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一章

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なんとか、出来上がった朝食をマリアと席に運ぶ。
ご飯はないので、パンだ。
パンはマリアが昨日焼いたらしい。
温めてから食卓に出す。

「マユ、料理したことあるのかしら?」

ぎくっ。

「あははっ・・・。ほとんど料理作ったことありません・・・」

マリアが出来上がった料理を見ながら、ジト目で私を見てくる。
そうだよね。
料理を普段作っている人の手さばきじゃないよね。
料理の手順だってよくわかってないし。
誤魔化せるわけもないので、正直に料理が苦手なことをマリアに伝える。

隠してたってしょうがないし。

「・・・はぁ。やっぱり。
 それなのに調理スキル持ちってことは、鍛えれば鍛えるだけ調理レベルがあがるの
かしら?
 大物になりそうね。マユ」

「あははっ」

ほんと、なんで私調理スキル持ちなんだろう・・・。

「とりあえずいただきましょ。マユの作った朝食」

「うん。いただきます」

「いただきます」

私とマリアは朝食を味見し始めた。
そう、味見だ。

「マユ、このスープはまあまあね。
 野菜炒めてからスープにすると野菜の旨味がでるわよ」

「そっか、野菜を炒めるのね」

スープってただ具材を煮込めばいいだけじゃないなんて衝撃的だ。

「サラダは可もなく不可もなくってところね。
 ドレッシングが作れるようになるといいわね」

「ドレッシングって自分で作るものなの?
 売ってるんだと思っていたわ」

「売っているわよ。でも、自分で作った方が美味しいし、食材との組み合わせで、変
化させたりとか自分で作ればいろいろと楽しみが増えるわ」

「へぇー。」

特に調理スキルで稼ごうだなんて考えてないからそこまでしなくてもいいかなぁとか
思う。
せっかく教えてくれているマリアには悪いけど・・・。

「ベーコンはまずまずね。少し胡椒を振るといいかもしれないわね」

「あ、味付け忘れたっ」

「・・・マユ。最期にこのスクランブルエッグもどきだけど・・・。
 味はつけてないみたいね。
 それはまあいいけど、この食べる度にガリッとするのがいただけないわ」

卵の殻が入っていますからね。
それは、ガリッとするでしょう。


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