずかしかったのか、桔流はそう言うと、法雨の優しい両手から己の手をやんわりと引き抜くと、しばし黙した。
そんな桔流を愛らしく想いながら笑んだ法雨は、次いで、すっかりと落ち込み、同じくフロアの床を見つめていた京に言う。
「――それで? ――京は大丈夫だったかしら? ――桔流君の拳で顎外れてない?」
すると、京は、しばし動揺しながら言った。
「え、あ、――は、はい……。大丈夫です……。――そんなヤワじゃないんで……」
法雨は、それに安堵したよに笑うと、カウンターの方へ向かいながら、二人に言う。
「――ふふ。それは良かったわ。――それにしても、――まさか殴るなんて思わなかったから、流石のアタシも吃驚しちゃったわ」
そして、言いながら、さっと濡らしたタオルを京に渡す。
京は、法雨からタオルを受け取ると、礼を言い、すっかり赤くなった頬を冷やすようにした。
その中、その法雨の言葉に、ようやっと顔を上げた桔流は、悪びれながら――ではなく、何故か胸を張るようにして言った。
「“そんな事”があったなんて知ったら、俺じゃなくても、一発殴らずにはいられなかったと思いますよ」
その言い分に、法雨は、自身の顎に手をやり、考える様にしながら言う。
「う~ん。――まぁ、そうねぇ。――アタシも、お店のコたちや、友達がそんな目に遭ってたとしたら、容赦なくひっぱたいてたかもしれないけど……。――でも、あまりにもいきなりの事だったから、流石に心臓に悪かったわよ」
「まぁ、吃驚させてしまったのは、すいません。――っていうか、もう済んだ話だったみたいなんで、俺も、殴るまではしなくていいかなとは思ったんですけどね……。――でも、フロアに放った時に京が倒れなかったのが悪いんですよ」
「えっ……」
その二人の会話を聞きながら、タオルで頬を冷やしつつ、静かに反省を続けていた京であったが、予想だにしない言葉に思わず声を漏らす。
そして、桔流の言葉を受けた法雨もまた、意外そうな顔で言った。
「――桔流君……。――今回の事、――アナタに黙っていた上、心配までかけてしまって、本当にごめんなさい。――そして、本当にありがとう。――桔流君にそう言ってもらえて、アタシ、すごく心強いわ。――だから、次なんてないと思うけど、今後、何かあった時は、頼らせてもらうわね」
桔流は、それに、未だ視線を落としたままではあったが、先ほどよりもしばし穏やかな声色で言った。
「――はい……。――そうしてもらえると、嬉しいです……」
法雨は、それに頷くと、次いで、そんな桔流の――今しがた京を戒めたばかりのその手を優しく擦りながら、頬笑む。
「――それにしても、――桔流君の強いトコ、初めて見たけれど……、――やっぱり、イケメンは“こういう時”も、絵になるわねぇ。――まるで、ドラマを観てるみたいだったわ」
そんな言葉に、桔流は、しばし顔を背けるようにして言った。
「――なんか……、――この流れで言われると、恥ずかしいんで、できれば忘れてください……」
法雨は、それに楽しげに笑う。
「――アラアラ。――すっかり、いつもの可愛い桔流君に戻っちゃったわねぇ。――ケンカ盛りの桔流君は、もうおしましかしら?」
「はい。――おしまいです」
卒業したはずの“ヤンチャ”な姿を見せてしまった事も恥ずかしかったのか、桔流はそう言うと、法雨の優しい両手から己の手をやんわりと引き抜くと、しばし黙した。
そんな桔流を愛らしく想いながら笑んだ法雨は、次いで、すっかりと落ち込み、同じくフロアの床を見つめていた京に言う。
「――それで? ――京は大丈夫だったかしら? ――桔流君の拳で顎外れてない?」
すると、京は、しばし動揺しながら言った。
「え、あ、――は、はい……。大丈夫です……。――そんなヤワじゃないんで……」
法雨は、それに安堵したよに笑うと、カウンターの方へ向かいながら、二人に言う。
「――ふふ。それは良かったわ。――それにしても、――まさか殴るなんて思わなかったから、流石のアタシも吃驚しちゃったわ」
そして、言いながら、さっと濡らしたタオルを京に渡す。
京は、法雨からタオルを受け取ると、礼を言い、すっかり赤くなった頬を冷やすようにした。
その中、その法雨の言葉に、ようやっと顔を上げた桔流は、悪びれながら――ではなく、何故か胸を張るようにして言った。
「“そんな事”があったなんて知ったら、俺じゃなくても、一発殴らずにはいられなかったと思いますよ」
その言い分に、法雨は、自身の顎に手をやり、考える様にしながら言う。
「う~ん。――まぁ、そうねぇ。――アタシも、お店のコたちや、友達がそんな目に遭ってたとしたら、容赦なくひっぱたいてたかもしれないけど……。――でも、あまりにもいきなりの事だったから、流石に心臓に悪かったわよ」
「まぁ、吃驚させてしまったのは、すいません。――っていうか、もう済んだ話だったみたいなんで、俺も、殴るまではしなくていいかなとは思ったんですけどね……。――でも、フロアに放った時に京が倒れなかったのが悪いんですよ」
「えっ……」
その二人の会話を聞きながら、タオルで頬を冷やしつつ、静かに反省を続けていた京であったが、予想だにしない言葉に思わず声を漏らす。
そして、桔流の言葉を受けた法雨もまた、意外そうな顔で言った。
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