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四章
4ー44
しおりを挟む「ねえ、マユ。一つ頼みごとを受けてはくれないだろうか?」
女王様はそう言った。
女王様からの頼み事はろくなことではないような気がなんとなくだがする。
「なんでしょうか。」
「ふむ。魔族の長である魔王と協定を結びたいと考えている。他の種族ならば私が出て行って話をすればいいのだが、魔族だけはそうはいかなくてね。」
「・・・それは、どういうことでしょうか。」
どうやら早速女王様は女神(?)様がいなくてもなんとかなるようにと、根回しを進めるようだ。
各国と各種族との連携が必要になるだろう。
「女神様が眠りについている間は不要な争いは起こさぬと言う事だ。また天変地異などがあった場合は互いに協力しあう関係になれたらと思ってね。」
「それで・・・なんで、私なのでしょうか。もっと、適切な方がいらっしゃるかと思いますが。」
どうして、女王様はそんな大役を私に任せるのだろうか。
しかも、魔族だなんて一番強そうな種族だし。
「私が行ってもいいのだがな。さすがに魔族相手では私以外太刀打ちができない。とはいえ、私が近衛兵らを守るのもおかしな話であろう。つまり、私は護衛がいない状態で魔王に会うことになる。」
「はあ。」
つまり、女王様は護衛兵よりも強いってことかな。
そうだよね。
確か女王様はプーちゃんとも張り合える強さなんだからね。
っていうか、護衛兵情けない。
女王様より弱いだなんて。
なんのための護衛なんだろうか。
っていうか、そんなに強いのであれば女王様に護衛なんていらないのではないだろうか。
「そうだ。つまりは魔王に対しての体裁が立たぬ。弱い連中だけで魔王に謁見しようものなら私たちは魔王に侮られてしまうだろう。」
「それは、人間だから仕方ないのではないでしょうか。人間が魔王と同等の力を持つことは種族の違いから言ってもあり得ないことかと思います。」
「その道理が通じぬのが魔族だ。彼らは力が全てだと思っている。今、私たちに魔族たちが興味ないのは私たちに興味がないからだ。ただ、魔王に会いに行くと言う事は魔王に興味を持たせることになるだろう。しかも、魔王にお願いをしにいくのだ。弱い個体が魔王にお願いをしても聞き入れてはくれないだおう。」
「えっと、その理屈でいくと私はごくごく普通の人間なんですが・・・。」
私はプーちゃんに勝つこともできないし、女王様の護衛兵にだって勝つことができない。
だって、ごくごく普通の人間だから。
武術だってできないし、剣術だってやったことがない。
異世界からの迷い人だけど戦闘能力はごくごく普通の村人Aなのだ。
「マユでなければならぬ。きっと魔王はマユに興味を持つことでしょう。」
「は、はあ。」
魔王が私に興味を持つ・・・?
いやいやいや。ごくごく普通の人間に魔王が興味を持つだなんてことはまずあり得ないと思う。
むしろ魔王が興味を持つのは女王様だと思うんだけど。
女王様ってば人間か!?ってくらい強いみたいだし。
「というわけで、任せましたよ。マユ。必ず魔王の心を掴んでくるのですよ。」
女王様はにっこりと笑って私を脅してきた。
どうやら、魔王の元に私が行くことは断ることができないようだ。
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本日より細々と更新を再開してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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