27 / 42
フリードリヒ殿下との時間
しおりを挟む
ようやく落ち着きを取り戻した王宮に以前の様な穏やかな日常が流れる。
『王女、今日は殿下とのお時間がございます。庭にてアフタヌーンティーをご用意しますので遅れなき様ご準備を!』
『何もお庭でなくてもここでいいのに…』
面倒くさそうに答えるルリネットに
『今週は他の王女は殿下と遠乗りに出かけられますがルリネット様については殿下のご配慮がありましての庭でのアフタヌーンティーです。遠乗りがよろしかったのですか?』
…
『そうね、心地よい風に当たってのアフタヌーンティーも素敵ね。今から楽しみだわ!』
現金なものである。
ルリネットが庭に出ると既にフリードリヒ殿下は席に付いていた。急いで席に付くと
『急がせてごめんね。私が早く来すぎていたのだから』
ルリネットが詫びる前にそう言ってくれるフリードリヒ殿下。
ルリネットは静かに席に付くも、目の前に広がるスイーツに目を輝かせる。ダリス大王国のスイーツはヴェルヴァス王国とは異なり見た目も可愛らしく女性の心を擽る品々である。
『ルリネット王女は分かりやすいね』
フリードリヒはルリネットを見つめながら微笑む。
ルリネットの瞳をじっくり観察するように眺めて
『やっぱりね。初めてからそんな気がしていたんだ』
寂しそうに呟くフリードリヒにルリネットは
『何がでございますか?』
首を傾げるがフリードリヒは
『いや、ルリネット王女は存分鈍いんだね。』
と小さく微笑んだ。
しばらくしてフリードリヒ殿下は
『少し私の独り言を聞いてくれるかい?』
ルリネットに真っ直ぐな視線を送る。
『独り言ですか?
…どうぞ。』
困惑するルリネットだが断る理由もない。
『私はね、ウィリアム王太子が話す聖なる力を求める一人だ。どの国も同じだよ。特に国が安定している所はね。
聖なる力を有する者は恐らく一定数は存在する。ヴェルヴァスももちろん、リア大王国もそして我が国にもね。
そしてその安定した国に存在する王女は貴女とイザベラ王女。他にももちろん存在するかもしれないが確率的にはこの二人が可能性が高い訳だ。』
…私?いやいや私は無いわ!
『ルリネット王女、貴女は心の声が分かりやすいね(笑)でもね恐らくはヴェルヴァス王国は王子も王女もその力を有していると私は考えている。
でも、問題はここからなのだよ。聖なる力を持つ者同士でも心を分け合う仲になることが難しいだろ?聖なる力を有する者を探す事も難しいが、実際この先のほうが難しいよね。』
…まあ、そうよね。
『政略結婚では成立しないからね。真実の愛を求め、その相手が聖なる力を持っているか否か。これは難しいよ。
でもね、私もダリス大王国第一王子だ。その力が成立するならばそれが1番だと考えている。もちろん自分でなくてもね。それが国の為になるのだから』
…よくわからなくなってきたわ。
『ルリネット王女、王太子妃候補の選定はね、王太子妃を選ぶのではなく、聖なる力を分け合う事の出来る王女と王子を選定しているのだよ。』
…えっと、私はついていけていないわ。
『だからね、私は立太子していないだろう?』
フリードリヒ殿下は悪戯っぽく笑うと大きく息を吐き、席を立った。
『ルリネット王女、君の力は本物だよ。』
これぞ王子様♡というスマイルを残し帰って行った。
残されたルリネットの頭は既にキャパオーバーである。
『王女、今日は殿下とのお時間がございます。庭にてアフタヌーンティーをご用意しますので遅れなき様ご準備を!』
『何もお庭でなくてもここでいいのに…』
面倒くさそうに答えるルリネットに
『今週は他の王女は殿下と遠乗りに出かけられますがルリネット様については殿下のご配慮がありましての庭でのアフタヌーンティーです。遠乗りがよろしかったのですか?』
…
『そうね、心地よい風に当たってのアフタヌーンティーも素敵ね。今から楽しみだわ!』
現金なものである。
ルリネットが庭に出ると既にフリードリヒ殿下は席に付いていた。急いで席に付くと
『急がせてごめんね。私が早く来すぎていたのだから』
ルリネットが詫びる前にそう言ってくれるフリードリヒ殿下。
ルリネットは静かに席に付くも、目の前に広がるスイーツに目を輝かせる。ダリス大王国のスイーツはヴェルヴァス王国とは異なり見た目も可愛らしく女性の心を擽る品々である。
『ルリネット王女は分かりやすいね』
フリードリヒはルリネットを見つめながら微笑む。
ルリネットの瞳をじっくり観察するように眺めて
『やっぱりね。初めてからそんな気がしていたんだ』
寂しそうに呟くフリードリヒにルリネットは
『何がでございますか?』
首を傾げるがフリードリヒは
『いや、ルリネット王女は存分鈍いんだね。』
と小さく微笑んだ。
しばらくしてフリードリヒ殿下は
『少し私の独り言を聞いてくれるかい?』
ルリネットに真っ直ぐな視線を送る。
『独り言ですか?
…どうぞ。』
困惑するルリネットだが断る理由もない。
『私はね、ウィリアム王太子が話す聖なる力を求める一人だ。どの国も同じだよ。特に国が安定している所はね。
聖なる力を有する者は恐らく一定数は存在する。ヴェルヴァスももちろん、リア大王国もそして我が国にもね。
そしてその安定した国に存在する王女は貴女とイザベラ王女。他にももちろん存在するかもしれないが確率的にはこの二人が可能性が高い訳だ。』
…私?いやいや私は無いわ!
『ルリネット王女、貴女は心の声が分かりやすいね(笑)でもね恐らくはヴェルヴァス王国は王子も王女もその力を有していると私は考えている。
でも、問題はここからなのだよ。聖なる力を持つ者同士でも心を分け合う仲になることが難しいだろ?聖なる力を有する者を探す事も難しいが、実際この先のほうが難しいよね。』
…まあ、そうよね。
『政略結婚では成立しないからね。真実の愛を求め、その相手が聖なる力を持っているか否か。これは難しいよ。
でもね、私もダリス大王国第一王子だ。その力が成立するならばそれが1番だと考えている。もちろん自分でなくてもね。それが国の為になるのだから』
…よくわからなくなってきたわ。
『ルリネット王女、王太子妃候補の選定はね、王太子妃を選ぶのではなく、聖なる力を分け合う事の出来る王女と王子を選定しているのだよ。』
…えっと、私はついていけていないわ。
『だからね、私は立太子していないだろう?』
フリードリヒ殿下は悪戯っぽく笑うと大きく息を吐き、席を立った。
『ルリネット王女、君の力は本物だよ。』
これぞ王子様♡というスマイルを残し帰って行った。
残されたルリネットの頭は既にキャパオーバーである。
1
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
アンジェリーヌは一人じゃない
れもんぴーる
恋愛
義母からひどい扱いされても我慢をしているアンジェリーヌ。
メイドにも冷遇され、昔は仲が良かった婚約者にも冷たい態度をとられ居場所も逃げ場所もなくしていた。
そんな時、アルコール入りのチョコレートを口にしたアンジェリーヌの性格が激変した。
まるで別人になったように、言いたいことを言い、これまで自分に冷たかった家族や婚約者をこぎみよく切り捨てていく。
実は、アンジェリーヌの中にずっといた魂と入れ替わったのだ。
それはアンジェリーヌと一緒に生まれたが、この世に誕生できなかったアンジェリーヌの双子の魂だった。
新生アンジェリーヌはアンジェリーヌのため自由を求め、家を出る。
アンジェリーヌは満ち足りた生活を送り、愛する人にも出会うが、この身体は自分の物ではない。出来る事なら消えてしまった可哀そうな自分の半身に幸せになってもらいたい。でもそれは自分が消え、愛する人との別れの時。
果たしてアンジェリーヌの魂は戻ってくるのか。そしてその時もう一人の魂は・・・。
*タグに「平成の歌もあります」を追加しました。思っていたより歌に注目していただいたので(*´▽`*)
(なろうさま、カクヨムさまにも投稿予定です)
フッてくれてありがとう
nanahi
恋愛
「子どもができたんだ」
ある冬の25日、突然、彼が私に告げた。
「誰の」
私の短い問いにあなたは、しばらく無言だった。
でも私は知っている。
大学生時代の元カノだ。
「じゃあ。元気で」
彼からは謝罪の一言さえなかった。
下を向き、私はひたすら涙を流した。
それから二年後、私は偶然、元彼と再会する。
過去とは全く変わった私と出会って、元彼はふたたび──
ハーレム系ギャルゲの捨てられヒロインに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!
ゴルゴンゾーラ三国
恋愛
ハーレム系ギャルゲー『シックス・パレット』の捨てられヒロインである侯爵令嬢、ベルメ・ルビロスに転生した主人公、ベルメ。転生したギャルゲーの主人公キャラである第一王子、アインアルドの第一夫人になるはずだったはずが、次々にヒロインが第一王子と結ばれて行き、夫人の順番がどんどん後ろになって、ついには婚約破棄されてしまう。
しかし、それは、一夫多妻制度が嫌なベルメによるための長期に渡る計画によるもの。
無事に望む通りに婚約破棄され、自由に生きようとした矢先、ベルメは元婚約者から、新たな婚約者候補をあてがわれてしまう。それは、社交も公務もしない、引きこもりの第八王子のオクトールだった。
『おさがり』と揶揄されるベルメと出自をアインアルドにけなされたオクトール、アインアルドに見下された二人は、アインアルドにやり返すことを決め、互いに手を取ることとなり――。
【この作品は、別名義で投稿していたものを改題・加筆修正したものになります。ご了承ください】
【この作品は『小説家になろう』『カクヨム』にも掲載しています】
【本編,番外編完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る
金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベルティーユは婚約者に懸想した王女に嫌がらせをされたあげく殺された。
ちょっと待ってよ。なんで私が殺されなきゃならないの?
お父様、ジェフリー様、私は死にたくないから婚約を解消してって言ったよね。
ジェフリー様、必ず守るから少し待ってほしいって言ったよね。
少し待っている間に殺されちゃったじゃないの。
どうしてくれるのよ。
ちょっと神様! やり直させなさいよ! 何で私が殺されなきゃならないのよ!
腹立つわ〜。
舞台は独自の世界です。
ご都合主義です。
緩いお話なので気楽にお読みいただけると嬉しいです。
愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。
【完結】以上をもちまして、終了とさせていただきます
楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。
伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。
そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。
「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」
神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。
「お話はもうよろしいかしら?」
王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。
※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる