治療と称していただきます

茜菫

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第一部

夢だったのなら(11)*

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「…っエレノーラ、何を…」

「レイモンドが好きにしないから、私が好きにするの。いいでしょう?」

 レイモンドはよくないと言おうとして、いや、いいかと思い直し、やっぱりよくないだろうと思い直す。そんな彼の内心の葛藤を嘲笑うかのように、エレノーラは細くて長い指を、彼の肌の上を伝わせて、下へと下ろしていく。

(えっ、いつ上の服を開けたんだ!?)

 レイモンドはさっぱり記憶になく、それどころか、全身が金縛りにあったように思う通りに動かせなかった。

「ここ、苦しそうね?」

「…っ」

 エレノーラの指が、彼の膨れ上がった下着に辿り着く。レイモンドは上から軽くつつかれて、息をのんだ。

(ズボン、脱いでたっけ…)

 彼女はそのまま、彼のの目を見ながらそこに掌を重ね、すりすりとその形を確かめるように擦る。彼はその刺激に興奮し、そこは益々窮屈になってくる。

「うぅ…エレノーラ…」

「レイモンド…」

 エレノーラが身を屈め、下着の上からそこに唇を寄せる。

(まだ、キスもしていないのに…!)

 レイモンドはそんなことを頭の片隅で思いながら、何度もそこにリップ音をたてながらキスを繰り返すエレノーラから目が離せなかった。彼女は彼の下着をずり下げて、上目遣いで彼を見ながら、直接陰茎を唇で挟み、舌先をつっと這わせる。

「っは…う…っ」

 ひとしきり、いいところは触れそうで触れられずにそれを続けられて、レイモンドら焦れったさに声を漏らした。すると、彼女はブルネットの長い髪を耳に引っ掛け、ぺろりと亀頭を舐めて息を吐く。そのまま、彼女は音を立てながら咥えこみ、頭をゆるゆると動かした。

「うぅっ、こんな、ことを、させている、なんて…」

 夢の中だとはいえ、エレノーラにこんなにもいやらしいことをさせている。レイモンドはそんな罪悪感を感じながらも、エレノーラがこんなにもいらやしいことを自分のためにしてくれている、そんな喜びも感じている。相反する気持ちを抱えながら、彼が内心でエレノーラに何度も謝罪していると、彼女は顔を上げてにこりと笑った。

「私が、レイモンドにこういうことをするのが大好きだって…もう、知っているじゃない」

「…えっ」

 レイモンドは思わず、間の抜けた声を漏らした。彼は気が抜けたが、再び咥えこまれ、軽く吸われて襲ってきた快感に体が震わす。

(あれ、これは夢だったよな…)

 だが、感じる口内の温かさや気持ちよさは本物だった。レイモンドはいやらしく音を立て、彼の目をじっとみながら頭を動かし、吸い付き、目を細めて笑うエレノーラにはっとする。

「っエレノーラ、また…っ」

 がばりと上体を起こしてレイモンドは夢の中から飛び起きた。
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