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しおりを挟む「うん」
クロはそう返した。
俺も。とか、そんなことは言ってくれない。
でもそれでいいんだ。
「すごく深まったよ。次はどうする?」
「私の中に射精してください」
「じゃあ確認してあげるね」
そう言ってクロは彼女に覆い被さっていた体を移動させる。
彼女の足下で自分も大きく足を広げて座り、彼女の両足を持ち上げた。
マルガレーテの背中がベッドから浮き上がる。
彼女は肩を支点に、下半身を持ち上げられてしまった。
クロは彼女の背中から腹に向かって手を伸ばしてがっちりと体を固定させた。
彼女のお尻が彼の目の前にある。
ある意味、性器よりも恥ずかしい、お尻の穴まで丸見えだ。
彼はふざけたりしない。
彼女の肛門も、当たり前の器官として受け止める。
美しい少女にも排泄器官があるのは当然だ。
しかし、クロには恋人のそんな恥ずかしい穴も愛らしく感じる。
なんとかわいい“えくぼ”であろうか、と。
はじめから考えていたわけではないが、クロは目の前の彼女の肛門に口付けした。
ちゅっ
ちいさくてかわいらしい穴。
かつては、雑菌感染のリスクから、肛門への口付け後の性器への口付けは避けるべきとされていたが、現代ではそのような心配は皆無である。
レーベンスブルートによってきわめて清潔に保たれているだけでなく、そもそも彼らの肉体がそのようにできているからだ。
病気にならないというだけであり、かつてアブノーマルと言われた性行為が一般化しているわけではないが、プレイの幅は広がったと言えるだろう。
マルガレーテは、肛門への刺激に気付いていた。
ただ、場所が重要なわけではない。彼による愛撫はどこであっても彼女に感動を与えた。
クロはそのまま彼女の性器に顔を近づける。
相変わらず少女のように閉じたままだ。
しかし舌を差し込むと、そのまま、ぬるっと彼女の中に飲み込まれた。
まだ小さな通路であったとしても、掘削機を通すことは可能ではないかと思える。
苦しい姿勢ではあったが、クロはそのまま彼女の通路を舌で奉仕した。
『あっ、あっ』という彼女の激しい喘ぎが聞こえる。
口を離したクロは、彼女の下半身をゆっくりとベッドの上に戻した。
「大丈夫そうかな」
クロはぐったりとしているマルガレーテの顔に自分の顔を近づけて、そのように囁いた。
「うん……」
力なく微笑む恋人の姿に、クロはまたしてもやりすぎたのではないかと考えてしまう。
「今日はここまでにして、日を改めてもいいんじゃないかな」
「私は良いとは思いません!」
上半身を持ち上げた彼女がぐいぐい押してくるので、クロはそのままベッドに仰向けになった。
「処女のまま家には帰らない覚悟で来ました」
「うん。まぁそこまで言うのなら」
アオイの人間にとってセックスは、感染症の心配も妊娠のリスクもないコミュニケーションの一種として扱われている。
もちろんすべての両親が子供の朝帰りを認めているわけではないが、それは貞操とは別の文脈でだ。夜遊びが犯罪につながることもない。
リサーチによると、移住国民の全員がアオイの環境に満足していると回答している。
新バビロニア主義国家の一部からは、『自ら檻に閉じこもった人』や、『人類の叡智が生み出した理想のディストピア』と揶揄されることもあるが、健康で長寿。犯罪が極めてゼロに近い国ということは紛れもない事実だ。
飢える人も、凍える人もアオイには存在しない。
付け加えるならば、この国には独裁者もいない。
マルガレーテは、再びクロの上に跨がった。
クロの固い棒の上に自分の性器を押しつける。
「処女を捧げます」
「うん。うれしいよ」
ここでようやくクロは嬉しいと言えた。
やはりこれまでの前戯は無駄ではなかった。
ちゃんと掴んだ手をたぐり寄せられた。
『理解が深まる』なんてない。
身体が、理屈より先に走り出したけど、それは正しかったと言うだけだ。
彼は本気で女性のヴァージンに関心がない。
そのような環境で育ったからであるし、美しい少女が過去に激しい恋をしていたとしても自然であると考えるからだ。
だから、マルガレーテに、『処女は嬉しいですか? それとも重いですか?』と聞かれたときに答えられなかった。
“どちらでもない”からだ。
いまでもその考えに変わりはない。
そんなことが女性のなにかを変えることではない。
でも、いまなら自分のために尽くしたいと言ってくれた少女の好意を素直に受け取ることができる。
彼女の気持ちが嬉しい。
ちゃんと近くに感じる。
「私の処女膜ありましたか?」
「あった」
「私の処女膜確認してくれましたか?」
「した」
「よかった……」
「でも、膜じゃないし、それがなかったとしても処女の」
「そういうのいりません!」
「あ、ごめん」
「いま、すっごく盛り上がっているところなんです」
「う、うん」
「なんでクロくんはそんな余裕なんですか? もっと乱れて欲しいです」
「そう言われましても……」
「女性の中で気持ちよく射精する行為に興味ないんですか?」
「そんなわけでは……」
「私の処女膜破って征服欲が満たされませんか?」
「いや、破れるというより伸びるというか裂けるというか」
「わかってます!」
ぴしゃりと言う。
「敢えての表現です。わざとセンチメンタルに言ってます」
「いや、そうだろうとはわかってるけどさ」
女性にマウントポジションを取られているクロは、手を伸ばして彼女の腹をなでる。
やさしく。
「でも、こういう言い方をしていないと、自分を抑えきれなくて……」
「冷静でないと、強引にしちゃいそうということですか?」
嬉しそうにマルガレーテが言う。
彼の言葉ひとつに飛び上がりそうになって喜んでいる。
「なんだぁ。クロくんも男の子ですね」
「うん。まあ、ちんちんついてるんで」
すぐにでも開始できる状態をふたりは維持していた。
そんな欲望剥き出しの男の上に跨がり、マルガレーテは照れ笑いを浮かべる。
「えへへ」
「今日はグレッチェの好きなようにしてもらうって決めてたから」
特に媚びたわけではないが、言い訳のように聞こえてしまう。
クロはふたりは対等とは思っている。
だけど、『最初に声をかけてくれた』という理由から、今夜はマルガレーテに主導権があると考えていたのだ。
たぶん、こうしてふたりで裸になるのは、これからも続くだろう。
自分のしたいことは、次でも、次の次でもいい。
そのように考えていたのだ。
「そうです。今日は私が主体となるようお願いしました」
「うん。了承したよ」
「それは、夜は男性にばかり頼りっきりの女と思われたくないからです」
「そんなふうに思ったりしないよ」
マルガレーテは、ベッドの上で仰向けの、彼のふとももの上に座っている。
自分の股間の前に、彼の性器がある。
これだけ時間をかけても、まだ硬さを維持している頼もしいものだ。
ああ、ついに……
そうマルガレーテは思った。
ようやく彼にここまで近づけた。
「重くないですか?」
「まったく」
本当に平気な顔でクロが答える。
もしかしてと考えたマルガレーテは、バイタル情報に接続したが、体重はかろうじてクロの方が重かった。
これからも彼の上に跨がりたいと思っていた彼女は、内心ほっとしたが、なんだか不思議な気持ちにもなる。
彼の方が引き締まっている体を持っている。
自分の体の方が丸みを帯びていてふくよかな体つきに見える。
それなのに、彼の方が重い。
男の人の体って、そんなんなんだ。とか、考える。
「私にも欲求があります」
「うん」
「性欲もあります」
「うん」
「だから、これは私が私自身のために行っている解消行為です」
「そうか」
「あなたの体をお借りしているのです」
「合意の上だよ」
「体をお借りしている代償として、あなたにも気持ちよくなってもらわなければいけないと思っているのです」
「とても心地いいよ」
「だけど……」
マルガレーテは、そう言いながら彼のペニスを握った。
あまりにも強い力で、へそ側に向かって硬直しているため、跨がっている自分の性器に向けて持ち上げることができない。
しかたなく彼女は、跨がる姿勢をやめて、彼の体の上に自分の体を重ねる。
胸の下に、彼の熱い呼吸を感じる。
「あ、乳首を……」
思わず彼女の口から望みがこぼれる。
クロは、恋人の望み通り、目の前にある彼女の乳首にキスして、ちゅーちゅーと吸い始めた。
ときどき舌の先をまるめて、彼女の乳首をぐるりとなめたり、軽く歯を立てて刺激を送ったりする。
「くっ……」
マルガレーテはあまりにも強い電気信号に体をこわばらせる。
「やっぱりやめてください…… これだけで何度も波がきます」
別にいいじゃんと思いながらも、クロはまたしても恋人の願い通り、彼女の乳首から口を離した。
「これは、わ、わたしの……」
息が荒い。
「私の、性欲による行動です」
クロの上に覆い被さりながら、マルガレーテは、自分の胸の下にある彼の頭を抱きしめる。
宝物のように。情熱的に。
「でも、誰でもいいわけではありません。クロくんだからです。クロくんだけです」
彼の黒い髪を撫でる。
「私がこうしたいと思うのは、生涯であなただけです」
クロは彼女の自分に対する思いが、あまりにも盲信的ではないかという感想を持ったが、今は何も言わない。
マルガレーテは、彼の体の上に被さりながら、右手で彼のペニスを掴み、自分の性器に導いた。
彼の先端が、自分の入り口に接触する。
幼女のように閉ざされてはいるが、内側は、クロの献身的な長時間の愛撫によって、ふにゃふにゃにされている。
受け入れ可能と思われた。
お互いの性器は触れあっている。
あとは進むだけだ。ほんの少し。
とうとうここまで来たのだと思う。
長かった。本当はずっとこうしたかった。
でも、その表現方法がわからなかった。
背が伸びて、胸が大きくなって、ようやく彼に思いを伝える方法を見つけた。
あまりにも短絡的で、こんな方法が本当に正解かなんてわからない。
でも、自分の中から湧き上がる純情は、こうして近づいていくのだと示した。
だから怖くなかった。
「生涯で……」
マルガレーテはクロの上で体を滑らせた。
少しだけ腰を持ち上げて、勢いよく彼の腰に打ち付けた。
「あなただけ……!」
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