ハルカの唄

堀尾さよ

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ハルカ

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 ハルカは世界で一番可愛い女の子だった。

 小さな唇は薔薇の花びら。
 鼻はツンと上を向いたリスのよう。
 大きな目はダイアモンドの輝き。
 髪はサラサラでいい匂い。
 パパとママはとっても仲良し。パパはドライブが趣味で、ママは料理が大得意。
 毎週末は家族で小旅行。
 書道のお稽古は三歳から。
 グランドピアノは小学二年生の時のプレゼント。
 スイミングとバトミントンを小学五年で始め、両方とも小さな大会で優勝した。
 たくさん習い事をしているのに成績は優秀で、中学では学年一位を常にキープしている。中間、期末、両方ともずっと、だ。

 まさに絵に描いたような幸せな女の子。誰もが羨む完璧な女の子。

 ハルカは誰よりも輝いていて、誰よりも優秀だった。なのに、そのことを全く鼻に掛けず、誰にでも優しい。あっという間にクラスの人気者になっていった。

 私とハルカは幼稚園、小学校、中学校と同じでどうしてだか、友達だった。たまたま同じクラスになることが多くて、たまたま近くの席になることが多かった。

 友達から親友くらいのポジションになるのに、時間は掛からなかった。私は気後れしながらも、ハルカの人柄の良さに惹かれていた。

「ウタちゃん、ウタちゃん」なんて鈴が転がるみたいな声で私を呼んで、にっこりと笑うのだ。その笑顔に、吸い込まれそうになる。
 彼女と一緒に歩いていると、私まで美しくなったような気がして、気分が良かった。それに、あんなにも人気者のハルカの一番の友達になる自分に少なからず酔っていた。そこに自己嫌悪も覚えていた。
 ハルカと私じゃ、釣り合わない。でも、いつもハルカの笑顔でどうでもよくなってしまうのだった。
 ハルカの存在は私の汚い部分を全部浄化していってくれた。
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