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第十二章 別れ話に隠された真実

元彼刈谷秀の気持ち

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僕は理樹に連絡をした。

「亜紀がいなくなった」

「どう言う事だ」

「愛理ちゃんが亜紀に阿部のことを話したみたいなんだ」

「真央のことを?」

真央、やっぱり俺がお前以外を愛する事は許してはくれないと言う事なのか。

俺は心当たりを探してみる事にした。

その頃、亜紀はアパートを借りて一人暮らしを始めていた。

ある日、またしても秀と再会を果たす。

「亜紀、ニューヨークから戻ったのか」

「秀」

「やっぱり結婚するのか」

またしても気が緩んで涙が溢れて来た。

秀は私を引き寄せて、抱きしめた。

「亜紀、亜紀をこんなに泣かせる男はやめろよ」

「秀、自分のこと棚に上げて全く何言ってるの」

「えっ、だって俺が別れ話したとき、涙一つ見せなかったじゃないか」

「あの時は、そうだったけど、そのあと、寝込んで具合悪くて、仕事も辞めたの」

「どうして連絡してくれなかったんだ」

「だって、私は秀に振られたんだよ、連絡出来るわけないでしょ」

「あんなの嘘だよ」

秀の言葉に驚きすぎてすぐに理解出来なかった。

俺は刈谷秀、亜紀と二年間付き合っていた。

俺も亜紀も恋に奥手で、プラトニックな関係から進まなかった。

ある日俺は自分のマンションへ亜紀を誘った。

今日は亜紀とキスするぞと意気込んでいた。

しかし、DVDを見ていた亜紀の目は真剣そのもので、とてもじゃないがキスする雰囲気は微塵も感じられなかった。

亜紀は本当に俺のことが好きなのかなと疑い始めてしまった。

好きな女が出来て別れようと話を持ちかけたなら、きっと取り乱していやよと涙でも流してくれると思っていた。

ところが、別れ話をすると、亜紀はあっさりと「わかった」との返事だった。

嘘だろ?このまま俺達終わりかよと驚きを隠せなかった。

でも、そのまま亜紀と別れる事になった、俺は好きな女なんか出来ていないし、

亜紀と別れたいなんて思ってもいないのに、いいのかよ、このままで。

俺達は別れた。

少しの望みにかけてみたが、亜紀からはその後、何の連絡もなかった。

「嘘ってどう言う事?」

「俺は亜紀を試したんだ、全く愛情を感じられなくて、すごく不安になった」

「私は秀があまりにもあっさりしてるから、私の事好きじゃ無いんだと思ってたの」

「俺達お互いにすれ違いだったんだな」

その時、急に目眩に襲われた。

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