5 / 46
二、手紙の解読
(一)
しおりを挟む
海浜幕張の駅を下りると海の方向に歩いて十分くらいの所に宮本の勤める会社の事務所があった。事務所は三十階建てのビルの二十階にあった。
エレベータで二十階まで上り、入館カードを背広の脇ポケットから取り出すと入り口の扉の横に設けてあるカードリーダにかざした。扉のロックが解除される音がするのを待って、宮本は扉を開けて中に入った。すると、フロア内は、まるで休日のように人影がなく閑散としていた。その異様な光景に、不安になった宮本は、胸ポケットから手帳を取り出して調べてみると、今日の午後六時から新宿のホテルで創立記念パーティが開催される事になっていた。会場の新宿までは距離があるので、早めに出たのだろう。焦った宮本は、出席するべきか迷ったが、誰もフロアにいないことを幸いに、欠席してもわからないだろうとたかをくくってさぼることにした。
宮本は席に着くと、鞄からノートパソコンを取り出して、LANにつなぐと、日報をすばやく打ち込んで、電源を落とした。そして、そそくさと帰り支度をすると、戻ってから十分もしないうちにオフィスを出た。定時より一時間も早く帰れる事にささやかな優越感を感じて嬉しかった。
宮本の自宅は、市川にあった。海浜幕張からは西船橋で総武線に乗り換え、市川駅を下りて、歩いて十五分くらいのところだった。江戸川の近くで、付近には昔、下総の国府や国分寺があったところだ。江戸川が東京と千葉の境になっているので、こんな端に国府があるのも変だなと思っていたが、江戸時代より前は、隅田川が下総と武蔵の国境になっていたらしい。
宮本の自宅は、里見公園の近くのマンションの五階にあった。ここに住み初めて既に十年くらいは経つだろうか。大学を卒業して二年くらいで引っ越してきた。当時は、給料の額にしては、少々、家賃が高く思えたが、今では、もう少し高くてもいいから、都心に近いところに越そうかと考えている。それまでは、大学卒業と同時に引っ越した賃貸アパートで、江戸川区の葛西に住んでいた。家賃は相場を考えれば安かったが、隣室の住人が何を話しているかわかるほど、壁が薄くて、それで二年ほどで今のマンションに越したのだった。
エレベータで二十階まで上り、入館カードを背広の脇ポケットから取り出すと入り口の扉の横に設けてあるカードリーダにかざした。扉のロックが解除される音がするのを待って、宮本は扉を開けて中に入った。すると、フロア内は、まるで休日のように人影がなく閑散としていた。その異様な光景に、不安になった宮本は、胸ポケットから手帳を取り出して調べてみると、今日の午後六時から新宿のホテルで創立記念パーティが開催される事になっていた。会場の新宿までは距離があるので、早めに出たのだろう。焦った宮本は、出席するべきか迷ったが、誰もフロアにいないことを幸いに、欠席してもわからないだろうとたかをくくってさぼることにした。
宮本は席に着くと、鞄からノートパソコンを取り出して、LANにつなぐと、日報をすばやく打ち込んで、電源を落とした。そして、そそくさと帰り支度をすると、戻ってから十分もしないうちにオフィスを出た。定時より一時間も早く帰れる事にささやかな優越感を感じて嬉しかった。
宮本の自宅は、市川にあった。海浜幕張からは西船橋で総武線に乗り換え、市川駅を下りて、歩いて十五分くらいのところだった。江戸川の近くで、付近には昔、下総の国府や国分寺があったところだ。江戸川が東京と千葉の境になっているので、こんな端に国府があるのも変だなと思っていたが、江戸時代より前は、隅田川が下総と武蔵の国境になっていたらしい。
宮本の自宅は、里見公園の近くのマンションの五階にあった。ここに住み初めて既に十年くらいは経つだろうか。大学を卒業して二年くらいで引っ越してきた。当時は、給料の額にしては、少々、家賃が高く思えたが、今では、もう少し高くてもいいから、都心に近いところに越そうかと考えている。それまでは、大学卒業と同時に引っ越した賃貸アパートで、江戸川区の葛西に住んでいた。家賃は相場を考えれば安かったが、隣室の住人が何を話しているかわかるほど、壁が薄くて、それで二年ほどで今のマンションに越したのだった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる