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第十二章 運命の歯車が大きく動き出す

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若林が大河原に挨拶した。

そして後ろから車椅子姿で蓮也が現れた。

「ご無沙汰しております」

「おお、こっちだ」

大河原は加子のへやに案内してくれた。

加子はベッドで眠っていた。

「加子、蓮也くんがきてくれたぞ」

加子はゆっくりと目を覚ませた。

蓮也がゆっくりとベッドに近づいた。

「蓮也さん、大丈夫ですか」

「それは俺のセリフだ、大丈夫か」

「ちょっと疲れちゃって、情けないです」

蓮也は加子の手を握った。

「加子に会いたくてきた」

加子は微笑んだ。

「嬉しいです」

「早く元気になって、また病院に来てくれ」

「はい」

加子はか細い声で答えた。

しかし、蓮也の願いは叶わなかった。

加子は入院を余儀なくされた。

若林は加子の入院の事実を蓮也に伝えた。

「加子はまだ体調が良くないのか」

「実は大河原氏から連絡が入り、加子さんは入院することになったとのことです」

蓮也は驚きを隠せなかった。

「入院ってどう言うことだ」

「体調が戻らなくて、検査入院するとのことです」

「まさか、命にかかわることはねえよな」

「検査結果次第と思われます」

蓮也は若林の胸ぐらを掴み、苛立ちをあらわにした。

「おい、加子が死ぬわけねえだろう、迂闊なことを口にするんじゃねえ」

「申し訳ありません」

若林は頭を下げた。


加子、お前は俺をおいて行くのか?

そんなことがあってたまるか。

蓮也はリハビリに力を入れた。

俺が加子を守ると決意した。

蓮也はリハビリの甲斐あって、歩けるようになった。

そして、毎日加子の病室に足を運んだ。

「加子、俺は自分の足で歩けるようになったぞ」

「すごいですね、蓮也さんは、私は頑張れる気力がなくて……」

「じゃあ、頑張れるようにしてやる」

蓮也は加子の唇にキスを落とした。

加子は蓮也のキスを受け止めて、身体が熱ってくるのを感じた。

(ああ、蓮也さんが好き、ずっとこのまま蓮也さんと一緒にいられたらいいのに)

「加子、俺と結婚してくれ」

加子は蓮也の言葉に驚きを隠せなかった。

「俺は自分がこのまま車椅子の生活になると思い、お前に負担をかけたくないと、
俺を好きになるなって言ったが、今は俺がお前を支える、だからお前も頑張れ」

「蓮也さん」

蓮也は加子の左手に指輪をはめた。

「お前は俺の妻だ、俺だけを思い、生涯俺についてこい」
加子は涙を浮かべて頷いた。

いろいろなことが走馬灯のように脳裏を掠めた。

蓮也さんについていきたい。

加子は日に日に回復していった。

加子の退院の日が決まり、蓮也と共にマンションへ向かった。

そして蓮也と加子は朝まで身体を重ねて抱擁に酔いしれた。

「加子、愛している」

「蓮也さん、私も愛しています」

                 END






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