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しおりを挟む「金色の卵を集める・・・ですって?」
「そんなこと・・・。」
アネットさんとアーモッドさんが驚いた声を上げる。
「なにを驚いておるのじゃ?」
驚いているアネットさんとアーモッドさんを尻目にきょとんとした顔のシラネ様。
まるでアネットさんとアーモッドさんが何を聞いているのかわからないといったような顔だ。
「金色の卵は一生に一度見ることすら難しいものです。それを集めるなどとは・・・。」
アーモッドさんが眉間に皺を寄せて難しい顔で呟いた。
やっぱり。金色の卵はレアのようだ。
やすやすと手に入れることなどできないものなのだろう。
「なにを言っておるのじゃ。金色の卵を集めることなど簡単なことじゃ。」
シラネ様はこともなげにそう言った。
「「「えっ?」」」
思わずオレたちの驚いた声が重なる。
「心から感謝されればよいのじゃ。簡単なことじゃろ?」
心から感謝されることが簡単・・・?
それも動植物に・・・?
まず、動植物と意思疎通をはかることが難しいのに、それらに心から感謝されるようにするとはかなり難しいことなのではないだろうか。
鶏の場合は偶然が重なったものだ。
鶏の言うことをただ聞いていただけなのだから。
「まあ、よい。すぐにわかるじゃろう。簡単なことじゃと。」
シラネ様はそう言うとケラケラケラと笑い声をあげ、そのまま姿を消した。
★★★
「なんだったんだ・・・。いったい。」
「あり得ないわ。金色の卵がそう簡単に集まるはずが・・・。」
「そうですよ。一生に一度でも見れたらかなり運がいいというのに・・・。」
アネットさんもアーモッドさんもシラネ様がおっしゃったことが信じられないようだ。
オレは元々この世界の人間でもないし、金色の卵がどれほど珍しいものなのか実はよくわかっていない。
だから、シラネ様が簡単だというのならば簡単なのかと思ってしまった。
「でも・・・女神様とお知り合いとは、あなたはいったい何者ですか?」
「そうです。名前を呼ぶことも許されているだなんて・・・。」
「えっ。あ、まあ。えっと・・・。」
オレってそう言えばシラネ様のなんなんだろうか。
ただこの世界にオレを送り込んだのがシラネ様ってだけで、オレは特にシラネ様から世界を救えだのなんだのと言われているわけでもない。
それならば、オレってシラネ様にとってどんな存在なのだろうか。
ついっとノエルを見やる。
ノエルはふさふさの耳をピンッと立てて嬉しそうに一声鳴いた。
「カナタはノエルの下僕なのー。」
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