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しおりを挟む「……セレスティーナ。ロイドだけではなく、君も幸せになるんだよ。」
カルシファーはそう言って微笑むと、私の身体に魔法をかけた。
眩しい光に目を閉じていると、自分の身体が徐々に膨れ上がっていくような違和感を感じた。
怖くなって強く目を閉じる。
しばらくして、違和感はすべて消え去ったので恐る恐る目を開けた。
でも、そこにはカルシファーの姿は見当たらなかった。
ただ、カルシファーが立っていた場所はわずかだが湿っていた。
「……カルシファー?」
小さな声で彼の名を呼びながら辺りを見回すがカルシファーの姿はどこにも見えない。
私にかけた魔法を解いている間に魔界に戻ってしまったのだろうか。
次にいつ会えるのかわからないのだから、せめて「さよなら」の挨拶くらいはしたかったのに、と寂しさを覚える。
毎日のように一緒にいたのに、素っ気ないカルシファーに思わず彼らしいかもしれないと小さく微笑んだ。
きっとカルシファーは魔界に戻って私のことなど忘れて勝手気ままに生きていくのだろう。
「……セレスティーナ?」
カルシファーのことを思っていると、驚いたようなロイド殿下の声が聞こえてきた。
「ロイド……殿下。」
「セレスティーナっ!!」
ロイド殿下の方を振り向くと、ロイド殿下が私の身体を強く抱きしめてきた。
私という存在を確かめるように強く回された腕に私もそっと手を添える。
「ロイド殿下、殿下にお話ししたいことがございます。」
私は焦る気持ちを抑えてロイド殿下に話を切り出すことにした。
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