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第6章 秘密①
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土曜日の朝、由希子はいつものように朝食を作っていると、孝之がのっそりと起きてきた。
「今日は仕事か?」
「うん。せっかくの休みなのにごめんね」
「いや…。それより体大丈夫か?」
由希子の健康を心配してくれる孝之の気遣いに、由希子は少し心が温かくなった。
「大丈夫だよ。それに明日は休みが取れそうなの。プロジェクトもその課題がクリアできたら順調に進めるし。もうちょっとの辛抱かな」
「分かった。明日休めるなら、少し出かけるか?」
久しぶりに夫婦で過ごす時間がとれることに、由希子は心躍らせた。嬉しくてついつい頬をゆるんでしまう。
「顔緩みすぎだ」
「だって…嬉しいから」
孝之の大きな手がくしゃくしゃと由希子の頭をなでる。少し幸せな気分で由希子は休日出勤に臨むのだった。
システム部担当以外に出勤していないと思っていたが、オフィスに入ると人がいた。
「あれ??南くん?」
「あぁ…由希子。どうしたんだい?」
「それはこっちのセリフだよ。休日出勤?」
「うん。研究データがそろったからその分析に。」
「そうなんだ、研究熱心だね。」
由希子が南の席に行って他愛無い会話をする。その時、南が由希子の顔をじっと見つめた。
「どうしたの?」
「なにかいいことあった?」
「え?…どうして?」
突然の指摘に由希子はうろたえた。なぜ南はそんなことを言うのだろうか?
すると南は微笑んで答えた。
「だって…顔が緩んでいるから。久しぶりにそんな表情みたなって思って。」
南の指摘に思わず赤くなる。
「そんなに顔に出てる?」
「うん。最近は仕事で少し疲れているようだったし、何か眉間にしわを寄せて難しい顔をしたり。あとちょっと落ち込んでいたり」
そういえば孝之がバーで後輩とキスしているところを目撃したとき、南が慰めてくれていたことを思い出す。
「この間は変なところ見せてごめん。実は明日久しぶりにデートなの」
「デート?旦那さんと?良かったね」
その“良かったね”は、旦那と仲直りできたことなのか、それともデートできることなのか。それとも両方なのかはわかないが、南が安堵したような表情をしていた。
その時、由希子のLINEにメッセージが入る。
『ごめん。今日はちょっと出かけてくる』
『仕事?』
『同僚と3人で飲んでくる。仕事頑張れよ』
『了解』
手早くLINEを返信する。
「旦那さんから?」
「うん。私も仕事頑張んなきゃ」
「そうだね。明日は出勤しないように。でも無理しないように」
「ありがとう!じゃあ、私仕事に戻るね」
「今日は仕事か?」
「うん。せっかくの休みなのにごめんね」
「いや…。それより体大丈夫か?」
由希子の健康を心配してくれる孝之の気遣いに、由希子は少し心が温かくなった。
「大丈夫だよ。それに明日は休みが取れそうなの。プロジェクトもその課題がクリアできたら順調に進めるし。もうちょっとの辛抱かな」
「分かった。明日休めるなら、少し出かけるか?」
久しぶりに夫婦で過ごす時間がとれることに、由希子は心躍らせた。嬉しくてついつい頬をゆるんでしまう。
「顔緩みすぎだ」
「だって…嬉しいから」
孝之の大きな手がくしゃくしゃと由希子の頭をなでる。少し幸せな気分で由希子は休日出勤に臨むのだった。
システム部担当以外に出勤していないと思っていたが、オフィスに入ると人がいた。
「あれ??南くん?」
「あぁ…由希子。どうしたんだい?」
「それはこっちのセリフだよ。休日出勤?」
「うん。研究データがそろったからその分析に。」
「そうなんだ、研究熱心だね。」
由希子が南の席に行って他愛無い会話をする。その時、南が由希子の顔をじっと見つめた。
「どうしたの?」
「なにかいいことあった?」
「え?…どうして?」
突然の指摘に由希子はうろたえた。なぜ南はそんなことを言うのだろうか?
すると南は微笑んで答えた。
「だって…顔が緩んでいるから。久しぶりにそんな表情みたなって思って。」
南の指摘に思わず赤くなる。
「そんなに顔に出てる?」
「うん。最近は仕事で少し疲れているようだったし、何か眉間にしわを寄せて難しい顔をしたり。あとちょっと落ち込んでいたり」
そういえば孝之がバーで後輩とキスしているところを目撃したとき、南が慰めてくれていたことを思い出す。
「この間は変なところ見せてごめん。実は明日久しぶりにデートなの」
「デート?旦那さんと?良かったね」
その“良かったね”は、旦那と仲直りできたことなのか、それともデートできることなのか。それとも両方なのかはわかないが、南が安堵したような表情をしていた。
その時、由希子のLINEにメッセージが入る。
『ごめん。今日はちょっと出かけてくる』
『仕事?』
『同僚と3人で飲んでくる。仕事頑張れよ』
『了解』
手早くLINEを返信する。
「旦那さんから?」
「うん。私も仕事頑張んなきゃ」
「そうだね。明日は出勤しないように。でも無理しないように」
「ありがとう!じゃあ、私仕事に戻るね」
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