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お前はずっとここにいろ①

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戦国時代に一人で生きていけるわけもなく、林の中に迷い込んで、

マミは途方に暮れていた。

そこに馬のひづめの音がして、馬に跨っていたのは信長だった。

「信長様」

「お前は何を考えているのだ、こんなにも頭が悪いとは情けない」

そこまで言わなくても……

マミはしょぼんとした。

軽々と身体が浮き上がり、馬に股がされた。




「きゃっ」

「しっかり捕まっていろ、落ちるぞ」

馬は走り出した。

その頃安土城では信長までいなくなったと大騒ぎだった。

「全く、マミのことになると、お館様は単独行動をなさるので、困ったものだ」

そう嘆いているのは秀吉。

「しょうがないだろう、惚れた女がいなくなったんだから、誰だって探しに行くさ」

信長の肩を持つのは政宗。

「マミが迷惑な女だ、信じられないよ、一人で出て行くなんてバカじゃないか」

マミを罵倒するのは家康だ。

家臣の心配をよそに馬を安土城とは反対の方向に走らせる信長は、海に向かっていた。

「風をきって気持ちいいです」

「そうか、それはよかった」

信長様は怒っていない様子だった。

信長はマミが自分の腕の中で、喜んでいる様子に上機嫌だったのだ。

「マミ、お前は俺が嫌いか」

「えっ?」

「お前の気持ちがわからぬ」





「信長様にことは嫌いではありません」

「それなら、なぜ、俺の元から逃げ出すんだ」

「それは……」

「やはり、信玄が好きなのか」

「違います、信玄様は関係ありません」

「理由を申してみよ」

マミは自分がこの時代の人間ではないことを話し始めた。

「私は戦国時代の人間ではありません」

「この時代の人間ではない?ではお前はどこの時代の人間だと言うのだ」

「私は現代、つまり、未来から来ました」

信長は黙って、マミの話に耳を傾けた。

「私は五百年先の時代からタイムスリップしてきたのです」

「信長様は私ではなく、この時代の女性と結婚して、天下統一を成し遂げます」

「そうか、お前はいつ帰るのだ」

「それなんですが、どうやってきたかもわからないので、帰れないかも知れません」

信長の表情がパッと輝いた。

「それなら、ずっとここにいれば良いではないか」

「それはそうなんですが……」





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